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「生霊」

見てくださりありがとうございます!

御崎はモニターから桃華や現世を見守る。

「見てるこっちがひやひやするぅ。」

零璃が出てから少し時間が経った。零璃が怪異の様子を伺っている映像が映される。

「零璃さんの方も戦いが始まりそう。」

御崎が注目しようとした時、ドアがノックされる。

「…え?今、ノックされた…?誰がしたの…?」

御崎はモニターを見る。美琴以外全員映っている。

「もしかして、現世さん…じゃなくて、現世ちゃんと一緒に行った子かな?」

御崎は一瞬躊躇するがドアノブに手を触れてドアを引く。

たった1センチほど動かしただけだ。その隙間から感じたのは純真な殺意。

あの時と似た感覚に襲われる。御崎は咄嗟に閉めようとするが間に合わない。隙間からドアをこじ開けられる。ドアを開けた先にいたのは犬の形をした怪異と小さい女の子。御崎は急いで部屋の奥へ逃げ込む。

ど、どうしてここに怪異が!?今零璃さんが見ている怪異とは違うやつ?とりあえず助けを呼ばないと!

「『MOTHER』!零璃さんを…」

御崎が言い切る前に背後から口と鼻を塞がれる。頭2つ分くらいの大きさの草でできた猿の仕業だ。

「んんん!?んん!!」

御崎は抵抗するがびくともしない。

なにこいつ!いつの間に後ろに!それよりこのままじゃわたし…呼吸が…できない…!

女の子は部屋に入り草でできた猿に命令する。

「いいよ、そのまま抑えて。」

女の子の表情は恐ろしいほどの笑み。御崎の抵抗など気にしていない。むしろその反応を望んでいたかのような表情でやめるつもりなど一切なかった。

「んんん!!」

うご…いて…少しでも…いいから!!

御崎は足元にあるバッグを草でできた猿にぶつける。が、変化はない。それでも、御崎は死に物狂いでバッグをぶつける。そのとき、バッグから出たあるものが猿にあたる。

未来からもらった【お祓い棒】だ。

衝撃が走る。御崎の抑えられていた口と鼻の自由が取り戻される。不足した酸素を勢いよく吸う。

「ふううううっ!はああああ!はあ、はあ、はあ、はあ」

た、助かった。でも、どうして…?

御崎が振り向くと猿は燃えていた。御崎は驚くが、近くにお祓い棒があることで理解する。【お祓い棒】が燃やしたのだ。未来が御崎を守ったのだと。

『それがきっと御崎ちゃんを守ってくれるよ。』

御崎はお祓い棒を手に取る。この力は一時的かもしれない。一度きりかもしれない。それでも女の子を警戒させるには十分な出来事であることには変わりない。

「おねえちゃん、異能力者でしょ…?どうやって、奇術師の力を…?それも妖術より強い魔術を…?」

知らん!!!

御崎はお祓い棒を構え、沈黙を貫く。

「しかたないや、これをつかっちゃおう」

その瞬間、すべての草の獣が消える。御崎はこの隙にMOTHERに伝える。

「『MOTHER』!零璃さんを呼んで!!」

『命令を受信。零璃を本部に呼び出します。』

「よし、これで大丈夫…」

御崎の安堵は一瞬で覆される。目の前には御崎の身長の1.5倍ほどの大きさの猿が現れる。

「ころしちゃって!いまはしんせんなミンチがみたいなあ!!」

『ううううああああああ!!!!』

猿は御崎を押し潰そうと両腕を振り下ろす。

「うわあああ!!」

御崎は左手に飛び込むことで奇跡的に攻撃を回避する。猿は大振りな動きの影響で隙ができていた。御崎は手に持ったお祓い棒を投げつける。それは猿にヒットした。先程のように衝撃が走り爆炎がほとばしる。

と、思われたが、何も起きない。

「え…うそ…」

一度きりの攻撃だったのだ。

御崎が体勢を戻す頃には猿の攻撃が始まっている。

もう回避することはできない。

御崎に攻撃が当たる。

その瞬間、猿の腕は切断されていた。

『あああああ!!??』

「御崎!大丈夫か?遅れてすまない。」

丸く穴の空いた部分から零璃が降りてくる。

「擦り傷があるな…じっとしてろ」

零璃は御崎が飛び込んだ時に擦った傷に手を添える。

【妖術:治療霞水(ちょうかすい)

