単価
そういう交渉を何度かしてきたおかげで、ガリオーにとっては、この港で会う《勇者一行》は、いいカモでしかなかった。
こちらがすきな額を書いた契約書類にサインをさせ、それを《王様連盟》に請求書としてだせばいいだけだ。
さらにこんかい良かったのは、この声をかけてきた男が、《戦士》であるところだった。
経験上、《勇者》はなんだかんだと納得させるまで時間がかかるが、《戦士》はたいてい深く考えることもなく即決だ。パーティーによっては、《勇者》よりよほど権限がありそうな《戦士》がいて、すべてを仕切っていたりするのをみたこともある。この戦士も、『あんた、あれの船主か?』と声をかけてきたとき、すぐに《王様連盟》の依頼証をみせてきた。そんな証書を持ちあるいているくらいだから、この男のパーティーも、彼がすべてをしきっているのだろう。
「 ゼロが、七つか・・・」
無精ひげをかきながら、『商談中』のあいてはテーブルを、片手の指をゆっくりうごかしてたたいた。その指に、立派な指輪がはまっているのをガリオーは目にし、さらに笑みをふかめる。
こういうふうに家系の紋章を身につけた戦士ほど、見栄をはったりする。
まえにこの店につれてきた戦士は、やたら自分の家系の歴史をかたったくせに、こちらがはじめた港の歴史の話しはさえぎり、『いくらはらえばいいんだ』としかきいてこなかった。一人当たりの値をこたえてやったが、人数分の値がだせなかったらしくだまりこんでしまったので、こちらがすこし上乗せしたのを総額だ、といってだすと、満足そうにうなずき、契約書類にすぐに署名した。
まあ、テーブルをたたいて考えるふりをするだけ、この戦士は頭をつかえるということだ。
「・・・まさか、ひとりの値で、ゼロが七つじゃねえだろ?」
お、さらにこの戦士は頭がつかえるらしい。
『おや?きみはちゃんと数をかぞえて確認できるんだね』という意味の微笑みをうかべ、「おひとりですよ」とこたえてやった。
「 ふうん・・・・。なあ、もういちどあんたの船、みせてくれるか?」
先にたちあがった若造が髭をかきながら、こまったような顔をする。
「ええ、いいでしょうとも。なにしろ大きくておどろいたでしょう?あの大きなの船はこの国と、あと数国しにしかないですしね。ゼロが多いと感じたかもしれませんが、なにしろあなた方がいきたいという島にいくためには、うちの船でないと潮にながされて何か月もかかってしまうでしょう。あの船にはお客様用の立派な部屋もありまして、あなたたちはそこでくつろぎながら島につくのを待つだけでいいのですよ。お仲間のかたもぜひ先にみていただきたいですな。きっとここまで大きな船は、いままで見たこともないでしょう」
あとをおいながら、もしかしてゼロの数が多すぎるのに気づかれたかもしれないとあせる。だが、あの船のおおきさをあらためてみれば、納得するだろう。




