トカゲの報告
28.
「おい、この国終わるぞ」
その使命を負った白いトカゲが、報告をはじめた。
明日はようやく、テモモが船を沈めた場所まで、キエネが用意する船ででていく予定だ。
昨日、《ヂガミ》と《ウミ》の《話し合い》に出て予定通り『キエネと行動したい』という希望を通した《勇者一行》は、きょうになって、アチルゴ国のほかの島もぜひみてまわりたいと言い出して、十五ほどの島をキエネに案内されみてまわってきた。移動は船ではなくキエネの《術》によって島にとばされ、その島の畑や森、吊り橋や滝などをみてまわり、島につくたびにさりげなくラフィーの胸当てから落とされた白いトカゲは、島の《ウミ》たちから情報収集することになっていた。
トカゲは島をうつるごとに、《ヒモ付け》によって前の島から回収され、また落とされるをくりかえしていたので、夜になって家にもどったら、さぞかし溜まってふくれあがった文句を聞かされるだろうとみんな予想していたのに、第一声がこれだった。
「 ―― いきなりなんだ?」
ガットは研いでいたナイフをしまいながらきいた。
明日は船が沈められた海で調査をすることになっている。
戦士の剣は論外だが、小さい方の剣ぐらいは持って行こうかと思ってるのだが、なにしろ今つかえるラーラの魔法術が限定なので、『塩』から剣をまもる魔法がつかえない。それならいっそ、剣ではなく、このナイフをものすごく研いで持っていこうかと考えていたところだ。
ふん、と人のように鼻をならしたトカゲが、テーブルに四人が座るのをまち、はなしはじめた。
まず、どの島でも、いきなり白いトカゲにしゃべりかけられた《ウミ》たちが用心深く、どんな扱いを受けたかを、腹をたてながら報告し、最初の『ニの島』で年取った《ウミ》がなにか思いついたように、「と、・・・トカゲだ。こいつはトカゲだ。トカゲなら人ではないぞ。話しても『呪い』はない」と言ったことで、ようやくどの島でもはなしをきけるようになったぜ、とながい前置きをしてながい息をはき、話しをした《ウミ》たちにうまいものをもらったらしく、今日だけでさらにふくらんだ腹を上にして寝ころんだ。
「 ―― まあ簡単にいうとだな、この国はいまキエネに支配されてテモモを人質にとられてる。だがそれを人に言うと、しゃべったそいつは《呪い殺さる魔法術》がかかってるんで、おたがいそれについてしゃべれねえし、まして、外からきたおれたちにもつたえられねえってことだ」
「まさか!」
ガットがたちあがる。
「やっぱりね~」
ガットがナイフで切ってくれた果物をたべながら、ラーラが勝ち誇ったようにわらう。




