23話 自分の進路
<登場人物>
*浄南病院研修医1年目*
・纐纈桜:主人公.A大学出身.北山田高校出身.
・箕浦健史:A大学出身,桜と一瞬恋愛関係になりかけたが桜に振られた.北山田高校出身,桜と同じ塾出身.
・秋間拓弥:A大学出身,高校時代桜と塾も一緒だった.西又高校出身.
・藤原琴海:B大学出身,北山田高校出身.言い方がキツくて桜は苦手.
・大輪田祐之:C大学出身,西又高校出身.第一印象よりは気さくだけど内弁慶.
*浄南病院研修医2年目*
・長瀬菜子:やる気なし系で病院で韓国ドラマ見るくらいの人.
・角田遊星:髪を脱色しているほどチャラい.人情厚い面もあるが桜はCPA事件をきっかけに余計に嫌いになった.
・安曇眞彦:資格大好き人間.司法試験合格している.面倒見がいい.
・山田恭介:態度も体格もデカい人.面倒見がいい.野木先生と仲が悪い.
・佐藤柚紀:通称ゆき先生.桜の飲み友達.腎臓内科志望.
*浄南病院上級医*
・野木先生:外科の先生.桜を無視する系のパワハラ系上司.院長のコネ持ち.
・芝浦先生:呼吸器内科の先生.丁寧に教えてくれる.
・七森先生:腎臓内科の先生.桜を見守っており,優しい.
*その他*
・山下君:桜の幼馴染.よくゲームで一緒に遊んでる
・川端さん:ゆき先生と一緒に飲む友達.浄南病院の受付をしている
「纐纈さんって今どこのローテ?」
放射線科のローテをしっかり満喫していた私が昼ご飯を食べてると,近くにいた大輪田から話しかけられた.
「ああ,放射線科!めっちゃ楽しい!」
「ええ…安藤先生も部長も怖くね?」
ええ?あんなに優しいのに?
私は,安藤先生だけじゃなくて,部長からも褒められることになった.
「君はできるんだから,もう少しゆっくり読影しなさい」とか,厳しいことは言ってるけど,何気に褒めてくれるから私もどんだけ過ごしやすいことか.
「怖くなくない?めっちゃ優しいよ?」
「全然できてなくて結構絞られてたのにそれはない」
じゃあ私がそれだけ本当に認められてたってこと?
褒められて嬉しかったけど,正直みんなに同じことを言ってると思ってたから,それは意外だった.
「そこまで言われるくらいなら,放射線科を目指したらいいんちゃう?」
他人事だからって,適当言ってんな?
「まだ決めかねてますー!」
丁度食べ終わったから,そのまま読影室に戻った.
________
「進路ねぇ…」
私は時間が余ってて,安藤先生も手が空いているタイミングだったから,進路について相談をしてた.
じゃあ他にどこの科とかを考えたいの?って言われたら,今の所消化器内科以外の内科系がいいかなって思ってる.
まだ回ってないし,具体的な科は呼吸器内科しか思い浮かばないけどね.
「放射線科は本当に向いてると思う.でも,他の道も考えたいって気持ちもわかるかな」
安藤先生がそんなことを言うとは思ってなかった.
「先生は,どうして放射線科を選んだんですか?」
人の選んだ理由って,すごくためになる気がして.
「実は,僕って元々小児科専攻してたんだよね」
___意外だった.
放射線科に初めからなってたと思ってた.
「そうなんですか?」
「うん.結構仕事がキツくて,放射線科に変わったんだよね」
内科系と小児科___もちろん外科系もだけど___は,夜に救急で運ばれた人がいたら,緊急で呼び出される科が多い.
場合によっては家に帰れない日も多い.
そういうところも,内科を選ぶのに躊躇していたところだった.
逆に,放射線科は病院によっては呼び出しがないところもある.かなり体力的にはいい感じだと思う.
「まあ,変な話,僕みたいに後でもなれるのが放射線科だと思ってるから.暴論だけどね」
「なるほど…ためになります」
『後でもなれるのが放射線科』_____その言葉は,今後のビジョンを考える上で,かなり大きな一言だった.
____そして,家に帰ってから私はスマホであるものを検索していた.
そして,A大学の内科の研究室のホームページを開いた.
『見学者募集中』___その横に,メールアドレスが書かれていた.
そこに,アポを取るため,メールを送った.
________楽しい時間はすぐに終わってしまう.
「纐纈先生があまりにもすぐに問題解くから,問題を増やすのに本当に苦労したよ」
「あはは…私はすごく楽しかったです」
最終日.今日も今日とて読影の練習を行う.
麻酔科とか外科の時なんて,いつ終わるか指折り数えてたのに,まだ名残惜しい気持ちでいっぱい.
「来年度も私,またローテしたいんですが,いいですか?」
「なら,もっと準備しないとなんだね」
安藤先生は笑っていた.
部長も,そこまで悪い気はしない,と顔に書かれていた.
「それで,今後の進路はどうするつもりになった?」
安藤先生が,こっそり私に聞いてきた.
「私…
内科を選ぼうと思います.若いうちじゃないと,行きたいって後で思っても体力的に厳しそうですし,大変なものを若いうちに選ぶのもいいんじゃないかなって.」
…そう,私は内科に進むことを決意した.
どの科に行くかはまだわからないけど…それを決めるために,A大学の見学の予定まで立てた.
内科って,開業とかバイトも幅が広がるし,自分の資格を思う存分使えるところの方が堅実で,私らしくていいんじゃないかなって.
ただ,大変な道だと思うから,そこはもう覚悟を決めた.
甘い方を選んで,今後困る自分なんて,見たくない.
「内科ね.どちらにしてもCTの読影とかも自分でやらないといけなくなるわけだし,得意なことを使えていいと思うよ.纐纈さんなら大丈夫だと思う.頑張ってね」
「はい!」
本当に,放射線科のことが,
好き,だった.
________次の週,血液内科となる予定だったけど,1人しかいない血液内科の先生が1週間不在と聞かされた.
…逆に,これを好機と考えよう
そんなことを思いつつ,その期間にA大学に見学に行くことになったのは,別のお話.




