表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
繰り返しのその先は  作者: 水瀬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/63

第23話 神の世界 3




 この世界のまま続ければいいのか、すべてを無くして新しい世界を作ればいいのか。


 神は、自らの世界と隣の世界を見比べながら長く考えた末、自らの世界に残った二人を救いあげた。


 まだ“生きていた”男はそのままに、死んでしまった女に新たな力を与え、その体を元通りに整える。


 そして焼け野原を森に変え、そこにその二人をそっと降ろした。

 二人はすぐにお互いを見つけ、その世界で暮らし始めた。


 朝、日が昇るとともに目覚め食事をし、次の日の糧を得た後は、森の間を駆け回って笑いあい、日が沈むとお互いを抱きしめあって眠りについた。






 その様子は、隣の世界と同じように見えた。





















「なかなかいい世界になってきたじゃないか」


 どれだけ時が過ぎたころだろう、前と同じように二人を見守っていた神の前に、ふらりと男が現れた。


「……とても幸せそうだ」


 と、男は神の世界を見下ろして、頬を緩める。

 幸せそうだ、と言われても、神には理解出来なかった。

 前より隣の世界に近くはあるが、どこか物足りなかった。


  ―――――そうだろうか?


 胸の奥がもやもやしたがそう答える。


「あぁ、前よりもずっといい。だけどな、まだ駄目だ。まだたりない。彼らはお前の愛し子たちだろう?」


  ―――――愛し子?


「彼らのことが大事だろう?」


 問われて、神は眉を寄せた。


 大事、とはどういうことだろう。彼らはたまたま生き残っていただけだ。


 生き残っていたから、利用した。


 それだけだ。


 言葉にはしなかったが、男には伝わったのだろう。

 男が呆れたように肩をすくめた。


「いいか、彼らが生き残るのは彼らがお前の愛し子だからだ。彼らを大事にしろ。もっと手をかけなければ駄目だ。彼らが苦しまないように、悲しまないように、傷つかないように、飢えぬように祝福……力を与え守るんだ。

 そうすれば彼らはもっと幸せになる。彼らを幸せにすること、それが俺たちの仕事だ」


  ―――幸せ。


「そうだ。彼らを幸せにすることで、世界はより大きくなり、生き続けることができる。そして、俺たちも、成長する」


  ―――成長?


 聞きなれない言葉ばかりだ。


 自分はちゃんと言われた通りにやっていた。

 作って、見守って。

 それ以外に何も聞いていない。


 男は大きくため息をついて、また肩をすくめて、少し笑った。


「そんな顔をするな。お前の世界も成熟はしていたんだろう。ある一点においては。それがお前の望む世界だったのだろうが、それでは世界はただ疲弊するばかりだ。疲弊する世界はいつか終わりがくる。だから世界に力がみちるように彼らを大切にするんだ」








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