第9話 学校祭〜昼食トーク①
「井尾玲、かっこよかったねえ!
私もあれ、やってみようかな。
モップはほら、使い慣れてるし。」
出井亜寧羅は、ゴシゴシと床を磨くジェスチャーをします。
「それって、デッキブラシだろ?プールの」
必歩流帝がツッコミます。
「あ、そうか。あはは。」
「…ふふふ。」
女鹿蘭も、つられて笑います。
みんな楽しそうで、空玲須もなんだか嬉しくなりました。こうやって、みんな、仲良くできたらいいな。心から、そう思いました。
「では、わらわは審査員の仕事があるでな。
ここで一旦お別れじゃ。
…空玲須よ。悲しむでない。
会場で会おうぞ。」
尾牟派麗子は生徒会役員と一緒に、生徒会室に行ってしまいました。
ぐぐぅ〜。
出井亜寧羅のおなかの音が、みんなにも聞こえました。
「あはは、お腹すいちゃった。何か食べよ?」
「そういえば、はい、空玲須。」
女鹿蘭が、空玲須にシュークリームを手渡します。
「せっかくもらったんだから、ちゃんと食べなきゃ。」
「あ、ごめん。
…ありがとう。でも。」
空玲須は、言いました。
「これじゃ、全然足りない。」
「あーわかったわかった。
みんなで何か食おう。」
必歩流帝が言うと、突然横から声がしました。
「『ラーメン』。
て何?」
いつのまにか、平来が。陸上部のテントを指さしています。テントの前には「極上ラーメン」と書かれたのぼりがはためいています。
「あー、陸上部のラーメン、美味しいんだよ。
じゃあ、きまりね。みんなで食べに行こう!」
空玲須たち一行は、陸上部のテントへ向かいました。
空玲須たちがラーメンを食べているとき、校内アナウンスが流れました。
「いよいよこの後、『一番カワイイ或高生コンテスト』が行われます。
エントリーされた人は、開始三十分前までに大会本部まで来てください。時間に遅れますと失格となります。
それでは、エントリーメンバーを発表いたします。
一組、あれ?一組は…。」
プツン、とアナウンスが途切れました。
「何があった?」
必歩流帝が誰にともなく聞くと、不機嫌そうに女鹿蘭が答えます。
「…あんなコンテストなんか出ないから、関係ないわ。
去年も辞退したし。ホント迷惑。」
「んん…。
『らーめん』、激ウマ。」
女鹿蘭の機嫌をよそに、ラーメンを堪能する平来。どうやら、かなりお気に召したようです。
「みんな、出た方がいい。
お前らに相応しいカード。」
平来が差し出したのは「節制」の正位置。意味は「調和」。
「ただし、筋肉のはコレ。」
「塔」の正位置。
「コレ、どういう意味?」
空玲須が聞くと、平来はボソリと答えました。
「崩壊。
何かが壊れる。」
…何かが、壊れる?
周囲の不安をよそに、平来は穏やかな顔でおかわりのラーメンをすすっていました。




