不景気解消
「どうやらラルバ伯爵が色々と困っているらしい。助けてみてはどうだ?」
「...なんで私の知らないことを知ってるの...」
護衛が始まり数日。
俺はレイアの前に現れそう提案していた。
質問に対してだが...それは俺が帝都の王城で情報収集をしてたからだ。
熱岩の洞窟付近のラルバ伯爵。結構偉い人。この人に貸しを作れるならそれに越したことはないだろう。この人のついてる陣営に自分も入ったろ、なんてヤツも居るくらいだ。
多分情報戦がSランク冒険者で一番上手いのは俺ではないだろうか。
風魔法や読心魔法、魔力感知で情報収集を有利に進める...。なんか王子っぽくねぇな。
「詳細としてはなんか単純に領地の景気が悪くて困ってるらしい。その程度なら俺がAランクかAランクのモンスター数匹狩って来て売っぱらえば済む話なのだが...それをレイアの手柄にしないか?」
「...なるほど。ラルバ伯爵を仲間に取り入れる事が出来たなら帝位争いが有利になる...」
「ラルバ伯爵だけでは無理だとは思うが...そんな感じの事をやり続ければ俺達の有利は確実だろうな」
現に今、第一皇子のサリバンは西の方に居る。
なんでも、西の方は整備が整っておらず、不作に悩まされているかららしい。
そこで土地の人と農業してるらしい。
ホントに皇子か? こんな帝位争いの大事な時期に...。
まあいい。
「そうと決まれば早速行動だ。行くぞレイア!」
「ん、頑張る」
景気が悪いと言っても結局は金が無いか、又は金が回らないかの二択である。
無い金は税金として入ってこないし、金が回らないと税金は発生しない。
熱岩のダンジョンは俺とジオニカで潰してしまったので冒険者が来なくなり廃れてしまったのだろう。
てか割とガチでロストと言う人物に成りすませて良かった。
ダンジョンコアを破壊したとすれば良くも悪くも話題になるからな。
そんなダンジョンコアを破壊した張本人がその近くでダンジョンが無くなって困ってる所に協力したなら八百長だと思われかねない。
自作自演したのか? なんて疑われても文句が言えないのだ。
だから全く別人として出る事が出来るのが非常に大きい。
「それで...レイア様、私の領地の不景気は過去最悪です。いくら何でも只々お金を頂くわけにはいきませんし...」
白髪の老人であるラルバ伯爵は、そう言いながら顔を伏せた。
「その為の協力者。このロストはかなりの腕利き。モンスター数匹狩って市場に売ればまた経済は回り始める筈...」
ちょっと前まで熱岩の洞窟に来る冒険者が主に経済を回していた為、モンスターを買い取ったりすつ経済が発達している。
他にもこの領地にはいろいろと金源がありそうだが、硬直した経済を再び回さない事には景気回復は望めない。
「...ああ。このロストがモンスターを数体程狩って来るだけでいいのだな? 他ならぬ皇子女の為だ。なんとかしよう」
「本当ですか!?」
「対価は皇子女に対する全面的な協力。このロストはそれ以上は何も望まない」
「勿論ですとも! 次期皇帝であるレイア様に協力が出来るならば此方としても非常にありがたいのです」
先ほどの表情とは一転、歓喜に満ち溢れた表情を見せる伯爵だった。
「...と言っても...」
モンスターと言ってもどの程のモンスターを狩ってくれば良いのか...。
普通にSランクで良いのか? 不可山脈くらいのモンスターじゃなきゃダメか?
ここら付近のモンスターじゃないとダメか?
何て考えながらモグラのような姿をしたオーダーマウスを次々に狩っていく
場所は熱岩の洞窟の火山から少し離れた荒野。
...とりあえず沢山狩ってありったけ素材を持って帰れば良いか。
「戻ったぞ」
「もうお帰りになったのですか......って何ですかこの量は!?」
「何って...オーダーマウス数百匹分の耳や尻尾だが...」
「Aランクのモンスターを数百匹も!?」
「ロストは強い。だって私の協力者だもん」
驚きの表情を浮かべる伯爵に対して得意げな表情をするレイア。
まあよく分からん奴がAランクのモンスターを大量に狩ってたらそりゃビックリするよな。
俺がSランク冒険者だと分かっていればそこまで驚かないかもしれないが...。
「これだけあれば経済を回さなくともここ数年は安泰になりますよ!? 流石に市場に流しますが...」
それだけオーダーマウスの耳や尻尾って売れるんだ。知らなかった。
アイツら只々臭いだけだから売れるとは思ってなかった。
暫くしてラルバ伯爵の領地の経済は回復、レイアへの協力...つまりレイア側での帝位争いへの参戦を明言してくれた。
こうしてレイアは一人帝位への足掛かりとなる強力な仲間を手に入れたのだった。




