第19話 学校祭〜後夜祭
日も暮れて、学校祭の二日目ももうすぐ終わりです。
「一番カワイイ或高生コンテスト」は、出演者と備青恋のスペシャルステージと共に幕を閉じ、備青恋の「怪化」の黒い煙は、空玲須がレジ袋に入れて駅土奈先生に届けました。
コンテストの結果は、うやむやになってしまいましたが、観客からは不満の声は聞かれません。むしろ、素晴らしい歌声と演奏に、みんな満足していました。
空玲須は、三組の教室の片付けをしました。ガラスの破片に気をつけながら、椅子や机を戻し、調理用具や皿をまとめます。
「空玲須、そういえば。」
女鹿蘭が、話しかけてきました。
「あの時、井尾玲にだけ、返事したよね?」
「!?」
女鹿蘭の顔は怒っていません。でも笑ってもいません。
空玲須は直感しました。
…これは、返事を間違うとヤバいやつだ。
「あとさ、『あなた様』って?」
考えているうちに、女鹿蘭の追撃です。
平米のことを言っているようですが、これは、ただ本当のことを言えばいいだけ。空玲須はそう考えて、楽な方だけ返事をしました。
「ああ、平米ね。
今、母さんと一緒に暮らしてるんだ。『あなた様』ってのは、昔からそう呼んでるから、クセみたいなもんだよ。」
「『母さんと、一緒』…。
何それ。言い訳?」
空玲須は回答を誤ったようです。女鹿蘭の口調が厳しさをはらんでいます。
こういう時は…。
「お、オレ、これ家庭科室に持ってかなきゃ!」
空玲須は、逃げ出しました。
教室、部室の片付けを終えて、生徒たちが半壊した屋外ステージの前に集まってきます。
いよいよ、フィナーレ。
「生徒のみなさん、学校祭、お疲れ様でした。これより、閉会式を始めます。
結果発表です…。」
クラスごとに、オブジェ、教室イベント、ステージイベントでのポイントが発表されていきます。「一番カワイイ或高生コンテスト」は、全クラスに五十ポイント加算されました。
「二年の部。総合優勝は、二組です。」
「っしゃあ!」
必歩流帝は、クラスのみんなと一緒に喜び合いました。「パイア亭のトンカツ弁当」は夢と消えてしまいましたが、これはこれで満足そうです。
閉会式最後のアナウンスが流れます。
「これより、学校祭の最後を飾る花火を打ち上げます。二日間の出来事を思い出しながら、ご覧ください。
花火の終了をもちまして、学校祭、全日程の終了といたします。」
グランドの上に、大きな花火が上がりました。一発、二発…。
高く上がる花火を見上げながら、空玲須は思いました。
…みんな、仲良くなって、よかったなあ。
その傍には、平来。
…必歩流帝。
…出井亜寧羅。
…井尾玲。
…尾牟派麗子。
…そして、女鹿蘭。
それぞれの想いを胸に、花火を見上げています。
平米は一人、校舎の屋上に腰掛けていました。
「『青春』は、いつでも、いいものです。」




