↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
39/62

第39話 修学旅行〜お好み焼きと神殿

 修学旅行。それは、学校生活最大のイベント。忘れることのない思い出づくりの場です。

 空玲須(クレス)たち、或呉巣(アルゴス)高校二年生は、目的地の駅前に到着しました。これから、お好み焼き作成体験をして、それをお昼ご飯にする予定です。

器用に生地を焼き、キャベツを載せ、焼きそばを炒める。

 必歩流帝(ヒッポリュテー)の華麗なヘラ捌きに、二組のみんなは夢中になりました。ちゃっちゃと自分の分をひっくり返した後、他の生徒の分も修正していく姿は、さながらお好み焼き屋の女将です。

 平来(ヘラ)は、薄い金属の板を持って、いまいましそうに言いました。

「コレが、ヘラとは…。

 無礼な。」

 出井亜寧羅(デイアネイラ)は…。事故りました。ひっくり返すときに散乱したキャベツは、もはや集めることもできません。

「えへへ。

 どうしよ、コレ…。」

 流れ作業で必歩流帝(ヒッポリュテー)が近づきます。

「ほい、ほい、ほいっと。」

 キャベツを、ささっと生地の上にまとめて、焼きそばの上に重ねます。

「ありがとう!

 神様、仏様、必歩流帝(ヒッポリュテー)様!」

 出井亜寧羅(デイアネイラ)は、両手を合わせて必歩流帝(ヒッポリュテー)を拝みますが、そのときにはもう、必歩流帝(ヒッポリュテー)は、はるか彼方、五組の生徒のお好み焼きを修正していました。

 井尾玲(イオレー)は、クラスの仲間たちとキャイキャイしながら、楽しくお好み焼きを焼いています。キャベツがはみ出し、焼きそばの上から生地が崩れ落ちますが、それもまた楽しみながら。

 空玲須(クレス)は、女鹿蘭(メガラ)を拝んでいます。

「ありがたや、ありがたや〜。」

 切る、加熱する、調味料をかける。しか料理ができない空玲須(クレス)には、お好み焼きなど焼けるはずがないのです。

 女鹿蘭(メガラ)が焼いてくれたお好み焼きにソースをかけて、一口。

「…。

 美味い。うますぎる。」

 改めて思うことは、自分の知らない「美味いものが多すぎる」ということ。

「幸せだ…。」

 思わず口にする空玲須(クレス)の横で、女鹿蘭(メガラ)の頬は少しだけ赤くなっています。

「これぐらいなら、いつでもやってあげるわよ。」

 照れ隠しに眉根を寄せて、小さな声でつぶやきます。

昼食を終えて、一行は、フェリーに乗りました。

 海の中に鳥居が立つ神社へ到着。

「コレが、この国の神がおわす場所か。」

 神社が珍しいのか、平来(ヘラ)はなめらかに独り言を言います。

「アレが神殿の入り口なのですね。

 …でもなんで海の中に?

 不思議ですねぇ。あなた様。」

 平米(へーべ)が、空玲須(クレス)の腕をとって寄り添います。

 女鹿蘭(メガラ)のこめかみの血管は、もうはち切れそうです。

「こらー、そこ。

 列を乱さない!」

 先生がメガホンで平米(へーべ)を指導しました。

 平米(へーべ)は仕方なく、そそと空玲須(クレス)から離れます。

 グッジョブ!

 女鹿蘭(メガラ)は小さく拳を握りました。

広場で説明を受けてから、自由見学になりました。空玲須(クレス)は、鹿を見つけます。

「鹿か。

 …小さいな。」

 空玲須(クレス)の微かな記憶にあるのは、青銅の蹄と黄金の角を持つ、もっと大きな獣。

 微かな頭痛を感じながら、空玲須(クレス)は、鹿に近づきました。

 逃げません。むしろ鹿の方から寄ってくる。空玲須(クレス)は自分の記憶とのギャップに戸惑います。

「まさか…。

 この鹿たち、油断させて角で一突き…。

 いや、後脚で蹴りを…!?」

 空玲須(クレス)は、迫り来る可愛い動物に警戒を怠りません。 修学旅行。それは、学校生活最大のイベント。忘れることのない思い出づくりの場です。


 空玲須たち、或呉巣高校二年生は、目的地の駅前に到着しました。これから、お好み焼き作成体験をして、それをお昼ご飯にする予定です。


 器用に生地を焼き、キャベツを載せ、焼きそばを炒める。

 必歩流帝の華麗なヘラ捌きに、二組のみんなは夢中になりました。ちゃっちゃと自分の分をひっくり返した後、他の生徒の分も修正していく姿は、さながらお好み焼き屋の女将です。

 平来は、薄い金属の板を持って、いまいましそうに言いました。

「コレが、ヘラ…。

 無礼な。」

 出井亜寧羅は…。事故りました。ひっくり返すときに散乱したキャベツは、もはや集めることもできません。

「えへへ。

 どうしよ、コレ…。」

 流れ作業で必歩流帝が近づきます。

「ほい、ほい、ほいっと。」

 キャベツを、ささっと生地の上にまとめて、焼きそばの上に重ねます。

「ありがとう!

 神様、仏様、必歩流帝様!」

 出井亜寧羅は、両手を合わせて必歩流帝を拝みますが、そのときにはもう、必歩流帝は、はるか彼方、五組の生徒のお好み焼きを修正していました。

 井尾玲は、クラスの仲間たちとキャイキャイしながら、楽しくお好み焼きを焼いています。キャベツがはみ出し、焼きそばの上から生地が崩れ落ちますが、それもまた楽しみながら。

 空玲須は、女鹿蘭を拝んでいます。

「ありがたや、ありがたや〜。」

 切る、加熱する、調味料をかける。しか料理ができない空玲須には、お好み焼きなど焼けるはずがないのです。

 女鹿蘭が焼いてくれたお好み焼きにソースをかけて、一口。

「…。

 美味い。うますぎる。」

 改めて思うことは、自分の知らない「美味いものが多すぎる」ということ。

「幸せだ…。」

 思わず口にする空玲須の横で、女鹿蘭の頬は少しだけ赤くなっています。

「これぐらいなら、いつでもやってあげるわよ。」

 照れ隠しに眉根を寄せて、小さな声でつぶやきます。


 昼食を終えて、一行は、フェリーに乗りました。

 海の中に鳥居が立つ神社へ到着。

「コレが、この国の神がおわす場所か。」

 神社が珍しいのか、平来はなめらかに独り言を言います。

「アレが神殿の入り口なのですね。

 …でもなんで海の中に?

 不思議ですねぇ。あなた様。」

 平米が、空玲須の腕をとって寄り添います。

 女鹿蘭のこめかみの血管は、もうはち切れそうです。

「こらー、そこ。

 列を乱さない!」

 先生がメガホンで平米を指導しました。

 平米は仕方なく、そそと空玲須から離れます。

 グッジョブ!

 女鹿蘭は小さく拳を握りました。


 広場で説明を受けてから、自由見学になりました。空玲須は、鹿を見つけます。

「鹿か。

 …小さいな。」

 空玲須の微かな記憶にあるのは、青銅の蹄と黄金の角を持つ、もっと大きな獣。

 微かな頭痛を感じながら、空玲須は、鹿に近づきました。

 逃げません。むしろ鹿の方から寄ってくる。空玲須は自分の記憶とのギャップに戸惑います。

「まさか…。

 この鹿たち、油断させて角で一突き…。

 いや、後脚で蹴りを…!?」

 空玲須は、迫り来る可愛い動物に警戒を怠りません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。