第13話 第三王子 5
私の目覚めは、卒業式の一日前まで迫っていた。
あと一回で目覚めは卒業式の朝になる。
今回の記憶の彼女も、私の婚約者だった。
けれども、私とのつながりは婚約者という肩書だけ。
私が知っていたのは彼女の名前と、初めて会った日の姿だけだった。
感情というものが削ぎ落とされ、ぼんやりと空を見つめる瞳には、生気がなく何も映していない、無表情の彼女が、父親によって紹介される。
そんな姿だけ。
私は、初対面の彼女に対し忌々しい思いを抱いていた。
―――こんな女が、私の婚約者だなんて!
そんな思いがあったからか、私はいつも以上に女に入れ込んでいた。
気持ちが悪い。
気持ちが悪いが、私の心は恐ろしいほどあの女に捕らわれていた。
彼女の父親に、彼女を必ず卒業パーティーへ連れてくるよう命じるほどに。
眠れないまま夜が明け、卒業パーティーが始まった。
彼女は細くなった体に、真っ赤なドレスを着せられ、父親に引きずられてパーティー会場に現れた。
私の体は、私の意思とは関係なく、いつものように彼女を断罪した。
私の前から彼女は消え……そして、死んだ事を知った。
消えていく意識の中で、私は思う。
明日が過ぎたら、一体どうなるのだろう?
私は、彼女に会えないまま、生きていくのだろうか?




