海龍
エル、そう言えば任務に行ったっきり帰ってこないな...。
俺がダンジョンコアを破壊して一週間。その間俺はダンジョンで取れた魔道具等を売り払っていた。
大体古代魔法の付与魔法が付いてるだけの武器や道具だったので別に要らなかったのだ。
だって面倒だけど再現できるし。
ただ衝撃鎌はデザインが滅茶苦茶カッコいい。俺には真似できない。
その点あのダンジョンから出た魔道具はホントに普通の武器に追加効果付けました! みたいな感じだったからな。
そう、なんかデザインがね...。正直武器は無くても大丈夫なのだ。が、それでもカッコいい武器は欲しくなるじゃん?
それから偶にラミュがご飯やお菓子を作ってくれるのを食べたりしてた。
いやラミュの料理の腕が凄いんだわ。もうレンと同じくらいの腕はあるし...あのときゃいい買いモンをしたもんだわ。
あとはラミュが耳とか尻尾を触らせてくれるのだが...これがまたモッフモフで気持ちが良い。
シロはなんだ...俺の部屋で女王の様に振舞ってやがる。
ベッドは占領されるし運ばれてきたお菓子の半分はアイツの腹の中に消える。
まあ可愛いし別に良いんだけど。あと俺よりもラミュにべったりな気がする。
俺が撫でようとすると尻尾で叩かれるし。ちょっと痛い。結局撫でさせてくれるのだが。
ある朝、国王から話があるとの事を伝えられた。
帝国の事ではなさそうだが...一体何の用なのだろうか。
「南の海で海龍が暴れているらしい。今エルが鎮圧に向かっているのだが...」
「分かりました。行きますよ」
「海の中と言う事もあり苦戦は必須...良いのか?」
「海龍なんて大物を相手にするのにギルドに何も連絡が無いのはおかしいと思っていますが...どうせお金をケチりたいだけなんですよね? AランクやSランクを下手に動かさずに俺やエルに任せれば良いと」
「まあその通り。大金を叩いてどこの馬とも知らぬような奴よりもお主らに任せた方が安心できるからの...報酬が欲しいなら渡すが。勿論勇者にも」
俺が言いたいのはそういう事ではないのだが...。
「...今度からは勇者に任せっきりではなく俺とか他の奴にも任務を投げてやって下さいよ? 誰も出世できないじゃないですか」
「それは考えておく...が、今回に限っては海龍の討伐であるし、まず国を上げて王子にたかがモンスター対峙の任務を課すわけには...」
「...そうか」
俺は暗い顔で部屋を後にした。
別に俺に任務を与えない、といった事が気に入らなかった訳ではない。
俺が暗い顔をしていたのはエル...勇者の過剰労働についてだ。
この前だって北の方で不可山脈のモンスターと戦っていたと聞いたし、一人に重荷を与えすぎなんだよ。
海の中の龍に肉弾戦メインのエルを投げ込むよりも冒険者ギルドか何かに依頼をすれば良かったものを...。
...まあいい。俺が国王になれば勇者以外にも頼れるような奴を見つけて取り込むからな。
そうでもしなきゃこの国は勇者が死んだ瞬間全てが終わってしまう。
海龍。要するに水属性持ちのドラゴンなのだが...。
属性竜とは違い、海龍は古代龍に当たる。
古代龍は文句なしのSランクモンスター。
不可山脈の更に奥地のモンスターとも渡り合えるだろう。
てか長く生きてる龍とタイマン張れるような強さのアイツらがかなりおかしい。
飛行魔法で空を飛び、目指すは南の港町、ウォルテッド。
アルカディア王国で最も商いが盛んな地域。
ある意味では王都よりも発展しているのかもしれないな。
そんな港町付近の海に龍が出たとなると一大事だろう。
すぐさま討伐に、そしてエルの手助けに行かなくては。




