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「南北の決着」

見てくださりありがとうございますぅ。

異能力による回避を続ける現世に対し、異能力による攻撃を続ける怪異。

1分後この状況に変化が起きた。

現世の回避が間に合わなかったのだ。氷の槍が現世の左腕を掠める。さらに、掠めたところから冷気が広がる。

「まじでえ!?痛いんだけどー!」

そして、このひるみから現世の回避のタイミングに遅れが生まれる。

直撃はしないものの傷が増えていく。

現世は痛みに悶えそうになるが耐える。満身創痍だ。

しかし、それは怪異も同じである。

攻撃が止む。現世も限界であるが、このチャンスを逃さないために凍りついた腕で札を投げる。

【拘束の札!】

怪異の動きが止まる。

『どうして、うごけないの』

現世は怪異が動けない隙に周辺に札を並べる。そして、札の効果が切れるタイミングで札を同時に発動する

【除霊の札・八芒星の型!】

24枚の札を八芒星の形に設置することで発動する技。滅多に成立させることのない形式であるが、その火力は一枚あたり、最低でも4倍のダメージを叩き出せる。

衝撃で土煙が舞う。しばらく経ち怪異の様子が見えるようになる。

怪異の脚は消し飛んでいる。核は剥き出しとなっていて皮膚と思われるものも爛れている。

「あの攻撃を受けても形を保っていられるなんて…」

怪異は崩れそうになった形を異能力を使って固定する。

怪異の目はまだ、燃え尽きていない。むしろ輝きを増している。

『わかった、ぜんぶわかった』

現世は怪異が動く前に札を怪異の周囲に並べて様子を見る。その瞬間、現世は怪異から離れた場所に移動していた。異能力が発動したのだ。

【全域凍結】

怪異の周辺は殺意で満たされた冬景色が広がっている。

既に並べていた札はもう機能しない。

「あたしの攻撃が封じられたね…それに…」

怪異は気づいていた。今までの違和感とその正体に。

「結構まずいねー。勝てるかな…いや」

現世は不安な感情を捨て去る。

「あたしがやるんだ。」

現世は怪異に向かって札を4枚投げる。

怪異は現世への勝ち筋を見つけたものの【全域凍結】は尋常ではない消耗をする。もう無闇にダメージを受けてはならない。怪異は氷の剣と盾を作り出し盾で防御する。向かってくる現世に剣で切りつける。

現世は異能力をあえて使わないで回避をする。

【除霊の…】

攻撃が決まる直前で盾で弾き飛ばされる。

現世が正面を見た時には剣が投げつけられ当たりそうになる。

【異能力:虚像回避!】

異能力でギリギリ回避。怪異はすぐさま剣を作り出しては投げつける。しかも、回避成功とほぼ同時に投げつけるため反撃はできない。

やばいやばいやばい。異能力がなかったら即死だよ!

8回ほど続いたのち札を掲げる。

【結界の札!】

結界を展開し攻撃を防ぐ。しかし、すぐさま結界は崩壊する。現世は少しでも距離を詰めて札を投げる。

【除霊の札!】

『あああ!』

怪異の攻撃が緩む。現世は畳み掛けようと札を4枚投げつけようとする。しかし、それより早く怪異が攻撃を仕掛けた。

【全域凍結!!】

またしても現世は怪異から少し離れたところに瞬間移動する。現世は怪異の方を向き進み出そうとした。しかし身体は動かない。身体が真正面に倒れ込む。その瞬間この世とは思えない痛みが現世を襲う。

