悪役的に
31.
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「クソリミザ!いくぞ!!」
怒りに任せ、ガットは剣をぬいた。
「 ガット!ちょいまって! 話しておいただろ?」
黒い翼をばたつかせてリミザが下降してくる。ガットの横をそのままのスピードですぎると、キエネへむかった。
「邪魔者どもうせろ!!」
キエネがさけび、続けて破裂音と閃光がかさなった。
「リミザ!」
まぶしい光がはじけたなか、人と人が重なって倒れるおとがして、ガットはリミザの名をよんで眼をこらした。
岩が転がり砂ぼこりで白くおおわれたそこに、キエネを押し倒し馬乗りになったリミザがいた。
黒い翼はしまわれたが、ながい角はでたままだ。
「 どうした?おれと目を合わせろよ。ほら、おれのことをみろよ 」
リミザが、いままできいたこともない低くあざわらうような響きの声でキエネに命じている。
ガットの腕に鳥肌が立った。
「 く、ソリミザ!さっさとしろ!」
それをふりはらうようにリミザにどなる。
「なんだよー、すごい悪役的にワルイ顔しながらゆっくりいこうと思ってたのにー」
ふりむいたリミザの細い片手が、キエネの太い首をしめているのがみえた。
「てめえが楽しむためにやってんじゃねえぞ。 さっさとおわらせろ!」
キエネの喉をしめられたうめきがもれ聞こえてきて、ガットはさらに怒鳴った。
「えー、だっておれが立てた計画なんだから、 すこしは楽しんだっていいだろ?」
リミザがにやけた顔をガットにみせてから、もう片方の手もキエネの首にかける。
「 っクっソリミザがああっつ! 」
握りなおした剣をリミザの背中めがけふりおろす。
「っぶねえええ!なにすんだよっ!!」
突然出た黒い翼がリミザの背をまもり、剣は翼にあたったまま動かない。
「なんだ・・・?」
ガットが振りおろした剣に、よくみればリミザの翼から出たたくさんの小さな黒い枝がへばりついている。だが、さらによく見ると、その『黒い枝』が、翼の羽一枚一枚からのびた、細く小さい三本指の『手』だと気づく。
「 っくっそ、さっさとやれよ!!予定通りに!」
気色悪さと怒りで剣をひきもどし、代わりに翼をけとばしてやった。ところがいつのまにか翼は消え、足をあげまわした勢いであやうく転びそうになる。
「ガットはどんどん短気になるなあ。 わかった、やるから、ちょっと待てよ。あ、テモモが平気そうかみてくれよ」
言われてむこうで横になったままの老人のことを思い出す。




