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魔物の街 66

「最近巷で話題の地球人至上主義を唱える連中が動き出したにしては早すぎるしあいつ等にしては抜けてるところが多すぎる。今回の件に直接は顔をだすかどうか……」 

 あいまいな表情の嵯峨。彼の足元に転がっている三上と言う名の遼南指揮官は恐怖におびえながら嵯峨の表情を伺っている。

「まあ連中は金は持ってるからな。でも技術はあまり無いって話しだしな。顔が効く範囲で当たってみたんだがやはり、同盟厚生局が噛んでるって所までは当たれるんだけどねえ」 

 そう言うと嵯峨はサラと並んで立っている島田に目をやった。

「?……隊長?」  

 島田が見つめられて自分の鼻に指を当てる。それを見て嵯峨は満足げに頷いた。そしてそのまま転がっている指揮官に目をやるランに声をかける。

「同盟厚生局はマークしてるんだろ?ならそっちを調べな。ここにいても時間の無駄だぞ。俺は島田と話があるんだ」 

 剣を収めた嵯峨は島田の肩を叩くと廊下を進む。ランは何かを悟ったように要の脇を小突いた。仕方なく不思議そうな顔の島田は嵯峨に続いて廊下に消えた。

「西園寺、司令官殿を連行しろ。サラ、手伝え」 

「でも……」 

 島田が連れ出された出口を見つめるサラだが、鋭いランの視線に導かれるように口から泡を吐いている三上と言う司令官の肩を支える。

「じゃあ、撤収だ」 

 ランはそれだけ言うと銃を背負って歩き出す。カウラもアイシャもそれに習うようにショルダーウェポンを背負う。階段の途中で外で爆音が響いているのに気づいた。

「早速隊長の顔が効いた訳だ」 

 ランは振り返ると部下達に乾いた笑みを投げかけた。そしてそのまま急ぎ足で階段を上りきり施設の出入り口を開ける。

 輸送ヘリから次々とラベリング降下してくる兵士が目に入る。駐留軍の兵士達が次々と黒ずくめの降下してきた兵士達に武装解除される光景が目に入ってくる。

「ラン!」 

 一人降下した装甲車両の脇で部下からの報告を受けているような女性指揮官が誠達を見つけて手を振っている。誠は渋い笑いを漏らしながら歩いていくランを見つめていた。

「ムジャンタ・ライラ中佐か。つまりこいつ等は……」 

「遼南第一山岳レンジャー連隊ってことになるな」 

 要の言葉に緊張が走る。弱兵で知られる遼南軍だが、一部の驚異的な強さを誇る部隊が存在することで知られていた。シャムが最初に軍で配属された禁裏守護特機隊は最強のアサルト・モジュール部隊として知られていた。そして目の前で次々と降下し展開する山岳レンジャー部隊もそんな遼南を代表する特別急襲部隊として恐れられる組織だった。しっかりとした足取りで中背の女性指揮官がランの後について誠達に向かって歩いてくる。他のレンジャー隊員とは違い、戦闘服にはポーチの類が付いていない。替わりに大きめの拳銃がガンベルトに吊り下げられていた。

「おう、紹介しとくぞ。コイツが遼南第一山岳レンジャー連隊の連隊長のアルバナ……」 

 ランがそこまで言ったところで茶色い地が鮮やかな戦闘服の女性士官がランの頬をつねった。

「クバルカ中佐?その苗字は去年の話でしょ?」 

 にこやかに笑いながらランの頬をつねるだけつねると安心したように敬礼をする。

「遼南第一山岳レンジャー連隊、連隊長のムジャンタ・ライラ中佐だ!」 

 その言葉に誠達は整列して敬礼する。

「ムジャンタ?じゃあ遼南王朝の……」 

 誠はその遼南王家と同じ苗字に違和感を覚えた。

「隊長の姪御さんだ」 

 つぶやいた誠の耳元でカウラがささやく。

「やっぱり身内で固めるんだなあ、あのおっさんは。それでこの状況の説明は?」 

 そう言いながらタバコに火をつけようとしていた要に、明らかに殺気を込めた視線を送るライラに、思わず要の手が止まる。

「それについては説明させてもらう。指揮車まで来てもらおう」 

 ライラはそのまま部隊展開の報告をしようとする部下を待たせて誠達を装甲車両の中へといざなった。

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