第39話 修学旅行〜お好み焼きと神殿
修学旅行。それは、学校生活最大のイベント。忘れることのない思い出づくりの場です。
空玲須たち、或呉巣高校二年生は、目的地の駅前に到着しました。これから、お好み焼き作成体験をして、それをお昼ご飯にする予定です。
器用に生地を焼き、キャベツを載せ、焼きそばを炒める。
必歩流帝の華麗なヘラ捌きに、二組のみんなは夢中になりました。ちゃっちゃと自分の分をひっくり返した後、他の生徒の分も修正していく姿は、さながらお好み焼き屋の女将です。
平来は、薄い金属の板を持って、いまいましそうに言いました。
「コレが、ヘラとは…。
無礼な。」
出井亜寧羅は…。事故りました。ひっくり返すときに散乱したキャベツは、もはや集めることもできません。
「えへへ。
どうしよ、コレ…。」
流れ作業で必歩流帝が近づきます。
「ほい、ほい、ほいっと。」
キャベツを、ささっと生地の上にまとめて、焼きそばの上に重ねます。
「ありがとう!
神様、仏様、必歩流帝様!」
出井亜寧羅は、両手を合わせて必歩流帝を拝みますが、そのときにはもう、必歩流帝は、はるか彼方、五組の生徒のお好み焼きを修正していました。
井尾玲は、クラスの仲間たちとキャイキャイしながら、楽しくお好み焼きを焼いています。キャベツがはみ出し、焼きそばの上から生地が崩れ落ちますが、それもまた楽しみながら。
空玲須は、女鹿蘭を拝んでいます。
「ありがたや、ありがたや〜。」
切る、加熱する、調味料をかける。しか料理ができない空玲須には、お好み焼きなど焼けるはずがないのです。
女鹿蘭が焼いてくれたお好み焼きにソースをかけて、一口。
「…。
美味い。うますぎる。」
改めて思うことは、自分の知らない「美味いものが多すぎる」ということ。
「幸せだ…。」
思わず口にする空玲須の横で、女鹿蘭の頬は少しだけ赤くなっています。
「これぐらいなら、いつでもやってあげるわよ。」
照れ隠しに眉根を寄せて、小さな声でつぶやきます。
昼食を終えて、一行は、フェリーに乗りました。
海の中に鳥居が立つ神社へ到着。
「コレが、この国の神がおわす場所か。」
神社が珍しいのか、平来はなめらかに独り言を言います。
「アレが神殿の入り口なのですね。
…でもなんで海の中に?
不思議ですねぇ。あなた様。」
平米が、空玲須の腕をとって寄り添います。
女鹿蘭のこめかみの血管は、もうはち切れそうです。
「こらー、そこ。
列を乱さない!」
先生がメガホンで平米を指導しました。
平米は仕方なく、そそと空玲須から離れます。
グッジョブ!
女鹿蘭は小さく拳を握りました。
広場で説明を受けてから、自由見学になりました。空玲須は、鹿を見つけます。
「鹿か。
…小さいな。」
空玲須の微かな記憶にあるのは、青銅の蹄と黄金の角を持つ、もっと大きな獣。
微かな頭痛を感じながら、空玲須は、鹿に近づきました。
逃げません。むしろ鹿の方から寄ってくる。空玲須は自分の記憶とのギャップに戸惑います。
「まさか…。
この鹿たち、油断させて角で一突き…。
いや、後脚で蹴りを…!?」
空玲須は、迫り来る可愛い動物に警戒を怠りません。 修学旅行。それは、学校生活最大のイベント。忘れることのない思い出づくりの場です。
空玲須たち、或呉巣高校二年生は、目的地の駅前に到着しました。これから、お好み焼き作成体験をして、それをお昼ご飯にする予定です。
器用に生地を焼き、キャベツを載せ、焼きそばを炒める。
必歩流帝の華麗なヘラ捌きに、二組のみんなは夢中になりました。ちゃっちゃと自分の分をひっくり返した後、他の生徒の分も修正していく姿は、さながらお好み焼き屋の女将です。
平来は、薄い金属の板を持って、いまいましそうに言いました。
「コレが、ヘラ…。
無礼な。」
出井亜寧羅は…。事故りました。ひっくり返すときに散乱したキャベツは、もはや集めることもできません。
「えへへ。
どうしよ、コレ…。」
流れ作業で必歩流帝が近づきます。
「ほい、ほい、ほいっと。」
キャベツを、ささっと生地の上にまとめて、焼きそばの上に重ねます。
「ありがとう!
神様、仏様、必歩流帝様!」
出井亜寧羅は、両手を合わせて必歩流帝を拝みますが、そのときにはもう、必歩流帝は、はるか彼方、五組の生徒のお好み焼きを修正していました。
井尾玲は、クラスの仲間たちとキャイキャイしながら、楽しくお好み焼きを焼いています。キャベツがはみ出し、焼きそばの上から生地が崩れ落ちますが、それもまた楽しみながら。
空玲須は、女鹿蘭を拝んでいます。
「ありがたや、ありがたや〜。」
切る、加熱する、調味料をかける。しか料理ができない空玲須には、お好み焼きなど焼けるはずがないのです。
女鹿蘭が焼いてくれたお好み焼きにソースをかけて、一口。
「…。
美味い。うますぎる。」
改めて思うことは、自分の知らない「美味いものが多すぎる」ということ。
「幸せだ…。」
思わず口にする空玲須の横で、女鹿蘭の頬は少しだけ赤くなっています。
「これぐらいなら、いつでもやってあげるわよ。」
照れ隠しに眉根を寄せて、小さな声でつぶやきます。
昼食を終えて、一行は、フェリーに乗りました。
海の中に鳥居が立つ神社へ到着。
「コレが、この国の神がおわす場所か。」
神社が珍しいのか、平来はなめらかに独り言を言います。
「アレが神殿の入り口なのですね。
…でもなんで海の中に?
不思議ですねぇ。あなた様。」
平米が、空玲須の腕をとって寄り添います。
女鹿蘭のこめかみの血管は、もうはち切れそうです。
「こらー、そこ。
列を乱さない!」
先生がメガホンで平米を指導しました。
平米は仕方なく、そそと空玲須から離れます。
グッジョブ!
女鹿蘭は小さく拳を握りました。
広場で説明を受けてから、自由見学になりました。空玲須は、鹿を見つけます。
「鹿か。
…小さいな。」
空玲須の微かな記憶にあるのは、青銅の蹄と黄金の角を持つ、もっと大きな獣。
微かな頭痛を感じながら、空玲須は、鹿に近づきました。
逃げません。むしろ鹿の方から寄ってくる。空玲須は自分の記憶とのギャップに戸惑います。
「まさか…。
この鹿たち、油断させて角で一突き…。
いや、後脚で蹴りを…!?」
空玲須は、迫り来る可愛い動物に警戒を怠りません。




