第十一話 我慢強さ
査問会議を始めてから、二時間は経過していた。俺達はこの王子と終わらない論争を続けていたのだった。
「私の決定は絶対だ! ここにいる貴族も皆、私に従うだろう! 」
「ろくに取り調べもせずに、罪を償えと言われても、納得する者はいないでしょう。 それが、王子の指示でも…… 」
「うるさいッ!! 国外追放だと言っているだろう! ただの庶民なくせに私に歯向かうな! この者達を捕らえよ」
王子は苛立ちながら俺達を拘束するように配下の者に命令を下した。
この王子にはもう何を言っても無駄なようだ。自分が一番であると思い込んでいる。これは王子の態度には相応しくないのは明らかだ。民を愛せない王子なんて王子の器ではない。見た目が良いだけでは国を治めるのは難しいということだ。
王宮の兵達が俺達をすぐに取り囲んだ。この現状には、ここにいる皆が成すすべがなく、驚いているようだ。
「私に意見するから、こういう事になるのだ。 素直に罪を認めておけば良かったのだ! 牢屋で自分達の罪についてじっくり考えるんだな」
俺達に向かって王子は満足げに語るのだった。
王子様が納得のいかない事は、権力でねじ伏せて来るであろうとは予め想定していたことだ。しかし、実際に取り囲まれるとは思っても見なかった。そちらがその気なら、こちらにも考えがある。権力には権力で……。
「この者たちを連行せよ! この査問会議はこれでお開きだ」
「お待ち下さい。 まだ、話は終わっていません」
「これ以上なんの話をしようというのかな。 話の続きは牢屋で聞いても構わんぞ」
「……。 このような事を仰っていますが、どうなさいますか? 」
「何を訳が分からぬことを言っているのだ! 気でも触れたか!? 」
俺は気など触れてはいない。至って正気である。この王子は人を侮辱する天才なのだろうか。ここに来てからこの王子のせいで、不快な思いしかしていない事に俺は気がついた。しかし、俺はそんなこと気にしないタイプなのだ。普通の人であれば耐えられないかもしれないが、俺は平気だ。なぜなら、俺にはスルースキルというものがある。スルースキルとは、ストレスや不安に思う言葉や情報を上手に受け流すことができる能力である。この能力は、元いた世界で習得した能力であったが、この世界でもそれは同様に使用できるのだ。
「話は全て聞かせてもらっていたよ。 私がいない間にこんなことになっているとは、申し訳なかった」
「誰だ!? どこから話をしている! …… この声…… まさか!? 」
姿が見えない声は会場全体に響いた。その声を聞いた王子は動揺しているようだ。
俺はこの声の主を知っている。なぜなら、俺がこの会場にこの声を魔法で響かせているからだ。魔法で、遠くにいる相手と会話できるように編み出しておいたものだった。いわゆる、俺自身が携帯電話のようなものだ。しかも、この査問会議を始める前からこの魔法は発動していた。会議の内容をそのまま伝えるにはこの方法しか思いつかなかったからだ。
「お待たせしてしまって申し訳ありませんでした。 今、こちらへご案内しますので」
俺はこの声の主を魔法でこの場所にテレポートさせた。
「!? 」
声の主を見た瞬間、この会場にいる皆が驚いている様子だった。特にオレイン王子は……。
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