レイアの実力
ダンジョンへと突入したロストこと俺。
単独でダンジョンに入るのは一般的には危険とされている。
ダンジョンでは何処からモンスターが襲って来るか分からないからだろうな。
しかし俺はSランク冒険者の肩書を持つノアルト・アルカディア。
例え俺がSランクじゃなかったとしてもメンバー探すの面倒そうだしダンジョンには単独突入すると思うが...こういう自分の適当な所は直さないとなとは思っている。
「ブリザードランス!」
...単独...?
「この程度のモンスターなら余裕。...もっと掛かって来ても良い」
「何故着いてきた...?」
目の前に居るレイアに俺はそう聞いた。
「ダンジョンは危険って聞いたし...私も着いていった方が良いかなと思った」
実際レイアはAランク冒険者くらいの実力はあるだろうし、基本的にはダンジョンでは大過ぎなければ多人数で行動、戦闘を行った方が安全かつ効率が良い。
それは勿論基本的に、である。
Sランク冒険者は基本的にパーティーを組まない。
何故なら仮にパーティーを組んだとしても他のメンバーが自分よりも遥かに弱い為、ただ邪魔になってしまうからだ。
SランクとAランクはたった一つのランク差でしかないが、実際その二つの間には天と地ほどの差がある。
元々俺は一人でこのダンジョンに潜ろうと思って入ったのだが...。
「...そういう事なら。ただダンジョン内では油断するなよ?」
「ん、分かってる」
まあレイア一人くらい一緒に居ても大丈夫だろう。
彼女は実力者だし、Sランクや不可山脈レベルのモンスターでも出ない限りは大丈夫だろう。
仮に出たとしてもレイアを守りながら撤退くらいならなんとでもなる。
少しでも敵が強いなと感じたら早々に視察を切り上げるとしよう。
結局ダンジョン視察の最低条件はAランクのモンスターがどのくらいの階層から出て来るのかを明確にする事だけだからな。割とレイアだけでも出来た気がする。
「アイスボム!」
氷の生成から崩壊を起こし、周囲のモンスターを打ち倒すレイア。
アイスボムはあまり範囲攻撃に向いていないのにこの威力。
まだまだCランクのモンスターしか出ていないような階層ではあるが...氷魔法に関してレイアは一流であると言えるだろう。
「う...ダンジョンってこんなにモンスターが多いの...?」
まだまだ襲い掛かるモンスター達を見て顔を顰めるレイア。
少しずつだが、魔法を放つペースや威力が下がっていく。
氷魔法の扱いだけなら一流だが、レイアにはとにかく実戦が足りないようだ。
魔力の配分ペースは正直下手くそだし、背後等からの攻撃には反応が遅れている。
ただただ王城で魔法の威力を極めていただけなのだろう。
だから実戦では思ったように力が出せないのかもしれない。
それでもこの魔法の威力は目を見張る物がある。
磨けばAランクでも最上位の魔法使いにはなれるだろう。
...と言っても、皇帝に武術や魔法の心得が必要かと聞かれたらそこまで...と言うのが正直な所だが。レイアは皇帝になる(予定)なんだから魔法を極限まで極めなくても大丈夫なんだ...。
考え事をしていると、レイアの背後から俺にモンスターが襲って来るのが見えた。
適当な魔法でそのモンスターを倒し、再びレイアの戦闘を見る。
「アイスピラー!」
レイアの魔法により氷で出来た柱がレイアを守るように囲んでいく。
「ブリザードランス!」
柱に阻まれ足を止めたモンスターから氷の槍により息の根を止められていく。
なるほど、よく考えられた魔法だな。
これが初めての運用なのだろうか、まだ粗さが見えるが...モンスターと対峙することを予測して前々からこの戦術を立てていたのか...それとも、今咄嗟に思いついた物なのか。
もし今咄嗟に思いついた物だとしたら...かなりの才がある。
多分真面目な戦術を考える事においてはSランク冒険者を追い抜けるかもしれないな。
みじかくてすまない。
最近は忙しくてのぉ。




