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第十話 王子の本性

 期日の10日がきてしまった。

 アルバさん家族と俺達は王宮に来ていた。周りには貴族ばかりが集まっていた。


 「これより、査問会議を始める」


 議長が開始の合図を行った。そして、目の前にはあの男が座っていた。想像していたよりも、イケメンだった。もっと小太りで、わがままそうなやつだと思っていたが、想像とは違っていたようだ。



  「我が名はオレイン・ダンデル。 国王不在の今、私がこの国を任されているのだ。 それ故、決定権は全て私にある! アルバ・スコットよ、お前がここにいる理由は分かるな? お前が犯した罪により賠償金を支払う義務がある。 アルバよ、何か言いたいことはあるか」


 「はい。 発言をお許し頂き感謝いたします。 ですが、私達家族は罪など犯した覚えはありません。収入はいつもギルドにしっかり報告していました。1億ダンデルも超えないように仕事は抑えていました。ギルドに報告書も出しています。 その報告書を見てもらえば分かります。 どうか、ご確認下さい」


 「言い分は以上でよいか? 我々は当然報告書も確認済みだ。 しかし、その内容はいくらでも偽造はできるだろう。 よって、証拠にはならないと判断した。 賠償金5億ダンデルは支払ってもらう」


 「そんな…… 」


 顔は俺に引けを取らないイケメンなようだが、中身は最悪だった。話が通じる相手では無いことは確かだ。こちらが何を言ってもはなから冤罪を認める奴らではないことは想像していたが、これは長引きそうだと感じた。


 「準備はできているな? 」


 「準備はできています。 私達家族に代わり、こちらの方たちが毎日一生懸命に働いて下さり、この日に間に合わせて下さりました」


 そうだ。俺達はこの日の朝まで徹夜で働いてきたのだ。ギリギリで5億ダンデルに到達していた。ほんとに間に合ってよかったと思っている。最後にドラゴンを狩っておいてよかった。念には念をってやつだな。


 「そなたの名は何だ? 」


 「俺はアラタレイジです」


 「お前が…… 噂は王宮にも届いていたよ。 魔物と家族ごっこをしている冒険者がいるとね。 だが、今は部外者には関係の無い話だ。そなたが支払っても意味がない」


 「こいつ、やりますか? あにき! 」


 サンが怒りで今にもオレインを狩ろうとしていた。気持ちは分かるが、そんな事をしたら、今までやってきたことが水の泡だ。


 「まてまて。 争いをおこすな。 俺は大丈夫だから」


 「魔物の躾もなっていないようだが! これが家族というのか」


 こいつが王子なんて、お前の方こそ教育がなっていないようだ! なんて言ったらブチギレそうだなと冷静に考えていた。俺は怒りを通り越して、呆れていた。イチやサン、他の奴らは今にも飛びかかりそうな顔をしているが……。



 「そんなことより、本題に戻ろう。 部外者であるそなたが代わりに支払っても、アルバとその家族が犯した罪は償えていない。 当事者である者が支払うべきだと思うが…… 」


 この王子の発言は、周りの貴族が頷き、納得しているのが分かった。どうやらここは、俺達の味方は誰もいないようだ。


 「失礼ですが、規定には当事者が支払うなんてどこにも書いていなかったと思うのですが! 書いていないということは、支払うのは誰でも良いということですよね? それなら、私でも良いはずです。 それに、冤罪かもしれないのに、最初から罪を償わせさせようとするのはおかしいと思います」


 「小癪なやつだ。 私の判断が間違っているというのか! 」


 「それも含めて間違っていないかどうかを調べる為の会議ではないのですか?  私には、最初から決めつけられているようにしか見えなかったので、そう発言致しました」


 「貴様! この国の王子だぞ!  判断は全て私に任されているのだ! お前も含め、スコット家は全員、国外追放とする! 」


 「この国を任されているにしては、ちょっと乱暴ではありませんか。 俺のことは良いですが、アルバさん家族はこの国の民ですよ。 王子であるなら、民を思って政治を行い、民に愛されるからこそ、国が発展していくのではないのですか? 」


 「どこから来たかも分からぬ奴に、この国の何が分かる! 民は俺の指示に従っていればいいんだ! ここで一番偉いのは私だ! 」


 この王子は頭が悪いようだ。イカれてやがる。俺も人の事は言えないが、ここまでではないと思った。こんな王子の下にいたら、毎日ストレスでどうにかなりそうだな。俺は王子の側近達が可哀想になって見えた。


 「あの者が王子だなんてありえませんね」


 「我も同意見だ! 」


 エルフ姉妹も呆れ始めている。俺もこの王子に付き合わされるのは疲れてきていたところだった。やっぱり、関わらない方がいい相手だったと今更ながら後悔している。そろそろ、終わりにしたいところだ。

 








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