第12話 幕間 3
その日、第三王子が、不思議な事を言った。
それは第三王子が、学園の最終学年になり、半年も過ぎたころだった。
その日は大きな白い満月が出ていて、神秘的な光が降り注ぎ、どんな小さな悪事も許されない、そんな空気が漂っていた。
真夜中になってふらりと中庭に出てきた第三王子が、護衛として立っていた私に声をかけたのだ。
「お前は【魅了】という魔法を信じるか」
と。
「【魅了】ですか? それは、どんなものでしょう」
「……いや、何でも無い」
第三王子はそう言って、戻って行った。
最近の第三王子の行動に疑問を持っていた私は、次の日もう一度尋ねてみた。
「昨夜の【魅了】の魔法とは、一体どんなものか教えていただけますか」
第三王子は、不思議そうな顔をした。
「私はそんなことを言ったかな?」
考え込むように眉を寄せた第三王子に、私はそれ以上聞くことは出来なかった。
私はその時もっと尋ねるべきだった。
疑問を追究すべきだった。
そう後悔したのは、第三王子が学園を卒業した後だった。
白い月の光は、悪いものを排除する。
聖女の言葉に、愕然とした。
あの日の第三王子は本人も気づかず、【魅了】が解けていたのだ。
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