表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
繰り返しのその先は  作者: 水瀬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/63

第45話 幕間 6



 その日は、王国の最高学府である学園の卒業式であった。


 学園が執り行う学園最後の卒業式典が昼まで行われ、その後、王家が主催する祝賀パーティーが開かれる。


 祝賀パーティーは社交界への第一歩だ。


 学生気分を捨て大人になったことを披露するとともに、


 貴族の世界で学園で学んだこと


 ―――服装、同行者のエスコート、序列による入場から開催者への挨拶、ダンスなどの社交術―――を閉会までに確実にできると、これから先正しく行動すると示すことが目的だ。



 初めての社交界。


 誰もが穏便に、新参者として目立つことなく、品行方正な姿を見せるのが、普通だ。





 そんな祝賀パーティーで、揉め事が起きた。





 国王陛下と王太子殿下の到着が遅れるとの連絡で、招待客たちは開会を会場で待つことになった。


 遅れたのはほんの十分ほど。


 だがその短い間に、諍いが起こった。



 始まりは会場の前方、その日の招待客では最高位の侯爵家の令息と、婚約者の伯爵令嬢の間だった。



「君との婚約を解消したい」


 国王陛下を待つため静かだったホールに侯爵令息の声はよく響いた。


「君が悪いわけではないが、私には君以上に愛する人が出来てしまった。だから君との婚約を解消したい」


 令息は周囲の状況など見えていないのかそう続け、会場の真ん中あたりにいた赤いドレスの女性を見たという。


 すると、どうだろう。


 あちこちで男性の同じような声が上がり始め、言われた女性側は多種多様な反応を返した。


 頬を張るもの、罵詈雑言を吐くもの、倒れるもの、泣き叫ぶもの……とそれぞれで、さらには彼らの保護者も加わり、厳かだった会場はあっという間に大混乱となった。


 ざわめく会場に国王陛下が到着し場は収まったが、パーティーは中止となり、会場にいたものはみな捕縛され、王宮へ連行後、調査された。





 婚約解消を望んだ男たちの言い分はこうだ。



 婚約者よりも愛し、守りたい女がいる。


 女が王太子殿下を愛し、求めているのはよく分かっている。


 自分が選ばれないなら女を想う気持ちを抑え、あきらめようと思った。


 だが、パーティーでたった一人立つ女が不憫だった。


 今日の卒業式に王太子殿下は出席されなかったし、パーティーにも表れなかった。


 きっと、王太子殿下は女に気持ちをむけることはないだろう。


 ならば、自分が女のそばにいてもいいのではないか、と思った。


 しかし女のそばにいるためには、婚約者がいるなど不誠実だ。


 だから婚約解消を求めた、と。



 女性側は、報復した者もそうでない者も、いつかこうなるだろうと思っていた、とみな諦め顔であった。







 そして、件の女は、まるで他人事のように、美しく微笑んでいた。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