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試運転

 飛行船作成の最終段階...と言っても飛行船自体はもう完成しているが。

 俺は王都での飛行船使用許可を国王から貰う為、執務室へと向かう。

 折角作ったのに王都で使っちゃダメ、なんて言われたらエレクトロ商会の商人達、それにエレクにも面目が立たない。

 その為、飛行船の概要等を説明して、王都で使う...つまりは人々の暮らしの中に取り入れる許可を貰いに行くのだ。

 王都の移動手段やらを大きく変える為、独断でやることは恐らく許されないであろうからな。

 





「飛行船...とな?」

「そう。ほんの少しの魔力だけで空を飛び、人や物資の移動を各段に高速化してくれる乗り物で、それを王都内で移動手段として使ってみたいのだが...」


 執務室には国王以外に人がおらず、扉の外に護衛が数十人いる程度なので誰も俺の口調を咎めるような者はいない。


「...うむ。この空に造られし我らの王都。幾つかの橋だけでしか移動が出来なかったが...もしノアルトの言う事が本当ならば王都の移動は楽になり、さっきもお前が言ったように物資等の移動が速くなるならば、利益こそあれど不利益など何一つない。しかし実物を見ずに判断するのもどうかと思う。もう少ししたらその飛行船とやらを見せてはくれぬか?」


 どうやら国王は飛行船はかなり使える物であると判断したらしく、けっこう高い評価を得ているようだ。


「勿論。今すぐにでも実物が起動出来る」

「今すぐ...とな。ならば早速案内してもらおうか」


 椅子から立ち上がり、国王は俺を見据えて来る。


「では向かいましょう」


 と言いながら、執務室の扉を開ける。


「王子様、もう御用は済んだのでしょうか...って、国王様? どうなされたのですか?」

「ノアルトの話で急遽外出が必要になった。着いてこい」

「は、はい....」


 国王の護衛もいきなりの外出に驚いていた。

 が、すぐさま気持ちを切り替え国王の周りを完璧な配置で守り始めた。


「...てか俺達がいなくても王子様がいれば護衛なんて必要ないだろ...」

「シッ...それを言っちゃお終いだ」


 国王の護衛は冒険者で言えばAランクの最上位くらいには食い込んでくるであろう超実力者。

 ただSランクがガチの別次元過ぎるだけだ。

 彼らでも十二分に国王の護衛は務まるだろう。

 てか守る事に特化しているのでそこに関しては俺より上だろう。











 王格から橋を渡り、商格にある飛行船製作所へと向かう。

 途中途中王子と国王が同時に出歩いているのが珍しいのか、こちらを凝視してくる者も数人いた。

 まあ俺はあんまり王都に居ないし俺とは対称に国王は城から出ないからな。

 



「これはノアルト様! お話は終わったのですか...って、そこにいらっしゃるのは国王様!?」


 工場に入って来た俺の後ろに居る国王を見て驚きの声を上げるエレク。


「国王様自らが飛行船が駆動している姿を見たいとの事で急ではあるがこちらに連れてきた」

「よろしく頼むぞ。それで、肝心の飛行船とやらは何処なのだ?」

「は、はい! すぐに用意させて頂きます!」


 エレクは国王の声を聞くなり、サササっと飛行船の準備に取り掛かった。






「しかしノアルトよ、どうやってエレクトロ商会の会長に協力を取り付ける事が出来たのだ?」

「いえ、単なる偶然ですよ。道でモンスターに襲われていた所を助けただけですからね。と言っても、そのことすら俺は忘れていたんですが」

「むう...あのエレクトロ商会の会長を助けた事を忘れるとは...」

「いや、その時はエレクトロ商会の会長の顔なんて知らなかったんですから」

「...それはそれで心配になって来るぞ」


 少し困り顔を見せる国王。


「...まあ、何はともあれ、お前にこんな大商人との縁が出来るならば冒険者活動も無駄ではなかったと言うのが奴らにも証明できるだろうな」


 奴ら、と言うのは冒険者として各地を周っている俺の事を快く思っていない貴族達の事だろう。

 俺もお前らはそんなに好きじゃないから安心しろ。

 貴族で協力して騎士団の一つや二つ作れ。





「こちらが飛行船となります!」

「ほう...適度な大きさだな」


 準備されたのは俺やエレクなら何度も見た事のある普通の機体。


「これが空を...?」


 未だ信じられない、と言った風に首を傾げる国王。


「では、今からお見せしましょう」


 そう言いながら、飛行船に乗り込み、何時ものように魔力を流していく。

 それだけで少しづつ機体は上昇していき、低空で旋回をして見せた。


「...なんと。これが飛行船か...」


 それだけにはとどまらず、かなりの距離を飛んで見せる。


「確かにこの速さで地形の妨害を受けないとなると...」


 考えこんでしまった国王を傍目に、機体を下して地上に降りる。


「...ノアルト。流石は儂の息子だ。いつもいつも不思議な発想で多大な国益を...」


 感慨深そうにそう告げて来る国王。

 国王としてではなく、一人の父親として。


「...国王、ハロンツ・アルカディアはこの飛行船を王都で使う事を許可する。それに伴い、飛行船を運用する為に必要な整備を進めるよう儂から王命を出すことにしよう」


 俺とエレク、エレクトロ商会が生み出した飛行船は正式に王都で使用されることが決定となった。

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