↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/31

7話 プライベートも難しい

<登場人物>


*浄南病院研修医1年目*

・纐纈桜:主人公.A大学出身.北山田高校出身.

・箕浦健史:A大学出身,桜と一瞬恋愛関係になりかけたが桜に振られた.北山田高校出身,桜と同じ塾出身.

・秋間拓弥:A大学出身,高校時代桜と塾も一緒だった.西又高校出身.

・藤原琴海:B大学出身,北山田高校出身.言い方がキツくて桜は苦手.

・大輪田祐之:C大学出身,西又高校出身.第一印象よりは気さくだけど内弁慶.


*浄南病院研修医2年目*

・長瀬菜子:やる気なし系で病院で韓国ドラマ見るくらいの人.

・角田遊星:髪を脱色しているほどチャラい.人情厚い面もあるが桜はCPA事件をきっかけに余計に嫌いになった.

・安曇眞彦:資格大好き人間.司法試験合格している.


*浄南病院上級医*

・加藤先生:外科の先生.初めの準夜勤で一緒になり,陰で桜の行いに激怒していたため,桜のトラウマ.角田先生と仲がいい.


*その他* 省略

『桜ちゃん,ゴールデンウィークのこの日って,空いてる?遊ばない?』


B大学医学部の5年生をやっている,高校の友達,かおりんからの連絡がLIMEで来た.

この子は高校時代の親友で,まあ浪人を2回していたこともあって一時的に連絡取りにくくなったけど,大学に合格してくれたおかげでまた会うようになった.


『あー…,その日は初めての当直明けだ…流石に体力的に無理そうだよ』

『そっか!また今度ね!』


そこまで最近連絡くれなくなった子の誘いを断るのは正直心苦しいけど…

でも,大学の友達からは全く音沙汰ない.正直忙しいから仕方ないかな.


それより!!!今度の当直!!!私大丈夫かな!?


病院によってそれぞれだと思うけど,うちの病院は小規模なせいで医師の人数が少ないのもあって,休日の救急は24時間ぶっ通し勤務となる.

はっきり言って,意味わかんないでしょ.


流石に途中寝たりお休みできるとは思うけど,夜中に患者さん来たら叩き起こされる…

それでいて,うちの病院の当直手当,5000円だからね?破格なのにドブラックな環境すぎるでしょ…


それも初当直の日,ゴールデンウィークの真ん中の日っていうね.どこにも出かけられない.


最近いい感じの男の子はいる.まあ業種は違うんだけど,一緒のタイミングで就職してる子.その子にもゴールデンウィーク中に遊びに誘われてるけど,なんか私の体力的に遊びに行って体調崩しかねないと思ってしまって,中々OK出せない.


はあ…今後医師としての生活を続けるなら,ずっとこんな風なんだろうな…

半ば諦め,半ば悟りを開いていた.




____________


「ああ,纐纈さんね,よろしく」



遂に来てしまった,当直.

仕事の方は,消化器内科で色々入院とか見たりしたこともあったし,前回の準夜勤で簡単な検査を入れることもできるようになった.


…まあ,大きな声では言えないけど,未だに一度も見たことない症例なんて,対応はほぼ不可能なんだけどね.


今日の上級医は,泌尿器科の医師4年目の先生.


「夜中とかに患者さん来たら,僕当直中は基本寝ないから,全部呼んでね〜」


すっごいサバサバしている先生だな…ってか,当直中寝ないって,どういう体力してるんだ…


だとしても,上の先生にギリギリまで連絡しないってのが,それこそ"空気を読む"ことじゃないのか?ってところでも,うーん,難しいなあ…って感じ.



…と,始める前はそんなこと考えてたけど.


「救急車今から2台ね.骨折してそうなおばあちゃんと過換気の女の子だって」

「発熱のおじいちゃん来てるから,検査入れておいてね」


わ,わ,

わああああ…


なんか,"ちい◯わ"みたいになるよ,こんなの!


朝から数件並んでて,検査に迷ってたら仕事にならない.

知らぬ間に昼になってるし,持ってきた弁当のおにぎりをほぼ丸呑みし,先生に検査そろったら相談っていう流れに持っていこうと必死.


特に発熱のおじいちゃんとか,調べる項目が多すぎて…

咳がゴロゴロ言ってるし,肺炎かなとは思うけど,一般的な救急の本には基本採血と,インフルエンザやコロナの検査と,尿検査と,痰培養と,血液培養2セットと,CTと,あとは入院になりそうな時はレントゲンと心電図が必要で…


「そんな検査入れてたら回らないでしょ.血液培養は2回刺すのも大変だし,1セットでいいよ.どうせ肺炎だし尿検査もいらないし.入院の話ができるだけの検査結果を早めに出してね」


え,あの本に書いてある検査って,実臨床ではやらなくていいの…?


「えー,血液培養をとるなら,先生が取ってくださいよ〜私達嫌です〜」


まじか.救急の看護師は私がバタバタしてて本人やることないのに私に全部押し付けてくるの?

そんな時,上級医が覗き込んできた.


「これから鼠径から動脈採血をするのに慣れないとだし,僕が見ておくからやってみようか」


こ,このおじいさんの足の付け根から針を刺して採血を!?

やらないといけないのはそうだとして,このクソ忙しいタイミングに!?

上級医からの指示には従う他なし.やるけどさ…


手先が震える.


「いい?片一方は動脈の拍動に触れてること.そして針を持ってる方の手は,手首あたりを患者さんの体にしっかりとくっつけること.そして,垂直に入れること!」


難しいって!!

でも,なんとか刺さって,血が吸えてきた.


「あー,色的にV(静脈血)だね〜A(動脈血)を刺さないとだから,次回もやってね〜」


うう…

覚えることが多すぎる!!!




その後もなんとか患者さんの診察から診断まで,ある程度はそれなりに出来たと思う.

深夜2時に目眩で来たおじいちゃんの対応には,叩き起こされたこともあってかなり身体が辛かったけど,何とか,何とかこなせた.


気づいた時は,朝の8時だった.

ピッチの爆音で,叩き起こされた.


『研修医纐纈です』

『引き継ぎにはなっちゃうけど,黒色便でバイタル以上ない人が5分後に来るから対応してね〜』


少し寝たから身体は深夜2時の時よりはかなり落ち着いていた.





____全てが終わったのは終業時間の8時半ではなく,9時10分だった.


つっっっっっっっかれた…


家に帰ったら,シャワーしてそのまま布団にダイブかな…


そしたら自分のスマホに大量のLIMEの通知が来ていた.


箕浦からだった.


『秋間と藤原さんと家パしてきたわ〜w』と,その写真風景.


べ,別に悔しくないし?




…悔しくないもん!!!!!!

次回は明日,9月20日更新です.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。