第36話 尾牟派麗子〜ドラカイナ①
➖➖ほわわ〜(麗子の妄想world?)➖➖
「あなたが、欲しい。」
「あ、ダメ…。
でも、許す…。」
チューーー。
「あ、そこは…。
ああっ…。」
➖➖➖➖ ほわわ〜 ➖➖➖➖
「な、なんという、夢!?」
尾牟派麗子は、そこで目を覚ましました。
身体中、敏感になっている気がします。下半身の、温かいような、冷たいような感覚。
恐る恐る、触ってみます。
「な!?」
触れたことのない手触り…。冷たくて、硬い。毛布を剥がして確認します。
「な、なんじゃ、こりゃぁーっ!?」
空玲須は、深夜にも関わらず、尾牟派麗子の家に連れてこられました。
「ささ、お嬢様のお部屋へどうぞ。」
黒服の丁寧な案内で、尾牟派麗子の部屋に入った空玲須。ベッドには、尾牟派麗子が座っていました。
「そちに、頼みがあるのじゃ。」
!?声が、いつもの尾牟派麗子ではありません。いえ、尾牟派麗子の威厳のある声に、怪しい女性の声が重なって、二重に聞こえてきます。
「わらわのココを見てほしいのじゃ。」
尾牟派麗子は、毛布の中を指し示します。空玲須は、とてもドキドキしました。
「いや、ちょっと、それは…。」
しどろもどろの空玲須をみて、尾牟派麗子は黒服に部屋から出るようにハンドサインを送りました。
「これで、二人きりじゃ。
…少し恥ずかしいが、見てたもれ…。」
声は変わらず二重のまま。頬を少し赤くして、尾牟派麗子が懇願します。
空玲須は覚悟を決めて、尾牟派麗子の毛布の中を覗きました。
「…な!?
これって…。蛇」
尾牟派麗子の毛布の中、臍から下の下半身は、蛇の鱗に覆われていました。
「おお…。
見られてしもうた。
ならば仕方ない。
そちの精気をいただくとしよう。」
尾牟派麗子の声が怪しい女性の声に上書きされます。
空玲須は、ベッドの上に起き上がった尾牟派麗子を見上げました。
縦ロールはありません。寝るときは髪を下ろしているようです。
口には、小さな四つの牙。チロチロと見える二股の舌。瞳孔は縦に開いています。
「『怪化』だな。」
空玲須がつぶやくと、いつの間にか横にいた平来が答えました。
「コレは、『エキドナ』。」
空玲須は、否定します。
「駅土奈先生は、別にいるぞ?」
「…。」
平来は、少し考えて、そして言いました。
「なら、『スキュテイアの蛇女』か。
オマエに縁のあるやつ。
多分、好き。」
「そうじゃ。
わらわは、そちが好きぞよ?
そちも、この娘が好きじゃろ?」
この娘。空玲須は、おかしな言葉だと思いました。もしかしたら、今のは、尾牟派麗子の言葉じゃないかも。
尾牟派麗子が、身体をくねらせながら、空玲須ににじり寄ります。
「くっ。
わらわは…。」
尾牟派麗子の声。
「ほれ、わらわに吸わせてたも。
そちの…。」
怪しい女性の声に代わりました。
「いやじゃ。こんなのは。
わらわは…。」
そしてまた、尾牟派麗子の声。
空玲須は、むんずと尾牟派麗子の蛇体を掴みます。きっと、尾牟派麗子は自分自身の中で「怪化」と戦っている。そう思いました。




