あとは頼んだ
26.
ドゴンっ、という音というよりも衝撃をからだぜんぶでうけたガットは、取り出した盾ではまにあわないことを覚悟したが、つぎの瞬間にはそばに立つラーラの魔法でまもられていることを知った。
「 なっ・・・ 」
「ガット、道がふさがれた」
ラーラが小声でつたえてくる。
ふたりのからだには小石さえもあたらないが、洞窟がくずれ、たくさんの岩がはがれおち、そこはさきほどよりも倍以上のひろさになっていた。われたどこかからひかりがひとすじさしこみ、、まきあがる砂ぼこりを白くてらしだしている。
「 おまえたちはただ、おれの望み通りことのなりゆきだけをみていればよかったものを。よけいなくちをだしおって 」
落ち続ける岩のなかからキエネの声がした。
「テモモ!」
カテカがむこうでたおれたテモモにかけより助け起こしたが、老人につきとばされた。
「よるな!!・・・この国のあとはたのんだぞ。お若い外の国の者よ、はやくカテカをつれだしてくれ。おれと目があえばカテカにアレがのりうつる。おれはここでアレとともに果てる」
血まみれのくちを動かし、この国の王様は《勇者一行》へ頼んだ。
「なにをいうか!」
白いほこりの中からキエネの姿があらわれた。
「カテカよ、テモモを置き去りにするのか?できぬだろう?さあ、はようテモモをつれて、ここから逃げろ。このでしゃばりな《勇者一行》どもは、 ―― おれがかたづける」
砂埃をかぶり真っ白になった髪のあいだからのぞくキエネの顔は、血まみれだった。
「ラーラ」
「あいよ」
《魔法使い》の杖のひとふりで、岩のかけらといっしょにカテカのからだが浮き上がる。
「テモモ!だめだ!テモモもいっしょに、」
「わがままいわない!あんたはさっき、この国をまかされたでしょ!」
うかんだ岩のかけらはキエネにとりつき動きをとめ、視界をさえぎった。
カテカはガットたちのそばにひきよせられた。
「ラーラー、ここにでっかい割れ目があるよー」
ひかりがさしこんできている上のほうから、リミザの声がした。
「おっし。じゃ、あとは頼んだわ」ラーラが浮き上がるとカテカも浮き上がる。
カテカはこどものように顔をおおったままだった。
「カテカ、聞け。 おまえがテモモを見捨てるわけじゃねえ。外の国からきた《勇者一行》のせいで、おまえはテモモをつれだせなかった。そんで・・・、テモモが死ぬのも、おれたちのせいだ。 悪いな。 ―― 助けられなくて」
最後までカテカの顔をみていられなかったガットは、剣の柄をにぎりながら謝った。
ラーラとカテカが割れ目をぬけ、キエネにとりついていた岩のかけらがいっきに落ちる。
「クソリミザ!いくぞ!!」
怒りに任せ、ガットは剣をぬいた。