たちまち傷が癒える。

「これで大丈夫だ。さて、あれがターゲットか。」

零璃の視線の先には小さい女の子。

「ねえ!おさるさんのうで!どうしてくれるの!?ゆるさない!ぜったいころしてやる!」

女の子の目からは純真さが消え去り、どす黒い殺意の光が宿る。

「あああ。いいぜ。だがここじゃ、お前も存分に力を発揮できないだろ?いいもん魅せてやる。」

零璃は御崎に絶対離れるなよと伝えて『MOTHER』に命令する。

「『MOTHER』ショートカットω

           裏コマンド-01(まいなすぜろわん)

『ショートカットω裏コマンドを実行。』

そう言い終えたとき、爆発が起きた。御崎は零璃の作った保護膜の中にいたため大丈夫だったが、怪異はそんなわけにはいかない。この爆発は生霊、死霊含めたすべての怪異に大ダメージを負わすことが可能な爆発だ。

衝撃がやみ、御崎は衝撃の光景を目にする。

あたりが更地になっていたのだった。結界の縁から縁まで見渡すことができる。

「ふう。これで倒せてたら御の字だけど…」

女の子は無傷だ。しかし、先程の覇気はない。

あぶなかった…ぜんぶぶたさんにしてふせいでなかったらまけてた…

もう、獣を作り出すコストがなくなってしまっていたのだ。それに対し零璃は御崎がいるもののほぼ万全。

「え、もう終わり?俺はまだお前に妖術は使ってないぞ?大したことないな!」

零璃は女の子を挑発する。

「あはははははは。」

女の子は笑い出す。

「あんた。まだ何にも分かってないじゃん。あたしには切り札がある。それであんたをぐちゃぐちゃにしてやる。」

女の子の身体が光に包まれる。これは怪異がすべてを捨て、ただ人を殺す存在になるために使う技術。

克己化(こっきか)

女の子の…いや怪異の力が回復する。

「え、まじかよ。克己化使えるの?」

怪異から返事はない。ただ命を下すのみ。

猛獣草術(もうじゅうそうじゅつ)

目の前にはモニターに映し出されていたサイズの熊。そして、零璃より大きい犬、豚、猿が30体ほどに加えて数え切れないほどの兎が作り出される。

御崎はこの光景に絶望する。建物が消え去り逃げ出す場所もない。零璃は一言つぶやく。それは御崎にはかすかに聞こえた程度の大きさだった。

「余裕」

【治療霞水】〈雲霞(うんか)!〉

零璃の足元に霞が漂い始める。その瞬間、零璃は滑るように爆速で熊の元へと向かう。

 本当はこんな大群全員倒す必要はない。術者である女の子の怪異を倒せばそれで終わる。だが、俺は…

3体ほどの犬が零璃に向かって噛みつこうと飛び込む。

水刃(すいじん)!〉

巨大な水の刃が犬を真っ二つに切り裂く。零璃は減速することなく移動する。

 俺はすべて倒す。御崎は”異能力者“の素質がある。そして、異能力者にとって生霊は倒すことがほぼ不可能な存在。生霊を倒すのは妖術や魔術を使う“奇術師”だ。御崎の安全のためには俺が駆逐するしかない!

零璃が進む先には豚と兎の軍勢。そして、その裏には爪を研ぎ澄ます犬と武器を構える猿の姿。

「来いよ。俺が相手だ!」

零璃は大量の軍勢に怯むことなく飛び込む。

水刃・麗(すいじん れい)