「ああああああああああああああああああ!!!」

現世の脚は巨大な氷の槍で貫かれていた。そこから身体が凍りだす。現世は痛みと寒さから身体が震える。目から涙が零れる。

『やっぱりあたった、めでみてないとかわせないんだね、たのしかったよ、さよなら』

怪異は現世に向かいながら現世の頭に手をかざす。氷の槍が放たれ現世の頭を貫く。


と思われたその瞬間。

【強制規則】〈総則:異能力の使用を不可とし結界内の異能力効果はすべて強制解除される〉

氷の槍は直撃する寸前で消える。そして、怪異の氷の鎧も消失する。消し飛んだはずの脚は再生しかけており立てる程度には回復していた。

『だれ、どこにいるの』

その問いに答えるように空から声が聞こえる。

「あらせお姉ちゃん。無理し過ぎ。いくらミコトがいるからってこんなに…

あんた。絶対絶対ぜーーーったい許さない!!」

セミロングの黒髪の少女が透明の結界から姿を表す。彼女の名は[法月 美琴(ほうつき みこと)]。

『あとちょっとだったのに、まあいいや、しんで』

怪異が氷の槍を美琴に飛ばそうとする。

しかし、攻撃は発動しない。

『あれ、どういうこと、こおりがでない…』

「ざんねーん。ミコトの異能力のせいであんたはもう異能力を使うことができませーん。」

その瞳は白く輝いている。美琴は現世の応急処置を施して怪異と向き合う。

「あんたはもう詰み。ミコトは異能力とかに依存している怪異キラーだから。あんたみたいなのはミコトが適任なの。」

美琴は懐からボール状のなにかを取り出す。

それは銃の形へと変化する。桃華のものとは少しデザインが異なるようだ。

『こおりがださねくたっておまえなんか!』

怪異が美琴に向かって走り出す。両手を振り上げ美琴を引っ掻こうとする。

が、美琴は冷静に怪異の両腕に二発ずつ弾丸を狙い撃つ。怪異の両腕は吹き飛び、腕での攻撃は不可能となる。

『まだ、おわってない!』

治りかけの脚で蹴りを喰らわそうとする。

が、美琴は同じ要領で治りかけの両脚を吹き飛ばす。

怪異は四肢を失い身動きがとれなくなる。

『あああああああああ!!!!』

怪異は絶叫する。

『たすけて、わたしを、あなたたちなら、たすけてくれるよね?たすけてくれるよね?たすけてくれるよね?』

怪異は繰り返しそう言う。

美琴は怪異の正面に立つ。その目は白い輝きを纏っているが、光はない。怪異の結末は決まっている。

「ミコトたちは怪異を保護するために活動している。何から保護していると思う?怪異連合の連中からはもちろん、『あんた』のような強い怪異からもだよ。弱い怪異は人間に危害を加えない。無駄な殲滅はかえってミコトたちの不利益となるって考え。わかったかな?じゃあね」 

美琴は銃の標準を怪異の核に定める。

『まって、なかよくし…』

バン

怪異の形が完全に崩壊する。

美琴は異能力を解除し、現世の方へ向かう。

「生きてる?あらせお姉ちゃん。」

心配そうに美琴は尋ねる。現世はよぼよぼとした顔で答える。

「久しぶりに美琴ちゃんに心配してもらえてお姉ちゃん、死にそう。」

「…心配して損。冗談言えるくらい元気じゃん。」

美琴が現世を突き放そうとする。

現世は必死に弁明をする。

「うそうそ。今も脚が痛みで絶叫してるんだよー。美琴ちゃんがいないとお姉ちゃん泣いちゃうぞー。」

「そうですかそうですか。自分で受けた傷でしょ?運ぶぐらいはするつもりなんだから感謝してよね。」

「ありがとう!この恩は接吻で返…」

「さなくていい!お姉ちゃんは黙ってて。」

2人は満身創痍ながらも本部へゆっくり帰還した。



場面は変わり南側。不意打ちの爆発が直撃した2人。

桃華が目を覚ます。

「う、うーん…えっと、うち、確か…」

その目線の先では紫音が桃華を守るように物体を移動させている。

「紫音ちゃん!?うちどれくらい寝てた?」

桃華が目を覚ましたことに紫音は気づく。

「私が目を覚まして3分ぐらい。その間あの怪異についてある程度分析が完了した。」

桃華は目を見開く。

「まじで!?でも、教えてくれる前にと。」

桃華は紫音を抱き抱える。

「紫音ちゃん!しっかりつかまっててね!」

紫音は桃華の意図に気づく。

【霊気循環】〈身体強化!〉

桃華は紫音を抱いたまま凄まじいスピードで怪異の攻撃を回避する。まだ、あまり燃えていない場所へ怪異を誘導してそこで時間を稼ぐ。

「よし、何がわかったのか教えて!」

桃華は紫音に尋ね、紫音は答える。

「うん。あの怪異は最初、異形型の怪異と思ってたけど、実際は集合型の怪異だった。」

「まじでかぁ。めんどくさいやつやん。」

「そして、やつの異能力について。やつの異能力はおそらく【自己燃焼】。爆発とか大それた異能力ではない。その爆発のメカニズムはおそらく粉塵爆発だ。」

それと同時に爆発音がし、後ろから怪異が凄まじいスピードで追いかけてくる。桃華は冷静に家と家の間を駆け抜けて追い付かれないようにする。

「よっと。それ、聞いたことあるよ!小麦粉が爆発するみたいな話を漫画とかで見た気がする!それであの爆発が…」

「もう一つある。やつの核について。爆発の瞬間、ほんの一瞬だけ核が見えたんだ。その後は爆発で見れなかったけど、ある程度の場所は把握できた。右目と思われる場所だ。」

「その核を壊す必要があるんだよね。え?無理じゃない?近づけば爆発で次こそはやられるよ。かといって、銃で撃ち抜くにもこの銃じゃせいぜい20mが最長射程だよ。」

「それを今どう解決するか考えてるの!」

「これはどう?紫音ちゃんの異能力で核を無理やり引き出すってのは?」

「厳しいかな。発動中は完全無防備だから、たとえ核を捉えても核以外のかけらで攻撃される。それに相手の出力的に全力で抵抗されたら動かせない可能性すらある。リスクを掛ける価値がないことはないけど、まだ他の方法があるはず。」

