第5話
「…これを…こうして…」
理沙は上からドレスを被った。
「…ちょ、ちょっと」
二人は変身している理沙を眺めている。
「あ、あとこれも…」
バッグからウィッグを取り出し、頭に装着した。
「嘘でしょ…」
「…ずいぶんと驚いているようね」
理沙はステッキを拾って構える。
「そう…私こそがファントム・シュバルツ…闇の使者で、あなたたちを葬る者よ」
「だ、騙してたんですか?」
「ごめんなさいね…そういうつもりはなかったんだけど」
「…」
「…」
「…あなたたちも早くしなさい」
「え?」
「変身するのよ」
「え…変身するところみたいんですか?」
「察しが悪いわね…決着をつけるのよ」
「ええ?なんでよ理沙さん」
「…今はその名前で呼ばないで、私はファントム・シュバルツ」
「はいはい…優香どうする?」
「…戦うしかないんじゃない?」
「はぁせっかくの休日なのに…じゃあいくか」
「うん」
「「変身!!!」」
二人は光に身を包み、変身した。
「…本気の力、見せてあげるわ」
麗奈と優香はファントム・シュバルツと大激闘を繰り広げた。
最初は互角に戦うことができたが、徐々に押され始め、ついに優香がダウンしてしまった。
「くっ…」
「優香!」
麗奈は優香の元へ近づいた。
「よそ見はだめよ!」
麗奈の方へ光線が飛んできた。
「うおおお!」
麗奈はこぶしを突き出し、光線を受け止めた。
「はぁはぁ…強すぎ、一回その杖なしで戦わない?」
麗奈は中腰になりながら言った。
「それはできないわ…これは闇から授けられた格式高いステッキだから」
「ええ…てかそもそももう戦うのやめませんか?」
「それも無理な相談ね…私たちは光と闇…戦いの宿命にあるのよ」
「…どうする?重症だよ」
優香は座りながら麗奈を見た。
「うーん…あれ?」
河川敷の遠くを見ると十数人のギャラリーができていた。
「うわめっちゃ見られてるし」
「多分サッカーのクラブチームだね、練習終わったのかな」
「理沙さんどうしますか?」
二人は理沙の方を見た。
すると理沙はしゃがみ込み、地面を見ていた。
「どうしよう…めっちゃ恥ずかしい…」
「あの…大丈夫ですか」
優香は起き上がり理沙に近づこうとする。
「その!…うーんと…」
理沙は立ち上がるが、体をくねくねとしている。
「なんかかわいそう」
「そうだね」
「…こっちも乗ってあげようよ」
麗奈はそう言って優香を見た。
「え?」
「私は光の使者!…この光の力で…あなたを成敗する!」
「…え?」
理沙は少し顔を上げて麗奈を見る。
「ほら優香も」
「ええ…私も…光の使者!…以下同文です」
「ちょっとずるしないでよ」
「…そうね、私たちは戦う宿命…この闇の力で、あなたたちをひねりつぶしてあげるわ」
理沙はステッキを構えた。
「おお立ち直った!よかった」
「…本当によかったのかな」
「じゃあいくわよ、ファントム…」
ピーピーピーピーピーピーピーピー
理沙がそう言いかけたとき、二人のスマートフォンからアラームが鳴った。
「これは!」
「きゃあああああああああ!」
声のする方向を見ると、ギャラリーの方に怪物が出現し、人々を襲おうとししていた。
「「やばい!」」
二人は全速力で駆け出し、怪物の方へと向かった。
「あ、ちょっと…」
理沙は一人取り残されてしまった。
「…」
二人は怪物と戦っているが、ギャラリーもまだ数人怪物の近くに残ってしまっている。
「…私は…」
俯き、ステッキをつかむ手の力が強くなる。
「危ない!」
一人の少年が怪物に襲われそうになっている。
手と足が震えだす。
しかし、足を一歩前に突き出し、顔を前に上げる。
「…私は!」




