第6話 学校祭〜一日目の終わりに
オルトロスが暴れた後を片付ける空玲須たち。尾牟派麗子は、生徒会室へ案内されていきました。そこへ駅土奈先生が走ってきます。
「空玲須くん。出して、早くぅ。」
空玲須の胸ぐらを掴んで懇願しました。瞳孔が縦に開いて、怪しい雰囲気。
空玲須はポケットに入れていたレジ袋を取り出します。すると、目に見えないほどの速さで掠め取られました。
「ああ、ああ…。愛しいあなた。」
駅土奈先生は鋭い爪で袋を切り裂いて黒い煙を出すと、それを胸に抱き締めました。
「ああ、そうなの?
うんうん。よかったねぇ。
今回は割と長い時間暴れられて。
さあ、帰りましょうね。私も後から行くから、待っててね。」
…空玲須たちにはよくわかりませんでしたが、口を出してはいけない気がして黙っていました。
片付けがほとんど終わった頃。
尾牟派麗子が生徒会室から戻ってきました。
「空玲須よ。
わらわは明日も来ることになった。
『一番カワイイ或高生コンテスト』の審査員じゃ。楽しみに待っていてたもれ。」
そして、空玲須の耳に唇を寄せて、少し赤くなって小さな声で言いました。
「…見たとしても、かまわぬぞよ。
ただし他言無用ぞ。」
空玲須は勢いよく、何度も首を横に振りました。
校内放送が鳴り響きます。
「学校祭、第一日目の終了時刻です。
生徒たちは速やかに下校してください。
時間が守られないと来年以降の開催に影響がありますので、決して校内には残らないで下さい。」
尾牟派麗子は、来た時の車に乗って帰っていきました。
「じゃあ、ウチ帰るわ。
コレ、直さなきゃなんねぇし。」
必歩流帝は裂けたエプロンドレスを外しました。
「皆さんッ!」
井尾玲が、珍しく、大きな声を出しました。
「あ、明日ッ!
書道パフォーマンスを、やりますッ!
うまくできるかわかりませんが、」
そこまで言った後、井尾玲はさらに声のボリュームを上げました。
「見に来てくださーいッ!」
出井亜寧羅が即答します。
「うん行く!
絶対行くよ!楽しみ〜!」
誰かが始めた拍手が、少しずつ広がっていきます。やがて、校門前は割れんばかりの拍手で溢れました。
「ありがとう!
皆さん、ありがとうー!」
井尾玲が手を振ります。
そして、生徒たちはそれぞれ下校していきました。
平来が、人のいなくなった生徒会室に立っています。
「愚か者ども。
女神の美を競うなど…。
一度国を滅ぼしたであろうが。」
平来の視線の先には、「一番カワイイ或高生コンテスト」のエントリーポスターが。
一組の魔性 平来
二組のクイーン 必歩流帝
三組のマドンナ 女鹿蘭
四組のアイドル 出井亜寧羅
五組のプリンセス 井尾玲
平来は、エントリーされている自分の名前に手をかざしました。すると。
平来の名はすうっと消えて、代わりに「聖リディア女学院生徒会長 尾牟派麗子」という文字が現れました。
「少し文字多い…。
だが、よし。」
平来が生徒会室を出ると、その姿は廊下の暗闇へと溶けるように消えていきました。




