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正体

 闇に沈んだ帝都。

 その静けさは夜でも昼でも賑わっている帝都としては非常に珍しい物である。

 理由は勿論通り魔事件が怖くて誰も出歩かないからだ。

 通り魔事件が起こる前の帝都しか知らない人がこの現状を見たら皇帝のお通夜か何かと勘違いしそうなくらいにシン、と静まり返っている。


 そんな真っ暗な帝都の中に黒の対である美しい白銀の髪を持つ少女が。

 風に吹かれて靡くロングヘア―。

 彼女が向かう道の先には影が落ち、姿が良く見えないが確かに人型の何かが立っていた。


「...貴方は?」


 少女の問いかけにも答えず、人影は静かに腰に携えていた剣を抜き、神速の踏み込みから少女の首を刃が襲う――。





「オラァ!」


 建物に隠れ、レイア達から見えない所から跳躍、構えていた衝撃鎌(ウェーブ)を襲い掛かる人型に向けて振り下ろす。

 ギリギリで攻撃は躱され、地面にはクレーターレベルで罅が入る。


「レイア、分かっているとは思うがコイツからは異質な魔力を感じる」

 

 素の状態だとそこまで魔力感知が得意ではない俺でさえ分かる違和感。

 普通の人間からは感じられない、なんとなく濁った様な反応。


「ん。ブリザードランス!」


 人型に向けてレイアが数本の冷気を纏った槍を放つ。

 しかしその全てが瞬く間に切り伏せられ、人型の元へと届く事はない。

 なかなかの剣の腕。接近戦になればマトモな獲物が鎌とかふざけた物だけの俺やレイアは危ないだろう。距離を取って戦うか。それと万一を考えてレイアには下がって貰うか...?


「レイア、俺が戦っている間に出来ればここから逃げて欲しいんだが...」

「...仮にアレが戦闘を放棄して私の方へと向かってきたら私は何も出来ない。逃げるよりコッチの方が安全」

「ああ...」


 確かにそうだな。

 それに二人で戦った方が圧倒的にやりやすい。

 仮にもレイアは氷魔法で言えばかなりのエキスパートだからな。居て損はそんなにないだろう。


「さて...フレイムボム!」


 俺はロストの恰好をしている為色素魔法とか次元魔法は使えない...。

 と言うか実は次元魔法の次元断斬(ディメンションカット)って近距離してくるスピードタイプには当たらないし色素魔法も相手の魔法を封じるのがメインだから接近戦を仕掛けて来るアレには効果が薄いだろう。

 だとしたら現代魔法が一番適切である。

 ブーストを使えば立ちどころに達人以上の腕前を誇る事が出来るからな。


 俺の放った爆発する炎は全て素早い身のこなしで躱され、人型は煌めく刃を構え此方に迫って来る。


「アイスウォール!」


 レイアの構築した氷の壁。

 しかしこれも一瞬のうちに切り刻まれ意味を無くす。


「ならばアクアウォール!」


 水で出来た壁を構築。水ならば切れないだろうと踏んだが...。

 人型は水の壁の手前で高く跳躍し、上から剣を振り下ろす。


「マジかっ!?」


 すんでの所で衝撃鎌(ウェーブ)で剣の刃をガード。

 激しい振動や重さに脂汗が出るのを感じる。


衝撃(ウェーブ)っ!」


 衝撃鎌(ウェーブ)に魔力を流し、追加効果である衝撃波を発生させる。

 急な衝撃波に吹き飛ばされた人型は後ろに吹き飛ばされる...が、素早く体制を立て直されてしまう。

 その時、チラリと人型の顔のような物が見えた。

 見間違いでなければ...そこにあったのは、ここに居てはいけない筈の顔。


「ライトスフィア!」


 光る弾を幾つか生み出し、人型の姿を照らす。

 そこに居たのは...。



「――ガルアナ――?」


 声が漏れたのは俺なのか、レイアなのかは分からなかった。











 僅かに光を受けてひるんだガルアナは、光から隠れるようにその場から逃走を開始した。


「...ガルアナは先日打ち首...何故...」

「おいレイア! 奴が逃げるぞ! それに、奴がガルアナと決まった訳じゃないっ!」

「...ん、追う。逃がさない」


 すぐさま俺達は逃げる人型の追跡を始めた。




 一瞬無防備になってしまうが、ブーストを現代魔法から解除、魔力感知に使う。

 異質な雰囲気を放っていた人型の魔力がより精密に分かるようになる。

 余りにも不自然な造形をした魔力...この違和感。

 これは...。


「レイア、あれはガルアナの姿をしているし、体も多分ガルアナの物だ」

「...やはり、打ち首になったのは影武者か大規模な幻術魔法か...」

「いや、違う! 確かにあのガルアナは死んだ筈だ! あのガルアナはアンデットなんだ!」

「アンデット?」


 アンデット。不の力を受け蘇ったモンスター。

 故意にそれを引き起こす事が出来るのは闇の魔法を極限まで極めたモンスターや魔術師、またはアンデットが生まれやすい地域などの地的要因くらいしかない。

 因みに俺も出来る。絶対やらないと心に誓っているが。

 地的要因はなさそうだし、ガルアナをアンデット化させたのは魔術師かモンスターとなる。

 まあ、今はそんなことはどうでも良い。


「アンデットは基本的に光に弱い。奴がアンデットなら、通り魔が夜に出なかった事も説明がつく。ならば俺が光魔法か聖魔法をぶち込めば...」

「致命傷を与えられる...!」

「そういうことだ。それに、アンデットとなった以上、ガルアナは最早人ではない。只のモンスターなんだ」

「...ん」


 逃走を続けるガルアナの背後を俺達は追って行く...。

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