料理練習
割と短めの閑話モドキ
「私、お料理がしたいです!」
「おお、それまたどうしてっすか?」
ノアルトがサイクロップス討伐で留守にしていた頃。
ラミュは様々な侍女やメイドから技術や仕事について学んでいた。
実はノアルトは王宮内での評価は高くないとは言ったが、それはあくまで大臣や貴族の中での話。
王族なのでかなり整った顔立ちをしているノアルトはなんやかんやで女性陣からは好まれている。
ノアルトの記憶にないだけで、幼い頃に彼を世話していた侍女等はラミュの事を喜んで受け入れ、さまざまな事を教えたりした。
と言うかノアルトが王宮内で何かしらのアクションを起こすのは極めて稀で、さまざまな者がラミュに興味を寄せている。勿論好意的な意味で、だ。
あの王子が女の子を連れて来たが...何故だ? とか。
ついにあの王子にも好きな子が!? とか。
身分を越えた愛だ! とか。
なんだかんだラミュの事を好意的に見てくれる者が多いのは良い事だろうが、他の考察的な奴は彼にしてみては良い迷惑なのではないだろうか。
そんな事も露知らず、ラミュは調理場に居たレンに料理を教えて貰えるよう頼んでいた。
「えっと、ノア様から食べ物が好きそうな匂いがするんです。だから...」
「匂いっすか! たしかにノア様は食事が大好きっすよ。そういうことなら自分に任せて欲しいっす!」
ドン、と胸を叩くレン。
「ノア様においしい手料理を作ってあげられるよう特訓するっすよ!」
「がんばります!」
ラミュは腕まくりをして意気込んだ。
「では早速、ノア様の好きな料理から教えていくっすよ」
「お願いします! それで、ノア様の好きな料理って言うのは...」
「ズバリ、魚介類っす! ノア様はその中でも特にソテーを非常に好んでいるっす!」
「つまりソテーの作り方を教えてくれるんですか?」
「そういう感じで間違いないっす!」
ラミュはレンの指示の通りに料理を始めた。
「あ、魚の骨についてなんすが、魚の骨があるとノア様は怒り始めるっす」
「怒り始める?」
「そうっす。と言っても、声を上げたりする訳では無いんすが...露骨に食べるスピードが遅くなるっす。正直、いつもバクバク食べてる姿と全く違って少し怖かったっすよ」
「き、気を付けます!」
食べるスピードが遅くなるだけで怖がられる王子...。
会話をしながらも料理の練習は続く。
「んー、そこっす! いやー完璧なタイミングで火を止めれてるっすよラミュさん! 才能あるっすよ!」
「いえ、そんな、匂いで分かるだけです...あと、なんで私なんかにさん付けなんですか?」
「そ、そりゃあ自分より位の高い人っすからね! ホントなら様付けっすよ!」
「位? 私はただの...」
「将来的にって事っすよ」
レンの言葉に意味が分からず首をかしげるラミュであった。




