消滅
遅れてすまない。
いやホントに申し訳ないです
着々と攻略を進めて行く俺とレイア。
が...。
「く...アイスランスッ!」
大体十階層まで来た辺りでレイアに明らかな疲労が見え始めた。
魔力が少なくなってきたのだろう。
放つ魔法もブリザードランスからアイスランスへとグレードダウンしているし、限界が近いな。
ついさっきまで元気に魔法をバンバン撃ち続けていたから大丈夫なのかと思ったのだが...。
「凶暴な水」
大量の水を放射しモンスター達を一掃。
「そろそろ休憩にするか」
「...ん」
レイアを連れてダンジョンの適当な所に身を隠す。
幻術魔法で姿を隠しているからこの階層程度のモンスターにはそうそう気づかれない。
なんせまだ十階層。モンスターの強さは精々Bが良い所だろう。
結構連戦だったし、コンディションが悪い状態では格下にも後れを取る事があるからな。
ここらでしっかり休憩をしておかなくては後に響く...のだろう。
エルとかアルヴァが言ってた。
いや...俺は魔力もすぐ回復するし回復した魔力で治療とかも出来るから休憩とは全く無縁だし、レイアの為にどこらへんで休憩すればいいのか分からなかったんだよ...。
「大丈夫か?」
「ん...ちょっと辛いかも...」
「あんまり無理はしない様にな。実は俺って休憩の取るタイミングとかが分からないからレイアに結構キツイ思いをさせちゃったな。すまない」
「ううん、謝るのは私の方」
「それは何故だ?」
「私のせいで調査が遅れちゃうから...」
しょぼくれて俯くレイア。
ああ、そういうことか。
自分は疲れたけど休憩しようなんて言ったら調査が遅れるとでも思ったのか。
「良いか? 俺はノアルト。あのSランク冒険者のノアルトだ。お前の為に休憩を取ったとしても通常の冒険者の何倍もの速さでダンジョンを攻略出来る。だから遅れるなんてことはないし、気負う事も遠慮することもない。例えお前が急に魔力切れを起こして動けなくなったとしても俺が守ってやるさ。俺を信じろ」
「...うん」
レイアは俺の言葉を聞いてちょっとだけ頬を緩めた。
「ブリザードランス!」
冷気を纏った槍が数本現れモンスターを串刺しにしていく。
俺も後ろから氷の魔法で援護をし、二人でダンジョンを進んでいく。
暫く進んでいくと、何やら開けた空間に出る事となった。
俺達がその空間に入るなり、空間には火を纏ったようなトカゲのようなモンスターが現れた。
アレはサラマンダーか? だとしたら何故こんな所に?
サラマンダーはAランクの中でも上位に入るくらいの力を持っている。
まだまだBランクのモンスターしか出ていないのにコイツがここに出て来るとなると、中ボス的な立ち位置のモンスターがこの空間に配置される仕様なのだろう。
とにかくレイアに相手をさせるのは危険かもしれない。
俺がパパパっと倒してしまった方が良いだろう。
「レイア! 下がって何処か適当な所に隠れてくれ! コイツは俺がすぐに倒す!」
「ん...分かった」
レイアを下がらせ、サラマンダーと対峙する。
「頑張っ――」
何処かに隠れたレイアからの声援が途中で途切れる。
「レイア?」
レイアの居た方を振り返って名前を呼んでみるが反応が無い。
「ジャアアアアアアアアアアアアア!」
「水の砲撃」
迫りくるサラマンダーをブーストを使った最大級の水魔法で攻撃。
一瞬でサラマンダーを倒してすぐに魔力感知を発動させる。
レイアの反応が近くに感じられない。
レイアが消えた...!?
よくよく魔力感知を続けてみると、さっきまでレイアが居たらしき所に何か魔法が作動したような痕跡が見つかった。
これは...もしかして次元魔法の類か?
ダンジョンにはモンスターが湧くだけではなく、さまざまな罠が仕掛けてあることが殆どだ。
やれ針の出る罠だったり...普段俺はダンジョンに入らないから針が出て来る罠しか知らないが。
次元魔法が発動したような痕跡があると言う事は、レイアは何処かへ転移してしまうような罠に掛かってしまったと考えるのが妥当だろう。
更に魔力感知を広げていく。
この階層にレイアらしき反応は感じられない。
上も同様に、レイアらしき物は感じられなかった。
こうなると、レイアは下の方の階層に居るとしか考えられなくなる。
下の方に魔力感知...居た。
十個くらい下の階層に。
十個下...十個下!?
魔力感知でもSランクくらいの反応がうじゃうじゃ居るのが分かる。
あんな所にレイア一人はマズイ...滅茶苦茶マズイ!
早く助けに行かなくては。
皇子女がダンジョンに潜って罠踏んで死にましたなんて笑い事じゃ済まされないぞ!?
俺はブーストでスピードを強化し、ダンジョンを下の方へと駆けて行った。




