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勇者死んだままパーティー(契約中) ― 海の魔獣退治 ―  作者: ぽすしち
おかしいはなし ― 4 ―

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10/17

島に到着




4.




 「はい。おつかれさまでしたー。一泊船の旅は、どうでしたかー?」

 

 《勇者ご一行さま》という手書きの小さな旗をふってでむかえた若い女は、《勇者ご一行》の身体からだの大きな男が、荷物をかつぐ反対側の肩に、気を失っている十代半ばにみえる《こども》をかついでいるにもかかわらず、『楽しかったでしょー?』という声がきこえそうないい笑顔でむかえた。



「 ・・・酔ってしにそうでした・・・ 」


「はい。楽しんでもらえてよかったですー。ではー、これから島へご案内しますー」


 気を失っているようでどうにか意識をたもっていた《こども》が蒼白な顔をあげ、よわよわしくこたえた声は完全無視で、布をはおって腰を帯で締めただけのような、簡単な服を身に着けた女は、手にした旗をふってわらった。


 『船』からおり、旗を持った女がまっていたのは、小さな桟橋さんばしのある、せまい砂浜だった。



「『王様』って?こんなちっちゃい島なのにいるの?」

 杖を持つ髪のながい女が、いまついた砂浜近くからすぐはじまる、うっそうとした森をにらみ、疑問をはさむ。


「『ちっちゃい島』でも、それらがあつまった立派な国ですよ。『王様連盟』にはいってるくらい。 ―― ああ、でも、はいったのは最近ですから、まだこの国のなまえすら覚えてないあなたには、理解がおいつかないですね」

 司祭の服をきた男がばかにした半わらいを女へむける。


「はっああン?クソ賢者、ここの海なら最後まで決着つけられンぞ?最後頭を下にして砂浜に埋めたるわ」

 どこからともなく杖をとりだした女は足元の白い砂浜にそれを突き立てた。


「まて、二人とも。見てわかるだろうが、すぐそこから森になってるだろ?おれも、このあたりの島にはきたことねえからわからねえが、とりあえずおまえらが魔力つかってもめると、きっとその森から魔物がすぐに出てくんぞ」

 肩に《こども》をかついだからだの大きな男は、目ですぐそこの茂みをさす。すると繁みの大きな葉が風ではなく揺れ、《勇者ご一行》は一瞬身構える。



「 はい。いまのはきっと『島ネズミ』ですから魔物じゃないで-す。 大陸のネズミよりー、ちょっと大きめでー、よく驚かれるんですけどー、こわくないですよー。いきますよー」

 くちをすぼめるように言った女が、からだの大きな男をはげますよう旗をふってみせる。


 微妙な顔でなにかを言い返そうとした男の肩にかつがれた上半身裸の《こども》が、「ぶふっ」とふきだし、顔をあげた。

「 『こわくないですよー』だって。ガット、そんなにこわがらなくっていいってさ」

 ついさっきまでの力のぬけきった様子が嘘のように、上半身をあげたとおもうと、《こども》は軽い身のこなしで、男の肩のうえで倒立してからとびおりた。


「 くそっ、 」肩をつかわれた男は小声で毒づき、いがみあいかけた杖をもつ女と司祭に目でなにかの合図をおくる。するとそれにこたえるよう、二人は《こども》をはさむようにからだをむけた。



「うーん、いいねえ。この熱い陽射し、勢いよくしげる植物たち、あったかい島にキターってかんじでさ」

 伸びをするように両腕をあげた《こども》は、くるりとまわり、この島まで送ってくれた小舟が、沖合の大きな船へともどってゆくのをみつけ、「遠浅とおあさだねー」と旗をもつ女をみた。


「 そうなんですー、砂地なんだけどー、船はよれませんってかんじー、なんですー」


「おかげで、あんな小さい舟にのりかえてここまでくるのに、船酔いのレベルが一気にあがるし、ほんと死にそうだったよ」


「死んでるだろ」

 すかさずからだの大きな男が小声でつっこみ、肩からおりた《こども》の背中をたたき、「もうじぶんで歩けるよな、 ―― リミザ」と、確かめるように顔をのぞきこんだ。



「まあ、歩けるけど、吐きすぎて内臓がまだひきつってて、もとの位置にもどってないかんじ」


 頭をかたむけてじぶんの胸から腹をなでるのをみて、リミザをはさんで立っていた二人も力をぬいた。




 杖をもつ《魔法使い》が、指をうごかすと、裸だったリミザの上半身に服がもどった。


「はい。あんたのゲロまみれの服、返しとく」


「ありがとー。ラーラが洗ってくれたとか?」


「海につっこんで回転させてマストのてっぺんににひっかけておいた」

 《魔法使い》であるラーラの返事はそっけない。

 

「おお、片袖がなくなっているとか、この島の暑さにそなえて斬新なリメイクしたわけじゃないってことか。 ―― いや、嫌味じゃなくって、ほんと、感謝してるんだって」

 杖を構えなおしたラーラにリミザはあげた両手で『おちつけ』というようにおさえこむしぐさをしてみせる。


「ほんとうでしたら、リミザに代わってわたしがひとこといいたいところですが、これから王様にあうことを考えたら、上裸ジョウラよりまあ、ましでしょう」

 司祭の服を着た《賢者》であるラフィーは、あきらかにフォローするつもりもない顔でリミザの片袖しかない服をみた。




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