「えええ…。とりあえず、至近距離での衝撃をどうにかすればいいんだよね!気合いで耐える!」

「何言ってんの?結界の淵からでもバランスが崩れるくらいの衝撃…。あ!」

「お?何か閃いたね!教えて!」

紫音は今思いついた作戦を桃華に伝える。

「『仮想結界』を利用するんだ。仮想結界内での現象は外部に影響を出さないようにできてる。だから、爆発の瞬間に結界外で衝撃をやり過ごして衝撃が止んだタイミングで結界に侵入して核を叩く。」

「あー。確かにそれなら衝撃を回避できるね!」

「うん。ひとまず私がやつを結界の淵に誘導する。その間に私が異能力で桃華を運ぶ。だけど、私は残り2分ぐらいでガス欠。さっさと決着をつけるよ。」

「りょーかい!まかせな!」

桃華は紫音を怪異に向かって投げつける。

怪異は突然の行動に動揺する。反射的に火球を飛ばす。

紫音は自身の左手でお腹に触れる。

【異能力:物体移動!】

紫音の目が緑に光る。それと同時に紫音の軌道は火球をかわすように変化する。異能力の対象を自分自身にしたのだ。怪異は上空にいる紫音に向かって火球を連続で発射する。それを紫音は身軽に回避する。紫音は自身の異能力を一瞬だけ解除し、屋根の瓦を数個怪異に向けて飛ばす。怪異は大きく腕を振り薙ぎ払う。紫音は怪異に急接近して物理攻撃をする。さほどダメージを与えられるわけではなかったが怪異の意識を集中させるには十分であった。怪異は紫音を包み込もうと炎の壁を作り出そうとする。しかし、その形成より早く紫音が抜け出し上空へ逃げる。怪異はそれを追いかける。

一方そのころ桃華は…

「いやああああああ!!どおえええ!!!??」

怪異の元へ行くのに使っていた道を爆速で戻っていた。

「こんなーーーーの。そこらへんのぜっきょーーーーーマシンよりこーーーーーーわいよーーーー!!!!」

曲がる弾丸のような挙動をするため、運ばれる側はいつ壁に当たってもおかしくない状態で動かされているのだ、そして、桃華は結界に侵入した地点に戻る。

と、ほぼ同時に紫音も合流する。

「合図はこのハンカチが結界に出てきたら。それが爆発のサイン。」

紫音はポケットのハンカチを結界の真横に置く。

怪異が上空から飛来する。

「1人になるけど、頑張ってね。紫音ちゃん…」

桃華は心配そうな声色で結界外へと脱出する。

「大丈夫。私にはこのお守りがあるから。」

紫音は深呼吸をして異能力を発動する。

【異能力:物体移動】〈最速公転(レボリューション)

その瞬間、紫音の周りを岩が惑星の周囲を回る衛星のように軌道運動を始める。

そして、加速する。もはや、結界とも言える殻を形成し、紫音に触れることは不可能に近くなる。

「はじめようか」

紫音は怪異に向かって走り出し殻の中から物体を放つ。

物体放出(オブジェクトエミット)!〉

凄まじい速度で物体が飛び出し、怪異にダメージを与える。怪異は紫音の逃げ場を無くそうと紫音の周りをかけらで覆う。が、攻撃はできない。高速で移動する物体を止める手段が怪異にはないのだ。止めることができないなら強行突破。『内部』だけ霧状になる。その瞬間、爆発が起きる。しかし、その衝撃は『外部』へと発散しなかった。紫音の殻が砕ける。無防備だ。その周囲は霧状にならなかった怪異で覆われている。

「まずい…」

今度は完全に霧状となる。紫音はその隙に地面を動かし全身を地面で守ろうとする。が、爆発が起きる。今度は今まで見せてきた爆発だ。衝撃が結界中を走る。

その瞬間、桃華が結界内に侵入。

【異能力:五感発達】〈視覚!〉

桃華は核を捉える。射程圏内だ。

「これで決めるぞ!」

【充填式霊弾!】

その銃弾は核を貫く。

飛び立っていた怪異のかけらは消滅する。

「ふう。倒せた…」

桃華は急いで紫音のもとへ向かう。

「大丈夫?紫音ちゃん!紫音ちゃん!!生きてますかーーー??元気なら握手してねーー!!!」

桃華は相変わらずのテンションで紫音に問う。

「…………うるせぇぇぇ。頭に響く……。」

紫音は頭を抱える。紫音の返答は桃華には聞こえず、桃華は紫音がキレるまで聞き続けた。


少し時間を遡り、零璃は出現した怪異のすぐそばまで来ていた。建物の陰から様子を伺う。

二階建て家屋と同じくらいの大きさか。本当は作戦を練って戦いたいがあいにく、こっちは時間がない。さっさと決着を付けさせてもらうぞ!

零璃は勢いよく飛び出し、怪異に狙いを定めた。

はずだった。攻撃をしようとしたときには既に怪異の姿は見えない。

気づかれた!?

零璃は周囲を警戒するがまったく気配はない。

「消えた…!?」

そう思った時、携帯用の無線機からアラームが鳴る

『本部からの呼び出しを確認』

鳴り切る前に零璃は動いていた。

「御崎が危ない!」


現世と紫音は重傷。心配ですね。

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