許可なくってことは?
25.
「 キエネ、そこまでだ。テモモとカテカは顔を合わせねえ。 なぜなら、おまえがおかしな魔法術をかけようとしてるからだ」
「おれが?なにを言ってる?どうしたんだガット」
ガットがキエネの喉横に剣先をあてている間に、ラーラが膝をついたカテカの腕をひいてさがらせる。
「 あんたは洞窟まで張られた《結界》もなんなく壊してたどりついた。しかも洞窟の中にも真っ先にはいっていけたよなあ。おれたちもこの島にテモモがいるのはわかったが、《結界》がどうにもできなくてはいれなかったんだ」
「いや、あんな《結界》は景色の写しだからな。カテカならたやすくはれる。それを壊して洞窟がでてきたら、真っ先にむかうだろう」
「ちがうわよ。洞窟の中にも《結界》は張られてたでしょ? ―― きいたけど、あの『砂の部屋』の《魔法術》って、その《結界術》の応用なんでしょ?それでいくと、キエネ言ったよね?あたしたちをカテカのつくった部屋にとばしてっっていったら、はいれないって」
『 あの術に、カテカの許可なしにおれたちが《はいる》ことはできん。 』
「 つ、ま、り、洞窟にはられた《結界》を『許可』もなくはがしながら突き進めるのって、その《結界》を張った本人しかいないわけでしょ?」
この疑問形にこたえたのはリミザだった。
「ええ!!じゃあ、テモモを閉じ込めておいたのは、キエネってことになるよなあ。あれえ?テモモをとじこめたのは、カテカじゃなかったのかあ」
キエネとむかいあったまま、わざとらしく腕をくんで首をまげてみる。
「 ちょ、ちょっとまて。おまえたち、なに言ってるんだ? おれがなんでテモモを閉じ込めるんだ?おまえたち、カテカになにかふきこまれたのか?いや、もしかして脅されてるのか?ラフィーを『砂の部屋』に人質にとられてるのか?」
キエネがつきつけられたガットの剣をはらい、たちあがる。
とびのいたガットは剣をかまえ、ラーラは杖をとりだした。
「いったいどうした?まさかカテカになにか《術》をかけられているのか?」
「いやいや、もういいって。さっき『終了』って言っただろ?きこえなかったのかな?もういちど言いまーす。終了だよー。 ―― いいひとぶるのは、もう終わりだ」
ガットとラーラのあいだからでてきたリミザがキエネに立てた指先をむける。
「な、なにを言って、」
「はいはい、そういう戸惑った感じ?うまいよなあ、ほんと感心しちゃうよ。 あのさあ、おれたち《王様連盟》から派遣された《勇者一行》だよ?このアチルゴ国に来るのに、なーんの下調べもしないとおもう?そりゃ資料なんかは何もなかったけど、一番近いハバーツ王国では、いくつかはなしは聞いてきたって。 パロネスっていう《勇者》のおっさんにきいたところじゃ、アチルゴ国ってたしかに閉じていて入ることはできないけど、アチルゴから抜け出してくる民ってむかしから多いんだって? そのおっさんおすすめのパン屋も、アチルゴ国からでてきたんだってさ。《ヂガミ》だったっていうパン屋のご夫婦が、船でハバーツ王国に買い出しにきてた《ウミ》にこの前会ったとき、しばらく帰るなって言われたんだって。いま、テモモがおかしなことになっているからって。くわしくは話せないけど、とにかくもどるなってことを、ほかのアチルゴの民にも伝えてほしいっていわれたんだってさ」
リミザはたてた指先をまわしてみせた。




