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飛行船製作

「あー...もうちょっと小さくしてくれると助かる」

「は、はい!」


 エレクトロ商会が持つ、王都の中でも最大級の大きさを誇る生産工場で、俺は自分で考案した飛行船が作られていく様子を眺めていた。

 眺めるだけではなく、製作に口を出せるので、ガンガン口を出していく。


「しかしまあ...ノアルト様が最初に提示してくれた製作法から殆ど改良がなく製作に至れたのは本当に驚きです」


 飛行船製作の視察に着いてきたエレクが俺にそういう。

 まあ、スカイオクトパスを素材として使う事以外には大した発想も技術もないが...それでも製作が出来てしまうくらいにはスカイオクトパスの素材は優秀だ。


「しかしまあ...これが飛ぶか?」

「考案者のノアルト様がそんな弱気になってどうするのですか...」


 俺の目の前にある試作品君はかなり小型。

 人が数十人程度乗れる大きさしかない。

 これくらいの飛行船が空を飛び、バス代わりになればいいなぁと思ってこの大きさにしてみたが...ちょっと不安だ。





「じゃあ起動させるぞー」


 試作品を実験するのは勿論俺。

 他の奴に任せても全然構わないんだが、何か事故があった時に命の保証が出来ない。

 ならば俺がやるべきだろう。

 大丈夫、この世界からありとあらゆる食べ物が無くならない限りは死なない自信があるからな。


 魔力を流し、飛行船を起動。

 グオン、と低い音と共に飛行船がゆっくりと上昇していく。


「おお!」

「成功だ!」

「まさか最初から成功するとは...!」


 周りの製作員達が揃えて声を上げる。

 が、浮くだけではまだ足りない。


「えーっと、ここか」


 またまた魔力を流し、機体が前方へと進んでいく。


「おおおおおお!」

「空を飛んでいるぞ!」

「いや待てよ、あそこの部分に改良を加えれば更に飛行が安定するかもしれないぞ?」

「そ、それもそうだな!」


 空飛ぶ機体を見て、インスピレーションが刺激されたのか、次々に声を出し合う製作員達。

 それを見て、俺は機体をゆっくりと地上に下した。






「いやはや、アレが王都を飛び回るのを想像すると、私にも感慨深い物がございます!」

「ああ。同感だ」


 エレクの言う通り、飛行船が王都を飛び回るとなれば、移動は楽に、物資や人の交流も盛んになるだろう。

 あと単純に空に造られた王都で飛行船が空を飛ぶのは景観が良くなるに決まっている。

 いずれは飛行船が発達し、より物資の移動が楽になればアルカディア王国は兵士の数が圧倒的に少ないながらもかなりの実力を手に入れる事が...。

 ...兵士の数か...。

 うーん...何かあれば冒険者に丸投げすれば...。

 いや、それは駄目だな。

 国の力だけで回らないような国家に誰が着いて行くのか。

 今後の目標はアルカディア軍を前と同じくらいの規模にすることだな。

 前の規模? それは知らん。










「本当にこれを大きくした物が飛ぶんですか?」

 

 部屋でラミュにミニチュア飛行船を渡すと、ラミュがそんな事を聞いてきた。


「そりゃあ勿論飛ぶぞ。俺が発案したんだからな。これが出来ればラミュだっていつでも美しい王都の眺めを見る事が出来るぞ」

「それはそうなんですが...」


 耳をピクピクとさせ、恥ずかしそうに指先をツンツンと合わせるラミュ。


「...飛行船なんかより...ノア様に抱っこされて一緒に飛びたいです。と言うかノア様じゃないと嫌です。飛行船なんかには乗りません」


 そう言いながら俺と目を合わせて来るラミュ。

 そんな俺の飛行魔法が気に入ったか?

 まあ、只の機械なんかよりも、ブーストで魔法を極める事が出来る俺の飛行魔法の方が飛行の質が良いのは明らかだがな。ラミュは見る目があるぞ。


「流石ラミュだな。俺の飛行魔法の方が質が良いのは事実だが...それを見抜けるラミュは凄い! 頼んでくれればいつでも飛んでやるぞ!」

「え...? あ、本当ですか!?」


 ラミュは一瞬きょとんとした表情を浮かべたが、すぐに満面の笑みになった。


「約束ですよ!」

「ああ。任せてくれ」


 ラミュは子供なのに飛行が平気などころか大好きだとは、なかなかに肝が据わっていると見た。

 俺でさえ飛行魔法を覚えたての頃は結構怖かったのだが...。

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