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27話 後輩,今後のこと

<登場人物>


*浄南病院研修医1年目*

・纐纈桜:主人公.A大学出身.北山田高校出身.

・箕浦健史:A大学出身,桜と一瞬恋愛関係になりかけたが桜に振られた.北山田高校出身,桜と同じ塾出身.

・秋間拓弥:A大学出身,高校時代桜と塾も一緒だった.西又高校出身.

・藤原琴海:B大学出身,北山田高校出身.言い方がキツくて桜は苦手.

・大輪田祐之:C大学出身,西又高校出身.第一印象よりは気さくだけど内弁慶.


*浄南病院研修医2年目*

・長瀬菜子:やる気なし系で病院で韓国ドラマ見るくらいの人.

・角田遊星:髪を脱色しているほどチャラい.人情厚い面もあるが桜はCPA事件をきっかけに余計に嫌いになった.

・安曇眞彦:資格大好き人間.司法試験合格している.面倒見がいい.

・山田恭介:態度も体格もデカい人.面倒見がいい.野木先生と仲が悪い.

・佐藤柚紀:通称ゆき先生.桜の飲み友達.腎臓内科志望.


*浄南病院上級医*

・野木先生:外科の先生.桜を無視する系のパワハラ系上司.院長のコネ持ち.

・芝浦先生:呼吸器内科の先生.丁寧に教えてくれる.

・七森先生:腎臓内科の先生.桜を見守っており,優しい.


*その他*

・山下君:桜の幼馴染.よくゲームで一緒に遊んでる

・川端さん:ゆき先生と一緒に飲む友達.浄南病院の受付をしている

循環器内科のローテは,本当に長いものとなった.


行うカテーテル治療の種類なんて,心筋梗塞のためのCAG/PCIと呼ばれる検査と治療,不整脈に対してのアブレーション_____


正直,よくわかんないわ,っていう気持ちがあまりにも強かったし,気が遠くなりそうだった.


でも,正直なところ,この循環器内科の次に待ってる『救急ローテ』を考えたら,まだこの毎日の方がマシだな,くらいには思っていた.



___そんな毎日に,ある話が舞い込んできた.



それは,箕浦が持ってきた話.


「来年度の後輩のメンバーが決まったぞ!!!」




____そう,もう,"マッチング"の時期だった.



私達も勿論やってきたマッチング.そこで私は第二希望の浄南病院に決まってここにきた.


もうこんな時期になるなんて,本当にそんなに時間って経ったっけ?って感じで現実感がない.


メンバーが嫌であんなに悲しかったあの時が,もう1年前なんて.


そんな,来年のメンバーは,


男子4人,女子1人,うちA大学は3人.



「僕の部活の後輩も来たみたい」


秋間がそう言いながら指した人は知らなかった.


「ってか,あいつも来るんだな」


箕浦が指した子は,


私,秋間,箕浦の通ってた塾の,後輩で,よく知ってる子だった.



それも,私の昔家庭教師として教えてた女の子の,


お兄ちゃんだった.



________


「あれ,もう来年の子決まったんだね〜もううちも浄南から離れるまで時間ないじゃん」


今日もまたゆき先生とのサシ飲みだった.


「ゆき先生がいなくなるのがそんなにすぐなんて,耐えられません…!!」


ゆき先生と仲良くなってまだそんなに経ってないのに,もう次の研修医メンバーの話とか,悲しすぎる.


ゆき先生のことが本当に大好きだから,辛い.


「まあ仕方ないよね.桜ちゃんも専攻医になったらどうするの?」


ピタ,と手が止まった.


専攻医として,糖尿病内分泌内科を選んだのはゆき先生も知ってる.


今後のことがすごく大事になると思うのが,専攻医1年,つまり医師3年目だと思ってる.


何も考えてなかった.まあまだローテしてないし,浄南に残ることも考えてたけど…


そうか,浄南以外の道ってあるんだ.


「ちなみにゆき先生はどうして浄南を出るって考えてるんですか?」


ずっと気になってたけど,来年度いなくなることに向き合いたくなさすぎて聞けなかった.


七森先生はすごく優しいし,勉強にもすごく熱心なのに.


「うーん,まあ色々あるんだけど」


色々あるのか…


「浄南で働いてても,学ぶことって少ないだろうなって思ったのが大きいんだよね」

「学ぶことが,少ない…?」


どういうこと?


「まあ規模が小さいってのもあるけど,ななっちが何でも仕事を先回りにしちゃって,勉強にならない気もしてさ」


ななっちって,七森先生のあだ名か.なるほど.


ゆき先生は腎臓内科に進むから,もし残るなら七森先生が部長,つまり上司になる.


確かに,七森先生ってすごく優しい.でも,仕事も割と自分でやっちゃう感じは側から見ててありそうではある.


「先回りすると,経験とか考える時間がなくなっちゃうし,よくないなってことですか?」

「そう.あとは,旦那の病院から近いところの方が便利だなって思ったからってのもあるんだけどね」

「ああ…」


旦那さんも同学年の研修医で,旦那さんの病院から近いところに住んでいるとは聞いた.だから浄南病院からは遠いし,通うのが辛いってのもあるんだろうな.


「まあ今度行く病院を選んだのは,旦那の病院から近いところを見学しただけってのもあるし,適当なんだけどね」


へへ,と笑ってるけど,しっかり考えた上で決めたんだろうな.


「私も,浄南病院に残らないっていう選択も,あるかもしれないですね」

「どちらかというと,糖内は2年間働いても,今後の専門をとる上でこの病院はイマイチだって聞いたし,考えた方がいいよ.まあ詳しくは他の先生に聞いた方がいいと思うけど,こんなところで変に時間を潰したらダメ」


…え?


もしかして,ここの病院に残るメリットって,ない____???


何が問題なの?


専攻医になったら具体的に何をするのかも,今後どうすればいいのかも,何にもわからない私にとって,そんな話なんて,うまく頭に入っていかなかった.



___新たな問題が心にしこりとして残りながら,飲み会は終了した.






そして,循環器内科のローテも終盤になった.


思い出なんて,カテ室で眠くなるのを何とか我慢したり,トイレに逃げ込んだりして時間を潰したことしか残らなかった.



…本当にカテ室のあの暑さ,どうにかならないの!?なんて,ずっと思ってた.



そんなローテ中も,今後の病院のことが頭から離れなかった.







____そして,


3回の救急ローテの内,



1番辛い救急ローテが,始まった.

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