魔物の街 27
「じゃあ全員得物はそろったわけだな」
ランの声に手を上げて茜とラーナを指差す要。
「ああ、その二人は以前から対法術師装備だ。それじゃあ各員準備して会議室に集合な」
そう言って部屋を後にしようとするラン。
「別に準備とか……」
「神前。カウラが制服じゃまずいだろ?一応捜査なんだから。それに場所が場所だ」
確かに今のカウラは東和軍の勤務服である。
「大丈夫だ。ちゃんと平時の服も更衣室に用意してある」
そう言うとハンガーへ向かう誠達と別れて女子更衣室に消えていくカウラ。
「それじゃあ……って何かすることあるのか?ちび」
要の言葉に振り返ったランは明らかにあきれ果てたと言うような顔をしていた。
「一応端末の記録を覗くくらいの癖はついていても良いんじゃねーのか?」
そう言ってそのままとっととハンガーへ向かう。
「言い方を少し考えろっての。なあ」
要はそう誠に愚痴ってその後に続く。ハンガーはやはり重鎮である明華がいないと言うことで閑散としていた。
「じゃあ、俺はロナルドさんの車を……」
「仕事中だろ?会議室に直行だ」
振り向いて叫んだランの言葉に肩を落とす島田。サラは微笑んで彼の肩を叩く。
「ふざけてないで行くぞ!」
ランに引っ張られるようにして皆はそのまま階段を上がる。ガラス張りの管理部の部屋の中では先月までのシンに代わり、管理部部長として赴任した文官の高梨渉参事官が菰田を立たせて説教をしていた。
「島田。なんならアタシがアイツと同じ目にあわせてやろうか?教導隊じゃあアタシも平気で二、三時間説教するなんてざらだったぞ」
ランの言葉に苦笑いを浮かべた島田はそのまま早足に実働部隊の待機室を通り過ぎて会議室に向かう。
「冗談の分からねー奴だな」
そう言いながらランを先頭に部屋に入るとなぜか全員の机にマグカップが置かれていることに誠が気づいた。
「なんですかこれ……!」
誠が手にしたマグカップの底に三匹の大きな芋虫がのたうっていた。
「あ!みんなお土産だよ!」
カウラと要も自分の机に置かれたマグカップの中を覗き込む。
「マジかよ……」
そう言って得意げなシャムをにらむ要。カウラはそのまま引き返して着替えの為に廊下へ出て行った。




