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勇者死んだままパーティー(契約中) ― 海の魔獣退治 ―  作者: ぽすしち
おかしいはなし ― 27 ―

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リミザのまともな提案


「 おい、『消す』ってことは、こいつにこんな紙をいれたのを、『消したい』ってことか?これって、おれたちに対するいたずらか?」

 ガットがのびてきたひげをつまみながら、ラフィーをみる。


「いや、ただ単にわたしたちに、アチルゴ国の魔法術を自慢してみせたいだけでしたら、さっさと種明かししてみせたでしょう」


「ちっくしょう!なんども吐き出そうとおもったのに、からだがゆうこときかなかったぜ」

 白いトカゲはぐったりしたようにあおむけにころがった。


「ええ?でも、なにから『たすけて』ほしいのかなあ?」

 リミザが紙をもっていた手をみながら、首をかしげる。


「いや、これ、あれだろ? おれたちがこの《依頼》を断ったとき用に仕込んでおいただけだろう?キエネのはなしきいただろう?《ヂガミ》ってのは、どうもおれは好きになれねえ」

 ガットがひげを引っこ抜く。



「えー、でもさあ、おれ、じつはここに来る前の港まちで、アチルゴに関する変なはなし、《勇者》やってる人から聞いたんだよなあ。なんか、アチルゴ国出身のパン屋さんが、アチルゴにまだ住んでる友達に、理由は言えないけど、いま島にもどるなっていわれたんだって」


 リミザが手をあげていうと、ラフィーも手をあげた。


「わたしも、ドミート司祭に頼んでみせてもらったものにはアチルゴ国に関してなんの手掛かりもありませんでしたが、ダメもとできいた司祭補助のスコルくんから、アチルゴに生息する『島ねずみ』がおかしなぐあいに移動したはなしをききました」


 そこでしかたなさそうに、ガットも船の交渉相手だったガリオーに聞いていた『島ネズミ』のはなしをだし、《勇者一行》は話し合うことになったのだ。



「 ―― あたしがハバーツ国の《魔法研究所》できいたところじゃ、アチルゴ国が《王様連盟》に入る前にナオとイニグは、魔法術の研究とかじゃなくて、世の中を見るって目的で、ハバーツ国の王様のはからいでちかくの国をまわったみたい。そのときはまだ、テモモはハバーツ王国にあいさつにきてるし、大型船もみあげてほめてたってきいたわ。なんか、キエネのはなしと雰囲気がちがいすぎるのよねえ」

 ラーラが片方の眉をあげ、ガットをみる。


「 ・・・なんだよ。キエネがおれたちに嘘をふきこんでるとでもいうのかよ?」

 ガットは髭をかきながらききかえすが、自分がきいた『島ネズミ』のはなしも気になっていた。

 傭兵だったころ、海の魔獣退治でのっていた船が沈む寸前に、海にとびこんでゆくたくさんのネズミをみたことがあるからだ。


「ともかく、初日にして情報量が多すぎて、どれがほんとうでどれが嘘かなんて、わたしたちにはまだわかりませんし、こうなると・・・、とりあえず部外者なわたしたちは、どの情報も疑ったままでやっていくしかないでしょう」

 ラフィーの提案に、ガットはすこし不服そうに「キエネもか?」と確認した。


「キエネこそ、疑うべきかもね。あの魔力、ちょっと普通じゃないし、なんか・・・変な感じもするんだよね。なんていったらいいか・・・」


 ラーラが眉間をつめて言葉をさがすのに、ラフィーも賛成した。


「わたしも、まだこの国の《魔法術》に慣れていないせいかとおもったのですが・・・、カテカに移動させられたときと、キエネとでは、感じられる《魔力》が違うんです」


「それ、ただ単に『魔力の差』をそう感じるんじゃねえのか?《ウミ》は元が人間じゃねえとかいっても、《魔族》じゃねえし、いまは人間だ」

 そう怒ったように言ったガットは、この時点でかなりアチルゴ国内での《ヂガミ》と《ウミ》の格差のはなしに腹をたてているようだった。



「 まあ、まあ、いまはラフィーのいう通り、どっちも疑っていこういよ。ここで話し合うのに『幕』をはるのだって、おれたち見張られてるかもしれないから用心したわけだろ?それよりさあ、この家の中まわって、食い物見つけたい。腹減ったよ」

 この、いつも通りなリミザの一言で、家探しをはじめ。台所においてあった、まだ暖かい蒸したパンをみつけ、そのわきに、これみよがしに添えられた『鍵』に合う扉をさがしたら、奥の地下に造られた書庫をみつけ、大量の紙の地図や資料をみつけることができたのだ。


 リミザが食べた蒸しパンの具の中からでてきた紙片には『信じるな』とかいてあり、それは燃えて消えなかったので、そのままリミザが食べて飲み込んだ。



 とりあえず、これから立ち会う《ウミ》と《ヂガミ》たちの話し合いでは、どちらが話し合いの主導権をとるにしても、やってきた《勇者一行》にこのさきどうしてほしいかがしめされるはずだ。だが、それを示されるまえに、こちらが先にどうしたいかを示すことにしようとリミザが提案した。


「 ―― だってさあ、とにかくキエネはおれたちの信用を得たいって必死なかんじだろ?わかった、いいから、ガットはすこし黙ってて。 あのさあ、ラーラとラフィーがキエネをうたがってるのは事実なんだからさ、そこはちゃんと考えようよ。 だから、これから参加する《ヂガミ》と《ウミ》の話し合いの場所で、おれたちを代表したガットからさきに、明日からは『キエネと行動したい』って申し出れば、キエネもずっとおれたちといっしょに行動するってなるだろ?ぜったいにキエネは断わらないよ。 そしたらさ、その間に、ほかの《ウミ》たちからもいろいろ話しを聞きだせばいいだろ? だれがってそりゃ、 ―― 」



    そう。 《勇者一行》のマスコットである、白いトカゲが、だ。












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