魔物の街 26
「大丈夫だろ?どっちも作動には定評があるんだ。おう、アタシのは?」
せかすような要の言葉にうんざりした顔のキムが手にいつもの要の銃、XD40を持って現れる。
「おい、どこが……ってスライドがステンレス?そんなのあったのか?」
そう言ってキムから銃を受け取ると何度か手に握って感触を確かめる要。
「少し……いや、かなり感触が変わってるぞ」
「まあ法術対応のシステムを組み込んだんですよ。前から頼んでたじゃないですか!」
「そうだった?」
要の回答に呆れるキム。法術師としてすでに名が広まっている母の西園寺康子。そのことを考えれば当然だと誠は思うが、一方でカウラは少しばかりさびしいような顔をしていた。部下の下士官がマガジンと弾を取り出したのを見ると言葉を吐こうとしたカウラの口が閉じる。
「40口径ね。いつも高いと思ってたけど、いくらぐらい9mmより高いわけ?」
自分の銃とホルスターがなじむのを狙って皮製のホルスターから銃を出したり入れたりしていたアイシャが先ほどの眼鏡の女性下士官に詰め寄る。
「このシルバーチップなら同じくらいだと思いますよ。ケースはどちらもリロード品ですし……プライマーの値段もたいしたこと無いですから。最近は遼州系じゃあ銃関係の規制が緩くなっていますから。市場ではかなりだぶつき気味なんですよ。ああ……東和は関係ないですけどね」
そう言う相手を疑うような目で見た後、アイシャは何度も手にした銃にマガジンをいれずに構えの型をとる要を見つめた。
「すると、コイツで撃てばそれなりの法術効果が得られると言うことなんだな」
要の言葉におっかなびっくり頷くキム。それを見て手にした拳銃にマガジンを叩き込みスライドを引いて装弾する。
「じゃあ、島田」
「なんで俺だけ呼び捨てなんだ?」
キムがにんまりと笑う。その顔を不審そうに見つめる島田。キムは島田にランのマカロフより小さい銃が渡された。
「確かにコンパクトな奴を頼んだけどさあ」
そう言って島田はまじまじと自分に渡された銃を見つめた。それはラーナの使っているシグザウエルP230に似ていたがどこと無く古風な雰囲気の拳銃だった。
「ああ、それはモーゼルHScだ。一応弾は380ACPだから護身用としてはぎりぎりのスペックだからな。どうせお前は前線部隊じゃないんだから」
キムの言葉が終わると再び彼の部下が弾薬とマガジンを取り出す。
「なるほどねえ。確かにこれなら持ち運びは便利そうだわ。やっぱり隊長の私物か?」
そうたずねる島田を無視してキムはブリッジクルーが使っている銃を取り出してサラを呼んだ。
「弾だけの交換ね」
サラはそれを受け取るとジャケットを脱いでショルダーホルスターをつける。
「それでは神前」
そう言って神前の前に特徴的なフォルムのパラベラムピストルが置かれる。
「いつも思うんだけどこれってルガーじゃないのか?」
島田の言葉に呆れたように無視して予備マガジンと弾のケースを渡すキム。
「神前。これは専用だからなお前の。他の銃のと混ぜるなよ……まあお前の銃の弾は他の人のでも撃てるけどお前の銃に関しては俺は保障しないからな」
キムはそう念を押して誠に銃を手渡した。




