第10話 学校祭〜昼食トーク②
途切れていた、放送が復活しました。
「…改めて、エントリーメンバーの発表をいたします。
一組は辞退によりエントリーメンバーがいません。
二組、必歩流帝さん。
三組、女鹿蘭さん。
四組、出井亜寧羅さん。
五組、井尾玲さん。
なお、一組分のエントリーにつきましては、運営上の特例で、聖リディア女学院生徒会長の尾牟派麗子さんを割り当てます。」
女鹿蘭が目つき悪く呟きました。
「…いいわ、どうせ出ないから。」
「え?なんで?」
空玲須は、女鹿蘭に聞きました。
「出ればいいのに。女鹿蘭、美人だから、みんなに人気出るよ?」
女鹿蘭の脳裏に、空玲須の言葉が反響します。「女鹿蘭、美人だから…」「美人だから…」「美人…」
「何言ってんの、もぉッ!」
バシーン!
女鹿蘭の平手が、空玲須の背中で大きな音を立てました。
「ウチもやめとく。何か合わねえ。」
必歩流帝が厳しい音を立てて、箸をテーブルに置きました。
アナウンスは続いています。
「…なお、コンテスト優勝者には、副賞として、『パイア亭』トンカツ弁当一年分と、所属クラスに五十ポイントが贈られます…。」
必歩流帝は、奥歯を噛み締めながら机を叩きました。
「くっ。汚ねぇやり方しやがって。
仕方ねえ。出てやるよ。」
空玲須は、もらったシュークリームをもしゃもしゃ食べながら、必歩流帝に言いました。
「『パイア亭』のトンカツ、美味いよね。」
「ああ、絶品だ!
あ…。
いや、だから、クラスのポイントがもらえるなら出るしかねえだろ?」
珍しく、必歩流帝が真っ赤になってその場を繕います。
「あら、みなさん。
さっきはありがとう。」
爽やかな風と共に、銀髪が揺れます。制服に着替えた井尾玲がやってきました。三つ編みのハーフアップ。いつもの髪型です。
「正直、コンテスト出たくないな、って思ってたんですけど。みなさんはどうするんですか?」
「出るよ!」
出井亜寧羅が、瞳を大きくキラキラと輝かせて即答。
「トンカツ弁当、食べ放題だよ!
そりゃあ、狙うでしょ!」
その場のみんなが苦笑する中、必歩流帝が言いました。
「クラスにポイントが入る、それだけだ。」
「クラスにポイント…。
そうですね。学級のために…。」
井尾玲はそう言って、ちらっと空玲須を見ました。…空玲須は、出井亜寧羅とトンカツの話題で盛り上がっています。女鹿蘭は、傍で微笑んでいました。
「…みなさん、それでは本部に参りましょう。そろそろ集合時間ですよ。」
井尾玲はなぜか少し大きな声で言いました。




