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オキュパイド・アース ~占領下の地球~ 原案  作者: 振木岳人
黙示録の4騎士編
33/77

美田園恭香、新たなる覚悟




場所は再び変わり、日本国コロニー3【中京】

時間は既に夕方となり、公共施設やエリアの壁面や、スカイモニターは、「秋色」に、

清々しくもあり、また何か物憂げな彩りの夕映えを映し出している。


商業エリアを抜けて、エレベーターで地下階へ。

ドーナツ型コロニーの外延部、下層にある一般居住エリアへと、エレベーターは向かっていた。


途中で何人もの仲間をエレベーターから下ろし、別れ際に手を振り、

いつの間にか、エレベーターに残ったのは二人。

カオルと、美田園恭香の二人が、帰宅の途についていた。


プシューウウウン…


目的階に到着したカオルと恭香、エレベーターから出て、並んで歩き出す。

カオルは自宅へ、恭香は国連軌道宇宙軍所有の宿舎へ。




恭香「…競争率…高くなるね」




カオル「うん?競争率?」




恭香「…う、うん…。カスミさんと、ヒロノブさんも…PEEVA搭乗員希望…だから」




カオル「あっ!そっか。船外活動の実習時間の事だね」




恭香「…うん」




歯切れの悪い、もじもじした話し方の恭香。

しかし、恭香の表情は高揚すら感じられる、穏やかな笑顔。

そして、ほんのりと紅潮した頬。


そう、恭香は口調こそオドオドとしているが、

カオルと二人並んで歩く事を、喜んでいたのだ。


すれ違う人々が、振り返る程にアンバランスな二人。

赤岩雷太さえ見上げる身長の恭香。平均そこそこ…本当にそこそこの身長のカオル。

周囲は違和感を持って眺めてはいるが、本人達にはそんな感情は無かった。




カオル「でも、逆に実習の時間が少なくなるって事は、

短い時間をどれだけ集中して、自分のものにするかって事だから」




恭香「…うん♪」




カオル「あ、それより美田園さん。イジメはだいぶ減った?大丈夫?」




恭香「…うん、ムナカタ君のおかげで…、イジメも無いし…なんか…学校行くの楽しいよ♪」




カオル「それは良かった。やっぱり、学校は楽しくなきゃね」




恭香「…うん♪」




カオル「それに、カスミさんとヒロノブ君も一組だから、美田園さんも、もっと楽しくなるはずだよ♪」




そのカオルの言葉に、恭香は反応しなかった。

それよりも何よりも、「あの」姉弟と対面した時の忘れていた感情が、

今の会話をきっかけに、恭香の脳裏に、強烈に蘇ったのだ。




恭香 (…何だろう…?あの、レイモンド姉弟と会った瞬間に、心の中に湧き出た感情は?)




カオルとの会話を続けながらも、

恭香は心の奥底で、「違和感」を分析している。




恭香 (…ムナカタ君と初めて会った時と同じ、何か…昔から知ってた様な懐かしさが…)




カスミ・レイモンド、ヒロノブ・レイモンドの二人と会った際、恭香が感じたのは、

恭香が初めてカオルと会った時と同じ…。

同じ懐かしさが、こみ上げて来た。




恭香 (…でも、ムナカタ君の時と、何かが違う。何だろう…何かが違う)




カオルと知り合った恭香は、その日の内に、一目惚れと言っても過言ではない程に、

ムナカタ・カオルに対して好意を抱いた。


まだ、16歳の淡い恋心ではあるが、この奥手で人見知りの少女が積極的になるほど、

ムナカタ・カオルに対する気持ちは、彼女の心の中で、しっかりと確立していた。




恭香 (…だけど、何であの二人に会った時は、怖い…近寄りたくないって…思っちゃったんだろう?)




「…さん」


「…美田園さん?」




恭香「!」




カオル「美田園さん、大丈夫?何か思い詰めてる感じだけど」




恭香「…あ、ううん。…大丈夫、何でも…無いよ♪」




カオル「ホームシックかなって、今心配しちゃったよ(笑)」




恭香「ムナカタ君…ごめん…なさい、その…心配かけて♪」




心配そうに見上げるカオルに、笑顔を向ける恭香。




カオル「もし、寂しくなった時は、僕の家に遊びに来なよ。

僕の母さんの手料理で元気一杯になるから(笑)」




恭香「…!う、うん……ありがとう♪それと、…ムナカタ君」




カオル「うん、何だい?」




恭香「…私の事…恭香って、名前で呼んで…良いよ」




カオル「わぁ、OK!じゃあ、僕の事はカオルで良いからね」




乙女心がわかっているのか、いないのか。

そこまで女の子が言うと言う事は、どういう感情を抱いているのか。

「すっとぼけた」カオルは、いつもの明るいテンションのまま、家路を急ぐ。


それはまた、恭香にとって、(ド天然に気付かせるには、並大抵の努力じゃ駄目だ)と、

新たな覚悟を抱かせる結果でもあった。





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