犬を切り裂いたものとは違う、手のひらサイズの刃。しかし、そのスピードと物量は一線を画す。

犬や猿の攻撃を雲霞でかわし、水刃で引き裂く。

一見単純に見える行為だが、その速さは御崎どころか怪異すら目で追うことができなかった。

たった数秒の間で獣たちは駆逐される。

残りは熊のみ。しかし、油断ならない。この図体では一撃だけでも致命傷になり得る。

零璃は油断していない。熊の間合いから十分離れた位置から攻撃を狙っていた。

だが、一つ誤算があった。それは“速さ”だった。

零璃に熊の突進が直撃する。

ドゴーーーーーン

土煙が舞う。熊は攻撃の手を緩めない。土煙のたつほうへ構わず突進する。

〈雲霞!〉

ギリギリで突進を回避する零璃だったが、体勢がふらつく。もちろん治療の力は使っているが、併用だと出力も低下する。この大怪我を治癒し切ることはできない。また、雲霞を停止すれば突進を続ける熊の攻撃をかわすことはできない。

 しくじったな…。攻撃の射線に御崎が入らないよう調整しながらの治療は難しいぞ。応急処置程度にとどめるか。さて、あの速さだと俺の雲霞でも追いつくことはできない。近づいたタイミングで攻撃するしかないがリスクが高すぎる。もう一度受けたら気絶か即死だろう。調整に苦労するが勝つためにはやつの足首を切って動きを止めるしかないな!

熊がとんでもない速さで突進する。すれすれの位置で零璃は攻撃を回避する。と同時に

〈水刃!〉

右前の足首を切り裂く。動きは遅くなるが止まらない。もう一度熊は零璃に向かって突進をする。今度は左前と左後ろの足首を切り裂くことに成功!バランスを崩し熊は転倒。その隙に零璃は熊に接近。

〈水刃・麗!〉

全身に向けて放つが右前足で攻撃が防がれる。攻撃が止むと熊は無傷の左前足で反撃をする。

しかし、そこには零璃の姿はない。

零璃は熊の懐にまで接近。

「これだけダメージを負えば接近はリスクじゃない。」

刀霞(とうか)!〉

両手に霞でできた刀が形成される。零璃は高速の回転斬りで熊の全身を斬り裂く。

「うがあああ!!」

熊の断末魔が響き、熊は消滅する。

ゲームセットだ。

残りは女の子の怪異のみ。

理性を失い、残りの力を使い切り、殺意だけを向ける。

克己化は自身で解除することはできないいわば暴走状態。技能指数(C値)という怪異の技量を示す指標では克己化は9という値を示すほどに危険なのだ。

「君は俺たちが護るためには強すぎる。1年後、2年後だったら護る対象になっていたかもしれない。けど、今は倒す。安らかに眠ってくれ。」

〈水刃〉

怪異の身体は真っ二つにされ消滅する。

零璃は安堵の表情を浮かべる。御崎は恐る恐る零璃に問う。

「あ、あの。これで終わったんですか…?」

「あああ。終わったよ。危ないところだったね。御崎は…もう大丈夫…かい…?」

零璃は倒れそうになる。片膝をつけてなんとか持ち堪える。御崎は零璃の状態を心配さながら答える。

「は、はい。わたしはもう痛みとか全然。それより、零璃さんのほうが大怪我ですよ!頭から血を出して今倒れそうに…急いでわたしを治した時みたいに…」

零璃は申し訳なさそうにしながら言う。

「ごめん。これ、もう治ってる。俺の治療は流れた血は飛ばさないからそのままになってるだけ。今倒れそうだったのは普通に疲れ。久しぶりの戦闘で身体がびっくりしてるだけだよ。」

御崎は少し安心する。零璃は立ち上がりポケットから謎の球体を取り出してつぶやく。

「仮想結界、解除。」

零璃が言い終えると御崎たちは相談室から少し離れた脇道のど真ん中に立っていた。結界内での荒野は跡形もない。まるで手品や魔法でも見たかのような出来事だ。

「す、すごーい!」

御崎は驚きと感動の混ざった声で言う。

「初めてだよね。仮想結界。実は戦闘開始前に展開しておいたんだ。この結界があったおかげで現実世界にはなんの影響も出さずに済んでいる。さ、急いで戻ろう。」

御崎と零璃は相談室へと足を運ぶ。


そして、全員同時に相談室に到着し、無事を喜び合った。

ここから、御崎の「異能力者」もとい「霊能師」としての物語が始まる!!!






零璃強いですね。

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