サイクロップス その1
冒険者として活動している時の俺は、ほぼほぼ北の方に居ると考えて貰っていい。
その理由の殆どが不可山脈のせいである。
人知を超えたその強さ。
しかし、その中でも強さ関係は存在する。
強者よりも弱い弱者達が居場所を追い出され、流れ着くのが人間の村なのだ。
弱者と言ってもそれらは俺達からしたらとんでもなく強い、と言うのがとにかく厄介なのだ。
下手したらそこらのドラゴンよりも強いようなバケモノばかりだからな。
ドラゴンと言ってもアルヴェルとかオルフェウスに生息しているような奴らだけどな。
不可山脈に生息するドラゴンが居たとしたら...とんでもない強さだろう。
やはり不可山脈なんかに踏み込む訳にはいかないな...。
とまあ、Sランク冒険者の俺が北のバケモノモンスター達を頑張って倒す、と言うのが主な活動になる。
「サイクロップス?」
ギルドの受付嬢から発せられたその名前に思わずそう聞き返してしまう。
「はい、サイクロップスの目的情報がありました...今現在幾つかのAランク冒険者パーティーが調査に当たっていますが...」
少し俯き表情が曇る受付嬢。
Aランク冒険者ではSランク級の魔物の相手は荷が重いだろうし、心配するのも分かる。
「大丈夫だ。すぐ俺が現地に向かう」
俺の言葉を聞いて、曇らせていた表情が一気に明るくなる受付嬢。
「本当ですか!?」
「ああ。それが俺の役目だからな。ただ...」
「ただ?」
「......サイクロップスってなんだ?」
俺の発言により、受付嬢の顔は「コイツで大丈夫か?」と言わんばかりになってしまった。
いや聞いたことのない魔物の種類なんて知らないから...。
ましてや不可山脈に居る魔物なんて人里に滅多に顔出さないから世に出回ってる情報少ないんだよ...。
説明により判明したサイクロップスと言う名のモンスターについて解説ッ!
単眼の巨人、大きさは三~四メートル。最後の目撃はウン百年前。
魔力は少なく、あまり魔法も使わないが、最も恐ろしいのはその強靭さ。
生半可な魔法や武器では傷すらつける事ができない程硬い皮膚。さらにその巨体から繰り出される攻撃は、どのような物でもたちまち潰される...。
と、耐久高めパワーファイターのモンスターのようだ。
耐久高めの癖に、サイクロップスは動きも素早く、百メートル程度距離が無いと一瞬で距離を詰められ粉砕されるらしい。
なかなかにハイスペック...。
もし居たとしたら被害が増えるまでに討伐しなくてはいけないな。
俺は飛行魔法にブーストを使い、並みの人間では認識さえ出来ないような速さで空へと飛び上がった。
目撃情報のあった村の近くに降り立ち、風魔法のブーストを掛け広範囲に風を巻き起こす。
高度な魔力操作と感覚があって初めて出来る技、ウィンドサーチ。
ウォーターサーチとかもあるが、一番使いやすいのは風だ。
普通なら魔力感知にブーストを使うことでもっと精密に探査が出来るのだが、魔力が少ないサイクロップスでは反応を見落とす危険がある為、ウィンドサーチを使った。
体の大きい相手や地形を知るのに一番手っ取り早く正確だからな。
ウィンドサーチで他の魔物よりも圧倒的な反応を感知。
近くには数人の反応も。
これはマズイ。恐らく調査に来たAランク冒険者だろう。
恐らくだが...戦闘中だ。
急ぎ彼らの助太刀に入らなくては。




