サイクロップス その2
飛行魔法で駆け付けた先には目的のモンスターと、ソレに魔法を撃ち続けている数人の影が。
大きな一つ目に濃い肌色の巨人。
手に持っているのはそこらへんから抜いた木だろう。
木を振り回して暴れていたのか?
ただ気になるのはサイクロップスと戦っている輩。
黒いローブに不思議な文様が張り付けてある謎の服を着た変な奴らなのだが...絶対Aランク冒険者じゃないよな?
怪しい者だよな? 違ったら切腹してもいいっす。やっぱりやめとく。
謎魔術師達は魔法でサイクロップスに攻撃を仕掛けているようだが、既に数人がそこら辺に転がっている。
まあSランクのモンスターだし、善戦している方か...って誰か一人飛ばされたぞ!?
「エアショット!」
魔術師が吹き飛んでいく方にクッションの様に風を固めて救出。
風を固めるエアショットの応用だ。
あとは倒れ伏している奴らに回復魔法を掛ける。
「こ、これは...!?」
次々と起き上がる謎魔術師達。
「ここは俺に任せてお前らは逃げろ! アルカディア王子の命令だぁッ!」
「お、王子!? もしかしてノアルト様――」
「いいから早く! お前らが居ると足手纏いなんだよ!」
魔術師達ではサイクロップスの相手は荷が重過ぎる。
さっさと逃げて貰った方が此方も楽だ。
適当に結界を張り、サイクロップスの動きを封じる。
古代魔法の一種だ。ブーストもあるし、そう簡単には壊せない。
ただブーストを古代魔法に裂いてしまうので決定打がなくなるんだけどな。
そうこうしている内に、謎魔術師達はどこかへ去って行った。
「さて...始めようか?」
ブーストを古代魔法から属性魔法にチェンジ。
これで心置きなく戦えるな?
まず先に動いたのはサイクロップス。
「ウガアァァァァァァァァァァ!」
雄たけびと共に此方へ向かって直進。
早い。が、
「アースウォール」
土魔法で形成された壁で対処が可能――。
俺の作った壁はサイクロップスの体当たりにより粉々にされた。
これはマズイな。
移動速度にブーストを掛け、急ぎその場から離脱。俺の後ろにあった木がぐちゃぐちゃになっている。
当たったら体硬化でも只じゃ済まないだろう。少し背筋に冷たい物が走る。
だが、今の高速移動であちらは一瞬こっちを見失ったようだ。
好機。再びブーストを属性魔法に。属性の中でも火のブーストを掛ける。
「炎の砲撃!」
俺の魔力量で使える限り最上級の火属性攻撃魔法。
レイアの使った氷の砲撃の亜種だ。
俺の両手から放たれた炎の光線はサイクロップスを包み込み、辺り一帯を爆音と煙で包み込んだ。
魔力は殆ど空になってしまった。
正真正銘、全力の一撃。
「......マジか」
奴は生きていた。
全身に焼けたような跡があるものの、サイクロップスは両足で地面を踏みしめていた。
「ウガアアアアァァァァァァァァァァ‼」
怒りを込めた雄たけびが木霊する。
が、この程度なら予測済み。
Sランク指定モンスター、ましてや不可山脈のモンスターが魔法一撃で倒れる訳がない。
その点だけに関しては、不可山脈のモンスター達に絶対的な信頼を寄せている。
本当に厄介だ。
魔力回復速度にブーストを使用。
俺程度の魔力量なら一瞬で全快だ。
俺の戦闘スタイルはSランク最下級くらいの魔法を魔力回復速度の暴力で打ち続ける脳筋戦法と、古代魔法を使ったもう一つの戦闘方法。
武術も出来なくはないが、エルの聖剣のように丈夫な獲物が無いのでお預け。
衝撃鎌はロスト状態で持つ予定なのでナシ。
つまり、俺はまだまだ先程と同じ威力の魔法を撃つつもり、と言うことだ。
サイクロップスは爛れた肌を気にも留めず、上空へと躍り出る。
――上からの威力だけに任せた攻撃。
対処は簡単だ。
移動にブースト、バックステップ。
サイクロップスの拳が地面に叩きつけられ、土等が宙に舞う。
ホントに威力高いな...。
――違和感。宙に舞った石や土等、果てには自分の真下から不穏な気配。
受付嬢から聞いたサイクロップスの情報。
しかし、その目撃は遥か数百年前。
数百年前と今では環境や求められるモノ、特性まで色々なモノが違うだろう。
そしてサイクロップスが環境に応じて進化し、使わないと思われていた魔法を使うようになっているとしたら――。
土魔法。他の魔法の様に速さや威力、派手さは無いものの、込めた魔力に応じて上がる強度。自在に形を変え、全てが強力と、極めればしっかり応えてくれる属性。
それをサイクロップスは発動させた。
周りの土は姿を変え、鋭さを持った針となり俺を襲った。
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