ドラゴニュート
「先手必勝、と言う言葉を知っているかね?」
開幕早々にジオニカがドラゴニュートへの攻撃を開始。
神速の踏み込みからその首に斧を振るう――。
それを察したのか、いきなり背を晒すドラゴニュート。
否、背を晒す動きを用いてその尻尾でジオニカを攻撃しようとしているのだ。
「尾程度で私を止められると思うなよ!」
初動を見切られた為、ジオニカは首を狙うのは無理だと即座に判断した。
そのままジオニカの斧が尻尾を断ち切る...。が。
「!?」
断ち切った筈の尻尾はウネウネと動き、一瞬そちらに目が行く。
が、問題なのはそこではない。断ち切られた筈の尻尾が再び再生し、勢いを持ってジオニカを襲おうとしていた事――。
「危ない!」
フレイムボムを放ち、ジオニカとドラゴニュートを一度引き離す。
にしても尻尾の切り離しから高速再生...まんまトカゲじゃねぇか。
「感謝する...が、もう大丈夫だ。あの手はもう二度と食らわないさ」
「それを抜きにしてもアイツはダンジョンコアの守護者になってるくらいだから相当強いぞ? それこそ不可山脈のモンスターと同じくらい硬いし早い筈だ」
「王子君はいつもあんなのと戦っているのか...私も見習わなければな」
再びジオニカは斧を下段で構える。
それを見て、俺も古代魔法にブーストを掛ける。
使うのはもちろん色素魔法。これで一気にカタをつける。
「青式魔砲」
今回使うのは青色。
色素魔法は一色ごとに、色をばら撒く〇式魔砲、ばら撒いた色で縛る〇式魔包、全部集めて一気にぶっ放す〇式魔崩に加えて、あと一つの計四つがある。
ここまではどの色でも同じなのだが、色が変わることで色に応じた特徴が顕著に現れる。
そしてその特徴と言うのが、例えば赤の場合が、全部集めて一気にぶっ放す〇式魔崩の威力が他より高くなる、と言った物だ。
青色の場合は、名前が明かされていない最後の魔法の威力が他色よりも幾らか強化されるのだ。
まずは色をばら撒かないとどうにもならないので手当たり次第に青式魔砲を撃ち続ける。
ドラゴニュートは必死の形相で俺の青式魔砲を弾いていく。
「出たな、王子の古代魔法。確かカラフルな魔法を使い始めたら王子君の独壇場になるんだったけか?」
「いや、色素魔法が大きく影響を与えるのは魔法を主体にしている奴だけだ。お前には影響しない」
「そうと分かれば私も再び参戦しようではないか」
傍観していたジオニカも再び斧を下段に構え、機会を伺い始めた。
「...ここだ」
俺が魔法を撃ち続けている最中、一瞬でジオニカの姿が消えたかと思うと、ジオニカはドラゴニュートの足を切り落とす寸前だった。
ドラゴニュートはソレを避けようともしない。
ただ足が切断されるのを待っているだけ。俺の魔法は弾いているが。
「そおいっ!」
気合の声と共に足が切り離される。
両者からあまり離れていない所に落ちたそれはモゾモゾと動いている。
そしてドラゴニュートの足は再び生え始め――。
「そう来ると思っていたよ」
上から振り下ろされた剣を斧で受け止めるジオニカ。
それと同時に体を鉄棒の逆上がりの様にしてドラゴニュートを蹴り上げる。
が、ドラゴニュートはびくともしない。
そしてモゾモゾと動いていた足が魔力を帯び始め...。
「!?」
慌ててジャンプで飛びのくジオニカ。
足は爆発を起こした。
どうやら切り離した体は爆発を起こすようだ。
空中へ飛びのき無防備なジオニカ。今から体を使って彼女を追う事は出来ないだろうが、何を思ったのかいきなりドラゴニュートはジオニカに向かって口を開いた。
その口に魔力が蓄積されていく。
これはブレスか!?
「ガアアアアアアアアアア!」
無防備なジオニカに確実にダメージを与える一撃。
「青式魔泡」
しかし、それは不発に終わった。
ドラゴニュートの周りにあった青色の魔力が爆発を起こしたからだ。
爆発はドラゴニュートの口にもあたり、蓄積されていた魔力を撃ち込むことが出来なかったのだ。
青色。それの特徴は先程の青式魔泡の威力が大きく上がる事だ。
〇式魔泡系の一番の強みは、即座に爆発を起こせること。
〇式魔崩系は近場の色素魔力を集めて撃つが、どうしても時間が掛かる。
威力は控えめになるが、その溜めに必要な時間を全てカットしたのが〇式魔泡系だ。
四つの魔法の内一番発生が速いのに威力もそこそこあり、とにかく使い勝手が良いのだ。
いきなりの爆発をモロに食らってしまったドラゴニュート。
「フフフ、やられっぱなしは性に合わないのでね、ここらで痛い目に合ってもらうよ」
それを見逃すジオニカではない。ジオニカの不穏な笑みから技名が呟かれる。
「――円斬」
小さな呟きから一転、大きな踏み込みから一回転、遠心力を掛け、その斧をドラゴニュートの首に叩き込む。
円斬。敵が止まっているような時にだけ使える大技。もちろん威力は絶大だ。
綺麗に、と言う程ではないが、ドラゴニュートの首は彼女によって切り落とされ、勝負は終わりを迎えた。
「あれだけ大きい隙を見せられたら首を狙うしかないよねー」
ジオニカは手払いをし、早速食事の準備へと取り掛かる。
その横で、またこの調子か、と少し飽きれた様子を見せる俺だった。
ブクマを。してくれ。是非。




