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少し、話の内容追加しました

人族が住む大陸、サザン。


王都であるサザンより少し西にずれた田舎町。自然が豊かでどこにでもある田舎町だが、商人の場所が騒がしく街を賑わしていた。

何を隠そう、マダム御用達のお菓子屋があるのだ。


そのお菓子屋はケーキ種類の多く、甘すぎず控えめすぎず洗練された技術と美味しさを持っていた。

美食家であるリリース王妃の舌も唸らせたとか…。


そのお菓子屋は「シーベスタ」創設者の名前をとって名付けたらしい。名付けた人のセンスを問うがそれで名お馳せているのだから何も言うまい。

今日も「シーベスタ」は忙しい。


「シーちゃん!1番テーブルにななの実のシフォンケーキとレモンティーお願い」


「あいよー!」


シーちゃんと呼ばれたのは18歳の女の子だ。後ろで結い上げた翡翠色の髪と黄色い瞳。「シーベスタ」の制服が似合うくらいには顔も体型もギリギリセーフといった具合だ。

トレイにシフォンケーキとレモンティーを乗っけるとステップを踏むようにホールへ出た。


「お待たせいたしました。ななの実のシフォンケーキとレモンティーになります。こちらのシフォンケーキはこちらの蜂蜜をお好みでかけてお召し上がりください」


リズミカルに素早くテーブルに注文の品を置きマニュアルを丁寧に聞き取りやすいトーンで喋る。


「ああ」


お客はなんともそっけな声で頷いた。

想像するに20歳を少し過ぎたあたりか、金色の髪に青い瞳。眉間にしわさえよっていなければ黄色い声が止まないほどの出で立ちだろう。


…俗にいうマッシュルームヘアーも美男子がするとこうも絵本から出てきた王子様になるのか

と世の美男美女は滅べと魔法の言葉を心の中でそっと唱えた。


「ほら、有名な「シーベスタ」のケーキをできたてで食べれるなんて滅多にないぞ。早く食べろよフェル」


向かいの席に座っていた男がそう言ってフェルと呼ばれた男を急かす。


茶毛の無造作に切られた髪型も体のつき方もしっかりしている。察するに護衛か何かだろう。不細工でもなくかといって美男子というわけではない。

うーん、まぁ、あっちの男に比べるとこっちの男の方が好みだな。うん。


「…ああ」


彼はまだ難しそうな顔をしていた。


「それでは失礼します」


眉間にしわを寄せた男を視界にしっかり入れて、「食えばわかるよ食えば、味が落ちるから早く食ってしまえ」と営業スマイルにたっぷり思いを詰めてその場を離れる。


店内は人でごった返していた。高い位の貴族様から商人の娘や町娘までお客は様々だ。


ふふん、ここは当店が1番譲れないところ。

身分差で差別する奴はお断りを通している。これは創業当時からだ。


「シーちゃん7番テーブルのお客様お帰りになるからお願い。私は次のお客様の案内するから」


「あいよ!」




_____________________



「はぁああ!!」


最後のお客様を見送ったところで私は大きく息を吐いた。


「はい、今日もお疲れ様でした!」


「ほら、そんなだらしない顔しないの!今日はシーが片付け当番でしょう?」


「うへぇ…そうだった」


そう言って店の中へと戻る。


「ミフィーユ!この前の伝票どこに置いたかしらねぇ?」


「マカロン、貴方ねぇ。この前ちゃんとここにしまったわよって紙にまで書いたのよ」


「す、すまねぇ」


「しっかりしてよ」


このダンディな紳士は「シーベスタ」の三代目マカロンだ。

あ、ちなみにこの名前は2代目ハバネロのセンス。私のセンスではない。決して。


このしっかりしたマカロンがこの店の伝統を引き継いでいるおかげで変わらぬ味が提供できている。


ハバネロもいい仕事したねぇ。うん、さすが私の弟子だ、うんうん。



私の唯一の楽しみは、こうやってハバネロが選んだマカロンと奥さんであるミフィーユ、そして店の行く末を見守っていくこと。


ほんの一瞬の出来事でもこれ以上にに楽しいことはない。


全ての仕事を終え、お疲れ様でしたと言って店を出る。

ただ今の時間は7時。今日は思ったよりも早く上がれたと固まってしまった体をほぐす。


繁華街は今日も賑わっていた。ろうそくの火が暗い街を照らし少し色気づいている。


私の家は大通りを少し外れた二階建ての奥の部屋。

っていうのは建前でここから2キロほど離れた闇の神殿と呼ばれているところ。


昔、クレインがドワーフたちにわざわざ作らせたとか。

さすがというか、ドワーフたちの技術は一流で住み心地が良くて未だに愛用しているとそんな具合だ。


路地裏に入ると、闇の魔法を発動させる。

異空間の裂け目に入る。


暖炉の真上に埃をかぶりひっそりと刻まれたペンタクルが光り出す。その目印を用意てその場所へと移動することができる空間魔法。使い勝手はいいが、一度その場所に足を運ばなければならないのはこの魔法の面倒なところ。


