第11話 第三王子 4
彼女が私を諦めたのは、何度目の目覚めの時だったろう。
たとえ終わりが彼女の死でも、あの女が現れるまでは幸せなのだ。
彼女は必死で私に手を伸ばしてくれるから。
今回もそうだろうと、いつも通り目覚めた私は、思い出した記憶に眉を寄せた。
「婚約、解消?」
紹介された日に、発言を許された彼女がそう言っていた。
なんとか父――――国王の取りなしで婚約は結ばれたが、彼女はそっけなかった。
何も覚えていない私は、次第に彼女から離れている事が当たり前になり、初めての時と同じような気持ちになっていた。
私は、私の気持ちの剥離におののいた。
彼女は私の側にいないのに、女は彼女を見るだけで涙を流し、男たちは彼女を責めた。
繰り返される彼女の死。
彼女は私に近付こうとしていた時と同じくらい懸命に、私から距離を置こうとしていた。
私を無視するのは当たり前、
留学したり、
学園の入学を早めたり遅らせたり、さらには入学しない事もあった。
私ではなく、女に近づこうとした事さえあった。
接点がない……にもかかわらず
それでも、何の因果か、彼女は卒業パーティーに連れてこられ、そして死んで行った。
死んで、目覚めて……
もう、彼女は私を見ることはなく、笑顔を向ける事もなく
これは【魅了】のせいだと、誰かに伝えることは出来ればいいのに、口に出そうとしても声にならない。
ようやく言えても、誰も信じてはくれない。
私は、彼女から遠ざかったまま、彼女が死ぬのをただ見届け続けた。




