通り魔確保に向けて
あの後休憩を終え、なんとか地上に帰還してきた俺達。
ウォズカルバの貴族に水晶を渡す。
「いやはや助かりました! なんと!? 二十階層、そしてこの色はSランクの階層...まさかSランクモンスターまでもを下す実力者だとは...!」
水晶の色と薄っすら見える数字を見て貴族は驚いた声を出した。
「そう。ロストと私は強い。すっごく強い」
「流石レイア様! 本当にお強い! 次期皇帝と噂の通りの実力でございますね!」
「...」
この貴族は例え今後何かあっても上手い事生きていきそうだな...。
結構レイアの協力者も増えて来た。
有力な貴族のラルバ伯爵や、それに便乗してレイア側に着く者も増え、未だ半数近くの貴族が中立を保っているとは言え、レイアの陣営はかなりの総量。
恐らく味方に付いている貴族の数ならば第一皇子を越えているだろう。
そう、貴族の数だけならな。
「そういえばお前、次期皇帝の話って聞いたか?」
「いや、別に俺としちゃあ皇帝なんて暴君でもなければ誰でも良いし、レイア様なんて知らない人だからなぁ...とりあえず国民に優しいって噂のサリバン様が皇帝になれば良いんじゃないか?」
「まあ正直皇帝なんて誰でも良い...って言うのは同感だが、対抗馬のレイア様の後ろにはあのアルカディア王国が付いてるらしいぞ?」
「うわ、他国の政治に口を出してくるつもりなのかよ...絶対何か企んでるだろ」
「それが、ほらガルアナがレイア様に敗れたアレあるだろ? 実はレイア様が僅かな手勢だけでアルカディア王国が動くよりも早くに片付けて両者全く被害がなかったから許してくれたらしいぞ。それが無かったら最悪戦争になってたかもしれないし...アルカディアはそれの恩返しとして協力してるんじゃないのか?」
「そう聞くとレイア様って凄いな...アルカディア王国が協力するってことは必然的にあのSランクの王子もレイア様の陣営入りって事だろ? ヤバいな」
冒険者ギルドの酒場での会話を盗み聞きする。
一番国民...と言うか市民に近しい会話はここで聞けるかな、と踏んで来てみたのだが...。
こんな感じで全体的にレイアもなかなかだが、基本的にはサリバンの評価が若干上回っていた気がする。
だとすると何でもいいからレイアが国民達の評価を改めさせるような行動をしなくては帝位争いの雲行きが怪しくなるだろう。
大事なのはサリバンを落とすのではなくレイアを上げる事。
ないとは思うが、第四皇子のイアド等、更なる参戦者が現れた時に消去法でそちらを選ばれてはたまらないからだ。
やはり危なげのない確実な勝利が欲しい。
「にしても最近の通り魔事件、聞いたか?」
「ああ、アレか? アレのせいで夜中マトモに出歩けなくて色々と溜まってるぜ」
「全くだ。犯人は一向に見つからないらしいし...お偉いさんは何をやっているんだか」
そういえば俺が再びここに来たのは他でもなく通り魔がヤバそうだからレイアの護衛に行ってくれ、って理由だったな。
...そろそろ行動、起こしてみるか。
「レイア、ちょっと良いか?」
「ん...どうしたの...?」
もう窓から入って来る事に対して何も突っ込まれない。
「えっとだな...通り魔事件あるだろ? あれの調査とかをしたいんだが...レイア名義でやる為に何か適当に許可書作ってくれないか?」
「もしかして夜中に何処かに行くの?」
「まあ通り魔は夜中にしか現れないらしいしそうなるな」
「じゃあ私も着いて行く」
「...マジ?」
まあ確かに、俺の真の目的、と言うか任務はレイアの護衛だし、着いてくるなら着いてくるで別に良いが。
事件現場がどんどん王城に近づいているってのが怖すぎるんだよなぁ...。
そのうち王族暗殺を企ててそう。
「きっと通り魔事件の犯人は王族が狙いの筈」
「まあ普通に考えるとそうだな。だからレイアには安全な王城に居て欲しいんだが...」
「私を囮にする」
「...マジ?」
さっきから驚いてばっかりだな俺。
囮捜査はまあ合理的ではあるのだが...如何せん不確定要素の塊な通り魔事件にレイアが来て守り切れるかなぁ...。
「大丈夫。私を囮にすればきっと犯人もすぐ特定できるだろうし、貴方なら私を守りながら通り魔事件を解決出来る」
俺の考えを見透かしたかのようにそう言うレイア。
全く、ダンジョンでの出来事のお蔭か元々信用されていたのがもう命まで預けられてるような物だ。
「そう言うなら...やるか!」
「ん。街の人達の平穏を脅かす犯人は必ず捕まえる...」
こうして通り魔事件の犯人の確保に向けての行動が始まった。
えっと
遅れてすません
許してください
スチームパンクに現を抜かしてました
反省してます




