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13話 パワハラ上司がうざすぎる!

<登場人物>


*浄南病院研修医1年目*

・纐纈桜:主人公.A大学出身.北山田高校出身.

・箕浦健史:A大学出身,桜と一瞬恋愛関係になりかけたが桜に振られた.北山田高校出身,桜と同じ塾出身.

・秋間拓弥:A大学出身,高校時代桜と塾も一緒だった.西又高校出身.

・藤原琴海:B大学出身,北山田高校出身.言い方がキツくて桜は苦手.

・大輪田祐之:C大学出身,西又高校出身.第一印象よりは気さくだけど内弁慶.


*浄南病院研修医2年目*

・長瀬菜子:やる気なし系で病院で韓国ドラマ見るくらいの人.

・角田遊星:髪を脱色しているほどチャラい.人情厚い面もあるが桜はCPA事件をきっかけに余計に嫌いになった.

・安曇眞彦:資格大好き人間.司法試験合格している.


*浄南病院上級医*

・加藤先生:外科の先生.初めの準夜勤で一緒になり,陰で桜の行いに激怒していたため,桜のトラウマ.角田先生と仲がいい.

・芝浦先生:呼吸器内科の先生.丁寧に教えてくれる.


*その他* 省略

もうすでに嫌になった初日を超え,火曜日となった.


「先生,今日はあ(・)の(・)野木先生ですよ…」


救急の看護師さんから言われた"野木先生"のことは,噂で私も知っていた.


前のトラウマ救急の時の外科の先生,加藤先生は,5月いっぱいで別の病院に異動になった.だからこそ,なんとか私も耐えらえていたところがある.


でも,その代わりに入ってきたのが,医師5年目の外科専攻医,"野木先生".

元々浄南病院の研修医だったみたいで,プログラムの関係で半年別の病院にいたのだとか.


ということは逆に,元々の評判というのがあるわけで,他の病院に行く前から既に看護師さんの中ではかなり不評なことは,風の噂で聞いていた.


なんでも,かなりパワハラ気質で,研修医に対しては女子には優しいけど男子にはかなり冷たいとか,そんなことを聞いている.


…ってことは?私,女だし,よっぽど嫌われることはないでしょ!


とは一応思ってるけど,正直なところ心配は結構ある.




___その心配は,徐々に膨らんでいくことになる.



まず朝の引き継ぎの時点で,野木先生はいなかった.


ちょっと待ってよ,いないってどういうこと?


救急隊から連絡が来るスマホは?それ,上級医が持つものでは?


「まああの人だしね…」


救急の看護師さんもそのレベルって,かなり酷くない?


病院ルールでは,引き継ぎの時にいないことは結構な問題で,この時点でアウト.このことを他の人もチクってたらしいけど,改善されずのよう.


言い方悪いけど,何でたかが5年目で病院ルールを無視できるの?とか思ってたら,聞いた話によると,うちの病院の院長と仲良い先生の息子がこの野木先生だから,ということらしい.


は?って言わせて貰おうか?


こんなところで医者家系かどうかの影響出るの?



それだけじゃなくて,救急にいないといけないのに,いないってことは,私にとって最悪なことが2つある.


まずは……,ああ,嫌な予感が当たってしまった.


「浄南1救急隊です〜」


誰にも連絡せず,勝手に救急車の受け入れをしてしまうこと.


これをされると,どんな人が来るかとかの準備が全くできない.


私だけじゃなくて,受付の事務さんとしても「聞いていないんだが?」の状態が始まってしまう.


…こんなことされるの初めてすぎて,対応に困る…


「纐纈先生,野木先生から連絡聞いてましたよね!?」

「いや,私も初耳すぎて困ってます!!電話も誰からも貰ってません…」


看護師さんもベッドの配置とかでブチギレてるし,どうしろっていうのよ…


「この方は〜〜さん,聞いてるかと思いますが腰痛の患者さんです.電話でお伝えした通りです.搬送記録のサインを」

「あの,私,全く聞いてないので教えてもらってもいいですか?」


救急隊の方も私の言葉に怪訝な顔をしていた.


…まあ,そういう反応も当然だよね!!!


そんな,あまりにもまともに仕事してくれない野木先生の日だとしても,救急の患者さんの対応は変えてはいけない.


「どうされましたか?」

「痛くて,元々腰痛持ちで…」


診察を進めていく.


「ジクロ50の方を準備,腹部CTとレントゲンの準備をお願いします」


看護師さんに指示しながら,カルテを進めていった.




____さっき,最悪なことって2つあると言ったよね?


2つ目は,そう,今.


全部結果が出て,最終的には上級医に一度相談して,入院の可否は上級医が判断するのが原則になっている.


いつもならその場で相談できるけど,今回はどこにいるかもわからない.


…まあ,電話だよね.


実は電話がかなり苦手.でも,かけないと進まない.


電話帳に『消化器外科レジデント 野木』と書かれてるところを押す.


トゥルルル,トゥルルル,………ブツッ


『…』

「あ,あの,研修医纐纈ですが,上申よろしいでしょうか?」

『…』


無言って何だよ!?まあ,いいと思って続けるけどさ.


「56歳の男性の方で,腰痛で来た方なんですが,CTとレントゲンでは私から見たら特に問題なさそうで,本人も除痛されてましたし,帰宅のそうだ…」

『そんなことでかけないで』 ブツッ


ツー,ツー,ツー,…




……………え?????


今の電話,理解できない.


「纐纈先生,この患者さんどうなりそうですか?」


…ごめん看護師さん.


「…電話かけたら,『こんなことでかけるな』と言われて切られました…」

「ええ…」


え,どうすればいいの?勝手に帰していいの?研修医の私にその責任は負えないよ?


うう…胃がキリキリしてきた…


「…それで,どうします?」

「患者さんにはかわいそうですけど,私の判断で問題になったら困るので,午後の先生にまた相談して帰してもらいます…」


自分の身を守る選択肢として,私にはそれしかなかった.


どれだけ不満げな看護師さんの表情を見ても,どうすることもできなかった.





________


「…って話があってさ,これってパワハラかな?」

『いや,流石にそれはパワハラでいいんじゃない?』


帰宅後,オンライン麻雀をやりながら,"いい感じの人"__山下君と通話していた.



山下君は私の幼馴染.進学先の大学がたまたま隣にある大学で,連絡を時々取ってたんだけど,就職のタイミングでまた連絡をたくさん交わすように.そこから麻雀の趣味があることを知って,私もオンライン麻雀の相手になっている.


「報連相ができない大人っているんだなって…」

『何かそれで仕事が回ってるのがすごいよ』

「確かに…」

『それに,上の人に相談したのに聞いてくれないとか,上司失格だと思う』

「私の言いたいこと代弁してくれてありがとう…」


あ,そんなこと言ってる間に立直《リーチ》するの忘れてた!


『おっ,お先に〜ツモ!』

「負けた〜」



…こうやってさ,話ができる相手がいるのはすごくありがたい.


『…それでさ,纐纈』

「ん?何?」


何よ改まって.


『今度さ,ランチでも行かね?』

「オッケー,…あ,でも,救急ローテ終わった後の方がいいかな.救急ローテの間,金曜日が当直だし,日曜日しか休めないから体力の心配が…」

『それは仕方なし.りょーかい』


この関係が,本当に私の癒しだった.




____これから起こるストレスも,何とか乗り越えられそうなくらい.

⭐︎土日どちらも更新になりますので,明日も更新となります⭐︎

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