私が部屋に降り立つと同時にろうそくの火が灯る。

ここは闇の神殿。いや、その奥といったほうがわかりやすいかも。

生活感があふれた少女の部屋だが古い本や羊皮紙が散らばっており少しカビ臭い。


「ただいまハーマー」


『お帰りー』


暖炉の方に声をかけると、ぼっと火がついた。


『今日も楽しかった?」


「人人人、忙しいったらありゃしないわよ」


『楽しかったんだね』


うふふ、と笑う彼女は精霊。火の精霊だ。

ハーマーは私がエルフの里を訪れた時に勝手についてきた変わり者。

普通は、エルフの里を出ようとも考えないのに。自然が溢れるあの里は精霊が集まりやすい。


私は乱雑に髪をほどいた。それと同時に髪は黒く瞳は赤く変わっていく。


「あー、あったかい…。さすがハーマー様今日も暖かくございます」


『うむ、苦しゅうない』


そんな会話が私たちの定番。冬に近づいてきているから暖炉もこの暖かさも必須である。



「闇の女神よ!」


するとどこからだろう、そんな声が聞こえた。


『ディモンシー、お客さん?』


「うーん、そうみたいだねぇ」


ルビーの瞳から覗いた神殿には松明をもったひどく血色の悪い黒いマントで身を包むんだ1人の男がいた。


たまにこうしてやってくる。闇の女神を悪の根源か何かと思ってるのだろうか?偶に力を求めてどっから入手した情報か知らないがこの神殿にやってくるものがいる。


確か、新書に記された序章には闇の女神は6番目の女神で嫉妬と憎悪を司るーとかうんたらかんたら的なことが書いてあったけど、こっちとら迷惑極まりないんだよねぇ


ヒミラリアももう少しマシな聖書造りゃぁよかったのに


「はぁ、」


『楽しくないの?』


「そらもう、迷惑極まりないよねぇ」


『そっか』


『なら、あいつ燃やそうか?』


「あんた偶におっないこと言うよね」


炎の玉から可愛く発せられたおっかない提案に私は苦笑いで返した。


「我の声に応えたまえ!あいつに、あいつを殺す力を、あいつの___________殺す」


はっきりとした声もだんだんと小さくなり思念だけを口にするだけの声に変わる。ぶつぶつ思念だけがお経のように聞こえる。


「うぉ、おっかね」


送り込まれてくるその人間の感情には金髪のマシュッルームヘアーの男。

マシュッルーム?



…あっ!今日店に来たあの難しい顔の男か


「へーへーへぇえ!!こんな身近なこともあるのねぇ」


ふむふむふむ、要するにこいつはあいつに一族もろとも排除されたってことね


「自業自得じゃん。…ま、まぁ、でもそれは私の問題じゃないしー_____『えいっ』…ぁ」


ギャァァアアアアアア。

可愛声とともに断末魔の叫び声が神殿に轟く。


逃げ出すように神殿から出て行く男。


「えっ、ちょっ。ハーマーさん」


『うむ、苦しゅうない』


「それ、反応の仕方間違ってるよね!?私そんなこと教えてないよハーマーさん!いつからそんな破天荒な子に育っちゃったの!!」


私はすかさずツッコミを入れる。


『ディモンシーが困ってたから助けただけ』


「ぅへっ?」


まともな答えが返ってきたから変な声が出た。炎の玉はゆらゆら揺れるとパチパチと楽しそうに火の粉を飛ばす。


「熱い!」


服に飛び散った。火の粉を手で払う。なに、嫌がらせ嫌がらせなのハーマーさん。

ちょっと、しんみりする私。


『はっはっ!あんなくそヤローなんてほっといてさ!ご飯食べようよ!』


「く、くそヤロー…」


『ね?』


「ハイ」


私の同居人は時々怖いです。

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