ダンジョン視察
「ウォズカルバで新種のダンジョンが見つかったらしい...が、視察に行ってくれる冒険者が見つからず困っているらしい」
「また私の知らない事を知ってる...」
またまた新しい情報。
ウォズカルバは帝都のかなり南西にあるこれと言って目立った特徴が無い事で有名だった地域だ。
しかしそんな地域にダンジョンが出来たとなると?
大量の冒険者が流れ込み、経済は潤うだろう。
その為にはダンジョンが何処まで安全なのかの視察をしておかないといけないのだが...。
冒険者ギルドは基本的にモンスターのスタンピードでも起こらない限りはギルドからの依頼は出していない。つまりはダンジョンを必要とする領主くらいしかダンジョン視察の依頼は出さないのだ。
てかダンジョンはその土地の持ち主が運営しているのでギルド側がとやかく言う事は出来ないらしい。
まあダンジョン視察にはそれこそAランク上位やSランクくらいの実力が必要なのだが...そんな冒険者がゴロゴロと居る訳もなく、未だにそのダンジョンの視察が出来ていないらしい。
「これの視察と引き換えにここの領主...じゃなくて貴族を仲間に引き入れる事をお勧めするが...」
「貴方がそう言うならそうする」
俺の提案に即答するレイア。
「もうちょっと考えたりとかはしないのか?」
「貴方を信用してるから大丈夫。それに私は政治的なのもあんまり上手くないし...」
「俺も政治は下手くそだぞ」
「え...? それは嘘。赤ちゃんでも分かる嘘」
この娘は出会って一か月程度の相手に自分の帝位争いを任せて良いのか...?
もし俺がレイアを騙そうとしてたらとか考えないのか?
俺は心配になって来ちゃうよ。悪い政治家に引っかからないように俺が守らなくちゃ...ん? もしかしてそう思わせる事まで想定済みでこの態度を...ないか。
「ま、まあとりあえず話だけでも聞きに行くか」
「...そうする」
肯定の言葉を聞いてから俺達は飛行魔法で南西へと向かうのであった。
「ダンジョンの視察をして下さるのですか!? しかもあのロストさんが!?」
領主の貴族はレイアの提案を聞くなりそう言った。
やはり第三皇子を第一皇子女と一緒に捕らえた謎の人物と言うのは結構人の記憶に残るものだな。
「ああ。と言っても...」
「帝位争いで私に協力してくれると約束するなら、の話...」
「勿論協力させて頂きますとも! いやはや、次期皇帝と名高いレイア様に取り入る事が出来て大変嬉しく思います...おっと、取り入る等と不敬な発言、誠に申し訳ございませんでした」
「別に...気にしてないから...それより早くダンジョンの場所を教えて...」
「はいはい直ちに! ではダンジョンまでご案内します故付いてきて下さい」
そう言いながら貴族は俺達を先導し、ダンジョンへと連れて行く...。
「普通の洞窟だな...」
前の火山みたいに変な地形にあるのではなく普通に洞窟だった。
「見た所ロストさんは冒険者ギルド等に登録されてない様子ですが、普通のダンジョンと言うくらいなら他にどんなダンジョンがあったんですか?」
「あ、あー、火山の中にあるようなダンジョンに一年程前に侵入した事があったが...」
「ああ、熱岩の洞窟ですか! この前Sランク冒険者でもある隣国の王子が依頼でそこのコアを破壊したようですね。なんでもダンジョンコアの破壊が最後に行われたのは数百年程前ですからね」
自分の名前を呼ばれたらちょっとバレそうで怖くなってくるな...。
「まあさっさと視察を終わらせてくる」
「あ、ちょっと待って下さいね...コレをお持ち下さい」
「なんだこれは?」
渡されたのは青い水晶。
「これで階層ごとのモンスターの強さを測って色で表示してくれる代物らしいです。色もこの水晶が記録してくれるらしいので、これを持って行ける所まで進んでください」
「分かった。行ける所まで行くとしよう」
「ん。行ってくる」
こうして水晶を持った俺とレイアはダンジョンの視察を開始するのであった。




