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第6話

「うぅ…ママ…どこ…?」

遊園地のベンチに一人の少女が泣きながら座っていた。

左手には風船を持っている。

「あの…大丈夫?」

顔を上げると、子供番組のダークヒロインの着ぐるみが立っていた。

「うぅ…うあああああああ!」

「あ、ちょっと…どうしよう…大丈夫、悪いことはしないから…家族のところまで連れて行ってあげるわ」

「うぅ…本当に?悪いこと…しない?」

「安心して…さぁ、行きましょう」

ダークヒロインは少女に手をつかませ、一緒に歩き出した。


「理沙!」

「ママ!」

迷子センターに着くと、少女はダークヒロインを離れ、母親の方へと駆け寄った。

母親は少女を抱きしめる。

「無事でよかった…本当にありがとうございます」

母親と少女はダークヒロインの方を見る。

「次からは気を付けることね…」

「…ごめんなさい」

少女が一歩前に出て言った。

「私…あなたのこと悪い人だと思っちゃった…でもいい人だった」

「…ありがとう…でも人を一面だけで判断しちゃだめよ…じゃあね」

ダークヒロインは去っていった。

「理沙…本当によかった…」

母親はもう一度少女を抱きしめた。

「…私は」

少女は去っていくダークヒロインの後ろ姿を見えなくなるまでずっと見つめていた。

「…私はあんな風な人になりたい」


「うわああああああ!」

怪物に殴られそうになった少年は目をつぶり、腕で顔をかばった。

ドン!と鈍い音が鳴り響いた。

「………あれ?」

徐々に目を開けると、身をかばうように手を広げて立っているファントム・シュバルツの姿があった。

ファントム・シュバルツは背中で怪物のこぶしを受け止めている。

「ぐっ…痛…ふ…命拾いしたわね」

「「理沙さん!」」

「二人とも…やっぱり私がいないとだめなようね」

「グルルルル」

「本当の戦い方っていうのを見せてあげるわ…あれ?」

ステッキがない。少年を守るため走り出したときに、とっさに投げてしまっていた。

早足でステッキのある場所まで行き拾った。

「…では改めて…ファントム・フラッシュ!」

紫の光線が発射され、怪物に命中した。

「ぐおおおおおお!」

怪物は吹き飛んだ。

「かっこいいよお姉ちゃん!」

少年はファントム・シュバルツに近づきながらそう言った。

「え、ほんとに?…じゃなくて…そう言ってくれるのは嬉しいけど、私なんかに憧れちゃだめよ…だって私は闇の使者なんだから…さあ行きなさい」

「うん、ありがとう」

少年は遠くに逃げていった。

「グオオオオオ!」

怪物はファントム・シュバルツへと突進してきた。

「往生際が悪いわね…そんなんじゃ女の子に嫌われちゃうわよ」

ファントム・シュバルツはステッキを怪物に向けた。

「ファントム・レイン!」

無数の紫の光が怪物に降り注ぎ、怪物は地面に倒れた。

「グアアアアアアア!」

「じゃあ…チェックメイトといこうかしら」

ステッキを高く掲げる。

「ファントムチャージ!」

ステッキに光が集まる。

「あなたたちもさっきから見てないで手伝って」

「あ、すみません…でも何をすれば」

「力をここに集めるのよ」

「え…でも私たち光の使者だけど大丈夫ですか」

「うるさい、早く」

二人はファントム・シュバルツのところまで行き、ステッキに手を添え、力を送った。

「グアアアアオオオオオオオオオオ!!!」

怪物が起き上がる。

「今よ!」

「「「ファントムブラスト!!!!!」」」

ステッキから強大な光が放たれ、怪物を貫いた。

「グオオオオ…」

怪物は光となり、消滅した。

「やったー!」


三人は堤防の草の上に並んで座っていた。

「てか…理沙さんがファントム・シュバルツって…いまだに信じられない」

そう言いながら、麗奈が手でちぎった草をいじっている。

「…なんで理沙さんはファントム・シュバルツをやりだしたんですか」

優香は理沙の方を見る。

「え?…それはその…アンチヒーローっていうか…ダークヒロインみたいなのに憧れてて…」

「え?」

「…それだけ…ですか?」

「うん…」

「え?じゃああの服とか杖とかは?」

「服はその、私裁縫とか得意でしょ?それで自分で作って…あ、あのあなたたちの写真はその参考にさせてもらってたの…それでステッキは、その、私理系だから」

「へーすご」

「まじですか…」

「…本当にごめんなさい…私、あなたたちに酷いことしちゃった」

「いや全然いいですって…だって理沙さんは闇の使者なんだから」

「…今はそういうの言わないで」

「そうそう、光と闇は戦う宿命にありますからね」

「なんでやけに覚えてるのよ!」

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