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「シーさん!これどこに置けばいいんですか?」
カンナと別れた後、中央へと場所を移した。会場準備は精霊たちの声を聞きつけてやってきたエルフたち。
「はいはい、それはねー」
ケーキを運びテーブルや椅子。食器を運んでいく。一部ではテーブルではなく地をテーブルとしたものや草木花を模したそれぞれの豊かな表現で会場が仕上がっていく。
「まぁ、素敵」
枠に縛られない自由の表現力にうっとりと言葉を漏らした。
「婆様と爺様達だ」
誰かのその声にディモンシーも振り返った。
「今日はありがとうございます。私のようなよそ者を迎え入れてくださって。申し遅れましたが、私はディモンシー。シーちゃんとでも呼んでください」
ディモンシーは威厳と尊敬に溢れた彼らに挨拶を交わした。
「それはそれは、恐れ多いこと。ディモンシー様、儂はノスフェラ。其方は次元の違うお方よ。其方にそう、かしこまれたら儂たちも気を張らねばなりましょうぞ」
右から1人目の彼が深々と頭をさげる。
「膿はラルクラフト。ここは、自然の生きる国。其方は自然と近しい者。余計な気遣いは互いに求めておらぬだろう。そのためのお茶会なるもの」
2番目の彼も恭しく頭を下げた。認識はハマロフィンと一緒のよう。少し硬さは残るものの自由と自然を愛するエルフの言葉。
「やれやれ、前2人のせいで最後になってしまった。妾はハルルーラ。ハルちゃんと呼ぶがよいぞ」
溜息を吐きにこりと笑いながら話し出したのは3番目の彼女。彼女には緊張感はおろか親しみやすささえ覚える。
「ハルルーラ、おまっ「ひゃっわっ、私は秘書兼お世話役のターニャです!た、たたターニャんと呼んでください!!!」
飛び込んできたのはターニャだった。
自分で言いながら自分の言葉に照れているターニャ。ハルルーラがニヤニヤしてるのがわかる。
「ハルルーラ!いい加減なことはよさんか!今は大事な場面だそ!」
「はっは、ただの挨拶じゃぞ?妾がそんなに羨ましいなら。おぬしもラルちゃんとで呼んで貰えばよかろう」
子供のように喧嘩をし出した2人。
「最高評議会とは名ばかりでのう。指揮の本体は各村の若頭に任せとる。儂らは古からの知恵を貸すだけじゃ」
こそこそと寄ってきたのは無邪気に2人を見るノスフェラだ。
「エルフの国が外界の政治の方式を取り入れたと聞いたから何事かと思ったら…。やっぱり、ここはハマロフィンの国だわ」
彼の言葉を聞き、変わってないことに少しの安堵を感じた。
「ラルちゃーん!」
「!?」
「はっはっはっ」
笑いながら駆け寄ると豆鉄砲食らったような顔で驚くラルクラフト。ハルルーラの笑い声が響いた。
「長老!!」
「はぁ、めんどくさい奴が来おった」
歩いてきたのは、カルーヤの父アスティアだ。
「このような会を勝手に開催されては困る!統制がないと思われてしまうだろう。開くにしても、私たちに話を通してもらいたい」
ずかずかと近づいて言いたいことを率直に完結に伝える。
「うるさいやつじゃの。ちと、お主は左右されすぎじゃ」
「そこまで、重要なことでもないであろうが。おい、ターニャ膿にお茶を持ってきてくれぬか?」
「うまっ、アスティア、お主もこちに来て食べるが良いぞ。この甘くて白いケーキ美味であるぞ」
「ハルルーラ、行儀が悪いぞ。淑女としての気品も忘れたか」
アスティアの話など風と一緒に何処かに消え。会話が勝手気ままに話し始める。完全に長老のテンポである。
「話を!!「はーい、お口あーんだよ」」
ディモンシーが激怒しかけたアスティアの口をケーキで塞ぐ。もぐもぐと食べる。きっと、誰もが思っただろう。あ、怒らないんだと。
「アスの若頭。ホルスの若頭とシノの若頭から検問についての報告と確認があるとのことです」
すっと、現れたのはカルーヤと同じ背格好の眼鏡をかけた好青年だ。アスティアへの態度からして秘書か何かなのだろう。
「…もぐもぐ。わかった、すぐ向かおう。長老くれぐれもハメをは外さないように!」
ちらりと、ディモンシーを横目に見る。
「失礼する」
それだけ言うと、第2の街へと去って行った。
「失礼、ケーキを少しいただいてもよろしいでしょうか?」
話しかけてきたのは先ほどの秘書の好青年だ。
「どうぞー」
ディモンシーはどれでも好きなものを好きなものだけ持っていってもいいとでもいう風に手を広げた。
「では、」と遠慮することなく持ってきた籠の中に器用に入れていく。その丁寧なこと丁寧なこと。几帳面な性格が見て取れる。
「…では、また後ほど」
まるで目の敵にするかのような目つきでディモンシーを見やる。
「あっ、あとはこの茶葉かな。どのケーキにも比較的会うからこれと一緒に食べた方がより一層美味しく食べられるよ」
一方のディモンシーは忘れてたと、睨みさえも弾き飛ばす勢いで茶葉を手渡す。
「……あなたのことは精霊たちより聞き及んでおります。……喜んでいることも重々承知で言わせていただきますが、」
「うん、なにかな」
「……あまり、かき回さないでいただきたい」
眉を寄せ、何かを耐えるように吐き捨て「失礼します」とアスティアの後を追うように去って行った。
ディモンシーは終始笑顔だった。まるで面白いものを見るかのように。




