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あの後、カンナとカルーヤがめでたくくっついたことは瞬く間に広がった。というか、あんなお茶会の近くであんな大きな声で告白してれば聞こえているはずだ。耳を傾け、静かに見守っているエルフはきっとディモンシーたちの他にもいたことだろう。


「行ってくる」


「はーい、気をつけて行ってきてくださーい」


「浮かれちゃだめっすよ」


あっという間に話は進み、カルーヤはエルフの国を出ることになった。というか、誰もカルーヤたちを止めることなどできるはずもなく。

門に集まったのはアイシャ、ハイロードを始め隊のみんなだった。どちらかというとお見送りよりも見物しに来たとてもいった雰囲気だ。あちらそちらでカルーヤのからかう言葉が聞こえてくる。


その言葉をひとつひとつたしなめる。


「お土産期待してるっすよ」


「そうそう、お土産ー!」


「お前たちというやつは…」


アイシャとハイロードは相変わらずだ。


「おい、カルーヤもうすぐ魔法陣が発動する。乗れ」


「ああ、行く」


カンナが別れを惜しむカルーヤを呼ぶ。


「でわな」


手を振り馬車へと乗り込む。

エルフの国と人族の国をがあるサザンを結ぶのはこの魔法陣。エルフが力を貸し海を航海しなくても貿易ができるようにしたのだ。魔法陣が完成する前は航海をしながらだったが、航海にはどうしても危険が伴う。なにせ、1ヶ月もかけて航海しなければならないからだ。何隻が海に飲み込まれていったことか。


「魔法陣を越えれば、大陸にある港に設置されている対となる魔法陣のある教会に出る。魔力酔いは…お前には関係ないか…。私の拠点は前も話した通り、首都にある。首都までは早ければ1週間といったところかとりあえず、港に着いたら食料の調達からか。だか、向こうに着いたら気を抜くなよ。エルフの国との貿易商人は限られる。魔法陣は何処にあるかは非公開なんだ。悟られれば略奪もある。マントを羽織ってもらうのと、変化を使ってもらうことになる。めんどくさいだろうが、必須事項だ。いいな」


くすりと笑いながらカルーヤにこれからの流れを説明する。


「なんだ?不安か?」


「いや、上等だ」


見惚れていた、というのは言わずもがな。すぐに顔を取り繕う。が、


「うわー、見せつけてくれるっす」


「甘々な空気はカルーヤたいちょーには似合わないですよ」


「うるさい!」


「アイシャ、ハイロード。カルーヤのことは私に任せろ」


「カンナさん、カルーヤたいちょーを頼むっすよ」

「カンナさん!尻に敷いて!してやってください!」


「お前ら!」


別れの挨拶は淡々と過ぎ去っていく。

祝福の嵐が巻き起こっている最中、ひっそりと彼はいた。


「全く世話の焼ける人ですね。寂しいなら寂しいと素直にそう言えばよいのではありませんか?……アスの若頭」


「…」


野次の1人にカルーヤの父アスティアも来ていのだ。


「はぁ」


ヒースはため息を吐いた。アスティアの思いは大勢の祝福の中に埋もれ、カルーヤは気づいていない。アスティアの思いなど届くはずもないからだ。


ヒースらしくもないお節介はカルーヤへと届いた。アスティアとカルーヤの目が合う。カルーヤは隣のヒースにも気づいたようだ。

はぁ、と呆れた顔をして見せればカルーヤはそれがなんの意味を示すのかわかったようだ。


「余計な世話を」


しかし、その言葉とは裏腹に周りの精霊たちはクルクルと嬉しそうだった。

エルフとは純粋無垢で自然と共に歩む種族。だが、時としてそれは他の種族などと比べられないほどの思いを教えてくれる。


言わなくても伝わる。それがどんなすごいことなのか。きっと外に出るカルーヤは思い知るだろう。だが、それはまだ先の話。


魔法陣が光る。


そうして、カルーヤとカンナは新しい道を踏み出したのだった。


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