第47話 修学旅行〜テーマパーク②
「はい、どうぞ。
百二十ジョージのお返しです。」
…聞き間違いか?何だか変な単位のお金とピザを受け取った空玲須。出井亜寧羅と一緒に食べる場所を探します。
出井亜寧羅は、そっと腕を組んでみました。特に嫌がられてはいません。内心ガッツポーズ。
「あっち行ってみようよ。」
細い通路の先にベンチが見えます。もしかしたら座るところがあるかも。
二人が行ってみると、ちょうど屋根の陰になっているベンチが空きました。
座ってピザを食べます。
「うん。まあ、高いけど美味しいね。
力が戻る感じ。」
出井亜寧羅が、ピザを頬張りながら、笑顔で言いました。
空玲須はピザを一口で食べ終わり、ふと、周りを見回します。
向こうのベンチの陰にしゃがんでいる女子高生を発見しました。或高の制服。金髪。
「必歩流帝!」
必歩流帝はそろそろと辺りを見回しなごら、空玲須の近くにきました。
「歩いてると、次々男子が声かけてきて。
ウザイから、隠れてたんだ。」
出井亜寧羅は一瞬口をとんがらせて不満そうな顔をしましたが、すぐに気を取り直して聞きます。
「じゃあ、アトラクションとか、まだ乗ってないの?」
「うん。
まあ、でも一人で乗るのも何だし。
別にいいかな。」
必歩流帝の答えに、出井亜寧羅は詰め寄ります。
「よくないっ!
せっかくテーマパークにきたんだから、もったいないでしょう!
…空玲須くん。
アレに乗るよ!」
出井亜寧羅の指差した先は、サメが出てくる映画のアトラクションでした。
「ちょ!?
コレ、船に乗るのか?」
行列の先頭まで来たところで、必歩流帝が言いました。
「ウチ、やめようかな…。」
なぜだか弱気です。出井亜寧羅は笑顔ですが、容赦ありません。
「大丈夫大丈夫!
空玲須くんが横にいるから。安心して!」
「うん。大丈夫。
サメに食べられるわけじゃないから。」
必歩流帝は、しぶしぶ船に乗り込みます。
出井亜寧羅、空玲須、必歩流帝で並んで座りました。少し震えているような必歩流帝。気づいた空玲須は、そっと必歩流帝の手を握ります。
「あ…。」
必歩流帝は赤くなってうつむきました。
出井亜寧羅はムッとして、自分から空玲須の反対の手を握りました。
船が動きます。船員さんのアナウンス。少し揺れます。
「…きゃっ。」
小さく悲鳴を上げて、必歩流帝は空玲須の腕にしがみつきました。
ぐぬぬ…。出井亜寧羅もしがみつく隙を狙います。その時!
どばしゃーん。
水しぶきと共に、大きなサメの姿が水面に現れました。
「きゃー!」
「きゃーーーー!」
必歩流帝は悲鳴を上げながら、空玲須にしっかりとしがみつきます。負けじと出井亜寧羅も、空玲須にしがみつきました。
空玲須も、サメに驚きましたが、それどころではありません。両側を女子に拘束されて身動きが取れません。コレではサメを撃退できない…。
そんなことを思っているうちに、岸が爆発して、サメの脅威は去りました。
「あー楽しかった。
次はねえ…。」
出井亜寧羅は心から楽しそうです。
「まあ、思ったよりは。
怖くはなかったな。」
必歩流帝も、まんざらでもなかったようです。
みんな楽しい。こんな国が作れるとは。
空玲須は、テーマパークの凄さに感動しました。
出井亜寧羅を先頭に、三人は「魔法世界」に向かいます。




