↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/182

五頁目 王族との邂逅


 騎士団長と手合わせをした後のグロリアの案内は、広い城内に反して意外に早く終わった。元々案内する場所を決めていたのか、歩きでの案内は厨房や騎士団の詰所、国王や王妃の寝室などで、他の場所は大抵は使用人の使っている場所だからと口頭で済まされた。


 城内の案内が終われば、次はオレのリクエスト通り、街の案内。

 街は、さすがは王都と言うべきか活気があり、市場、武具屋に服飾店、飲食店など、様々な店が立ち並んでいた。少し裏路地を行けば、闇市や奴隷商店もあるとグロリアが教えてくれた。

 物価は……まあ、正直いまいち把握しきれていないのだが、そこはそれ。これからの生活で覚えていけばいいだろう。

 市場にはリンゴやオレンジみたいな、元の世界と変わらないようなものもあったし、そういう点では、オレはこの世界に早めに適応出来る気がしている。


 城内の案内も街の観覧も終わった今は、オレのためにと割り振られた部屋のベッドに身体を預けている。時間的にも夕暮れ時だし、この後数時間もしないうちに夕飯になるだろう。飽くまで予想だが。

 それまでにしておきたい事と言えば、この、視界に映っているメニュー郡の確認だ。上からステータス、装備、インベントリ、スキル、ギルドと並んでいる。

 ステータスはもう見たし、装備は今見ても仕方ない。インベントリはさっき開いたし、確認するのはスキルとギルドだな。

 ……そうだ。あの原初の刀とかいうのも確認しておこう。とりあえずインベントリから名前をダブルクリックで装備。イメージだが。


「……ん?」


 インベントリから『原初の刀ザナドゥ』が消えて、装備ウインドウが開き、“Main arms”の欄にその名前とアイコンが表示された。

 された、のだが。まったく、何も、これっぽっちも変化がない。

 例えば中空にモザイク状態で出現して徐々に鮮明になるだとか、パッと光って自動的に腰に佩かれるだとか、そういったアクションが一切ない。


「まさか、レベルが足りないとかか?」


 あり得ない。MMORPGの様相を呈しているが、これは異世界転移という限りなく非現実に近い現実だ。要求レベルや要求ステータスが足りないなんてゲーム染みた事があるはずがない。

 この『原初の刀ザナドゥ』の詳細を知るにはどうしたら……いや、そうだ。鑑定&分析(アナライズ)とかいう便利そうなスキルがあった。


「しかし、どうやって使えば……。とりあえず念じるか? 祈りの力は無限大。どうにかなるだろう」


 とにかく、スキルの発動を念じてから『原初の刀ザナドゥ』に視線をやると、詳細が別ウインドウで表示された。


 【原初の刀 ザナドゥ】

 世界の始まりと共に生まれた黄昏色の刃を持つ刀。その一刀は因果を断ち斬り、あらゆる存在を無へと回帰させるだろう。

 スキル:鬼ノ力発動中であれば上記の真の力を解放出来るが、そうでない場合はただの大業物の刀である。

 この刀は最初に抜き放った存在を主と認め、以降は主にしか刀を抜く事が出来なくなる。『放て、黄昏の刃』と口にすると抜き放つ事が出来る。


 なんだこれは。

 鬼ノ力は固有スキルだから、つまりオレ用に誂えられた刀という事じゃないか。そういうチート系のあれこれは要らなかったんだがな……。

 しかし、鬼ノ力発動中だろうと真の力は任意で発動が出来るというのはありがたい。勝手に真の力を解放されて、斬った相手が消え去るとか困るからな。


「これを使えるようにするには、『放て、黄昏の刃』と言えばいいのか。……ん?」


 視界の下の方。身体で言えば胸の部分が、神々しい光を放っている。

 待て。待ってくれ。いつからオレは人ではなくなったんだ。発光するような身体に生まれたつもりはないぞ。

 などと考えていたら、発光している部分から刀の柄が出てきた。かと思えば、鍔、鞘とどんどん刀の全容が出てきている。


「……これが、『原初の刀ザナドゥ』か」


 名前はともかく、見覚えのある刀だ。元の世界で、オレが小さい頃から母さんが

『坊や。この刀は儂が昔、ある刀鍛冶に造らせた刀でな。いずれ坊やにやるつもりじゃ。だから、のう、強い子に育てよ。坊や』と見せてくれていた刀だ。

 和室に飾られていたこの刀に銘はなかったはずだが、母さんは『輪廻』と呼んでいたと思う。

 それがここにあるという事は、母さんに認められるほどに強い人間になれたという事で間違いないだろう。あるいは、一層精進せよ、という事なのかも知れない。


「この世界でのオレはレベル1。うちの道場で言えば、入りたての新人だ。また1から頑張れるチャンスだ。……強い人間になろう。心も身体も。鬼灯の名に恥じないように」


 ザナドゥが完全に出切った後、胸の光はすぅっと消えていった。

 それにしても、今はこの刀は佩けないから仕舞っておきたいんだが……装備を解除すればいいかな?

 装備ウインドウから『原初の刀ザナドゥ』をダブルクリックするイメージで装備解除してみると、これが上手くいった。装備が解除された事でザナドゥが光となって散る。インベントリには存在が確認出来るから問題なし、と。


 次にスキルとギルドの確認だが、ギルドの方は単純に、冒険者ギルドや商人ギルドに所属してる場合にそれが確認出来るという代物だった。

 スキルの方は、まず職業ごとにわかれ、さらにパッシブスキルとアクティブスキルにわかれていた。職業は傭兵や召魔師(サマナー)など、大別すれば物理職、魔法職、特殊職にわかれている。

 ただ、共通というカテゴリがあり、鑑定&分析(アナライズ)無限倉庫(インベントリ)はこのカテゴリ。他にも疾駆(アクセル)飛翔(ハイジャンプ)などがあったが、パッシブスキルのみで、取得するには特定のアクションをして条件をクリアする必要があるらしい。


「……まあ、色々やってる最中に適宜解放されていくだろう。職業スキルは、その職業の時にだけ解放されるのか、あるいは一度でもその職業になれば恒久的に解放されるのか……」


 などと考えていると、部屋のドアが四回ノックされた。入室許可を出すとメイドが入ってきて、夕飯の時間だから案内するとの事。

 考え事に頭を使っていたせいか、もうそんなに時間が経っていたらしい。空腹を訴える身体に謝りつつ、メイドの後について行く。はてさて、どんな料理が出てくるのやら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。